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アンヌ さんの投稿された作品が334件見つかりました。
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子供のセカイ。47
(きっとジーナの慕っている王様をたぶらかしたっていう、あの女の人なんだ……。)ついさっきの出来事。美香と一緒にいた王子を、ジーナの王の息子と勘違いして、号泣したジーナ。ついに王があの女に心を委ねてしまったのか、と、世も末と言いたげな悲しそうな辛そうな顔をして泣いていた。ジーナの心が我を忘れるほど怒りに駆られる相手。サハールの女がミルトの王に迫っている、というのは、それにしてもおかしな話に思えた。
アンヌ さん作 [338] -
たった一人
胸を締め付けたのは理解しがたい感情嬉しいのに悲しいだなんて好きなのに嫌いだなんてたった一人探しているだけなのに裏切らない人優しい人私を愛してくれる人そして何より私が愛しいと思える人ただそれだけのことなのに見えてこないのはなぜ?相変わらず一人で小さな胸じゃ抱えきれないほどのつらい気持ちを抱き締めているというのに私が探しているのは誰?もしくは誰でもいいのかしら?ただ気持ちを共有したいだけ依存し合いた
よーこ さん作 [338] -
子供のセカイ。46
急に外気の暑さが気にならなくなった。美香は瞬間、恐怖に口をつぐんだが、怯えながらも先を促す。「殺し方っていうのは、つまり……?」「ミルトの住人なら苦しまぬように急所を一撃で、サハールの住人ならあちこち傷つけて血を流させた上で砂漠の真ん中まで馬で引きずって行き、鳥やハイエナの餌にさせる。」美香は絶句した。額から落ちて目に入った汗は、決して暑さのためではない。やけに冷たい汗だった。美香は思わず両腕で
アンヌ さん作 [395] -
子供のセカイ。45
「ジーナ。」「ん?」「この領域の出口を教えてほしいんだけど。」ジーナは美香の目を見ずに答えた。「ここから東へ2日ほど歩いた所、東国サハールの手前のサボテン地帯にある。」美香は考えた。東国サハールの手前ということは、ジーナにとって『味方じゃない』国の側へ行かなければならないということだ。ジーナはどうやら西国ミルトの住人らしいし、最初に出会った時の様子からしても両国の仲は良好とは言えない状況のようだ
アンヌ さん作 [334] -
子供のセカイ。44
さっきよりだいぶマシな気分だった。鳩尾がまだ少し痛んだが、吐き気は収まっていた。美香は起き上がると、辺りを見回した。さっきと同じ風景。ただ少し違うのは、太陽が真上に昇り、ジリジリと焦げ付くような熱を降らせてくること、そのせいでヤシの木の影以外は直視できないほど真っ白に照らされて光っていることだった。くすんだ青空が綺麗だ。美香たちはわずかなヤシの木の影の中にいた。手をついた場所の砂はしっとりと湿り
アンヌ さん作 [325] -
子供のセカイ。43
それはジーナの友達なの、と聞こうとして、美香はやめた。ジーナはすでに鋭い目で美香を見ていたし、これ以上きつい言葉で攻撃されるのは耐えられなかったからだ。何だか急激に疲れた。さっきまでの一連の出来事より、今聞いたばかりの舞子の話の方に、美香は精神的に参ってしまった。お腹が痛い。魔女に蹴られた所もそうだが、何よりも鳩尾が痛くて吐き気がする。急に美香が腹を抱えてうずくまったので、ジーナも王子も相当驚い
アンヌ さん作 [344] -
子供のセカイ。42
「そう言われても……確かに舞子が現れたのは三年前なんだよ。この世界の時間の経ち方は領域ごとに違うって前に言ったと思うけど、“子供のセカイ”の中心にはそれらしき法則があって、僕たちはその時間を感じながら、自分の領域の時間とダブらせて時を過ごしているんだ。最も、主要な時間なんて領域を出なければ意味はないし、僕たちは光の子供に時間的なものを教える時、日にちを領域の数に例えて言うようにしているけどね。」
アンヌ さん作 [324] -
子供のセカイ。41
王子が知っているのはせいぜい、この道のりの行く末が“生け贄の祭壇”だということくらいだ。まあ出会ってそんなに時間が経っていなかったり、ハプニングの連続で話す時間がなかったのも本当だが。美香は王子に説明しようと口を開きかけたが、その時、地面に放り出したままにしていた細身の剣を取りに戻っていたジーナが、二人のすぐ脇に立った。「どういうことだ?まさかお前、舞子に近しい者ではないよな?」見下ろしてくる目
アンヌ さん作 [399] -
子供のセカイ。40
心臓が止まるかと思った。美香が小さく息を呑むと、ひゅっと音が鳴った。舞子。確かにそう言ったのか?それともいつも胸の底で思い続けるあまりに聞こえた幻聴だろうか?「………ぁ……、」今、なんて言ったの?と聞きたかったのに、うまく声が出せなかった。美香の様子がおかしいことに気づいたのだろう。ジーナは眉の辺りを曇らせた。「どうした?具合が悪いのか?」「……い、ま、…舞子、って……?」「ああ、舞子と言ったが
アンヌ さん作 [447] -
巡る愛
優しく手のひらから零れ落ちたのは愛だった私はただそれを目で追うだけ、見てるだけ焦って取り戻せるとは思わなかったし、泣いて還ってくるとも思えなかったからだから、ただ、その行く末を眺めていましたできれば誰かに使ってほしくてただ失ったんじゃ辛すぎる私の元を離れただけで誰かの役に立ってくれてたらいいただ消えるだけじゃ悲しすぎるでしょう?また誰かの手から滑り降りた愛が、私の元へ来るかもしれないその時は笑顔
アイ さん作 [332]