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アンヌ さんの投稿された作品が334件見つかりました。
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水溜まりも悪くない。
僕の右手に乗せた涙はあなたのための涙です僕の左手に乗せた心は僕のための心ですあげられない心まではあなたのために泣くことはできてもしょせんはその程度愛なんて言っても口先ばかりでじゃあやめましょうくだらないことを語り合うのは信頼すら築けない不器用な僕らはしょせん濁った水溜まり風が吹けば簡単に揺らいで太陽の力ですぐに蒸発するはかなくちっぽけな水溜まりでもねえ虹をうつすこともあるにはあって時には笑いなが
アイ さん作 [495] -
私と彼と青いバス。
悲しみの向こうに青いバスが見えた。窓から外を眺める内の一人と目が合う。驚くほどに澄んだ瞳の色。絶望や悲しみすべてを乗せて微笑むまつ毛。――ああ、この人も、逝くのか。青いバスは今にも走り出そうとしている。太ったガイドのお姉さんが乗り込み口から叫んでいる。誰か、他にお乗りになる方はいらっしゃいませんか?青いバスの周囲に群がる人々。落ちくぼんだ目で愛しそうにバスを眺めるけど。一人、また一人と、バスに背
アイ さん作 [480] -
生の証
このまま停滞していたいと思う私は、どこか間違っているのだろうか。不安と安寧を同時に抱えたまま。朽ちることもなければ、変わることもない。ただ落ちてゆく、闇。痛みは常に胸にあって、心の表面に傷をつける。どこにも属したくない自分がいた。でも属さないということは――生きることを放棄するということだ。この厄介な人間世界。空気と風しかない世界に生まれていたら、どんなに楽だったろう。私はきっと風になって、誰の
アイ さん作 [358] -
死んだ友へ
あなたが幸せになってるといいな。深い悲しみを遺したあなただけど。きっと深い苦しみと悩みを持ったまま逝ってしまったあなただけど。その先に何か明るいものが待ってるといいな。あなたの死が無駄にならないといいな。あなたが少しでも楽になってたらいいな。つらいつらい世の中だよ。あたしもそれを知ってるよ。死にたくなることもあるよ。あなたはきっと真面目すぎたんだね。図々しい人たちは生き残るよ。学校をサボったり仕
なぁこ さん作 [533] -
さわるな。
ふれるな。私にふれるな。私の心にふれるな。うずくまって隠す、何よりも大事な心臓。ドクドクいってる。私は恐怖に目を見開く。さわるな、さわらないで……。傷つくのが嫌だった。せっかくここまで守ってきたのに。生まれてからずっと大切に守ってきたものがあるのに。世界に汚される。ふれるな。お前はふれるな。汚い手でふれるな。私の、何よりも大切な想いに。貫いてきた生き方も。信念も。道徳も。あざ笑いながら、奴らは奪
アイ さん作 [403] -
フォークダンス
手をつなぐ。ただそれだけの行為が、どうしてこんなにも優しい気持ちにさせてくれるのだろう?久しく話していない友の手を握った。友は微笑んだ。会話はなく、ただ最初に、よろしく、とだけ。手のひらの感触すら残らないような短い時間。あっという間のようでもあったし、過去の記憶が走馬灯のように巡る、長い長い時間のようにも感じた。終わった時は、お互い笑顔で。あっけなく離れた。――そして、あの子。私から目を背け続け
橘 薫 さん作 [366] -
ただ、生きよう。
歩き続けよう靴底がすりきれるまで止まることなんてできない許されはしない時が移ろい続けるように少女が老婆に変わるようにわたしが、大人になるようにでも忘れないでそこにあるのは悲しみばかりじゃないきっと素敵なことが待っている生まれたからにはきっと素敵なことが待っている涙の数と同じぶんだけきれいな花が咲くだろう空に枝を伸ばす木々のように忘れなければ成長し続けることを希望をすてないことを上を向いて歩いて行
アイ さん作 [379] -
涙の翼
溶けていくように君の笑顔が消えた代わりに生まれた安らかな絶望「どうして何で私が悲しい幸せなんて、」意味を成さないぶつ切りの言葉たち「助けて嫌い憎いあんたなんか私が死ねばいいのに、」ねぇ、――ちゃん。私はめったに人のために泣かないんだよ?私は君のために何度も何度も涙を流したんだよ?所詮は偽善ということか狂ったあの子に最初から伝わるはずなんてなかったんだ……「みんな、大嫌い。」君の口を縫いつけてやれ
アイ さん作 [333] -
かなしい。
泣き叫ぶ幼子。耳に響く慟哭。私は。動くことも考えることもできずに。ただそこに座っていた。――忘れられない彼女の悲鳴。引き裂かれ、押し退けられて。ボロボロに傷ついて。それでも立っていられたのは。まだそこに揺るぎない信念があったから。醜くてもとにかく生きてた。その一番大事にしてきた思いまで折られたら。一体誰が耐えられるというのだろう。私の、せいか……。見捨てたから。そうしないと私の精神がもたないと思
たまき。 さん作 [509] -
やさしいかくれんぼ。
あなたが探してくれたから、あたしはいつだって安心して隠れることができたんだ。あの頃あたしは、いつもいつも不安だった。誰も来てくれないんじゃないか、このまま一人ぼっちで一人の世界で、誰にも気づかれずに死んでしまうんじゃないかって。ずっとずっと、怖くてたまらなかったんだ。けどあなたが来てくれた。わかりにくい場所に隠れたあたしを、あなたは最後の最後まであきらめずに、探してくれたね。「みーつけた!」あな
アイ さん作 [358]