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夢の字 さんの投稿された作品が61件見つかりました。

 
  • Killing Night Freaks/Between Chapter2 and 3『あの人は今』-3

    樋泉杏華は躊躇わない。先程の高威力の魔術を間近で視認しながら、それが結界を貫き向かいの山を刔ったのを認識しながら、それでも身体を跳ねさせて魔術師に飛び掛かった。腰からナイフを抜き放ち、逆の手で腿のカードホルダーから奥の手の術式符を引っ掴んで距離を詰める。「殺す!」強く土を踏んで身体に制動を掛け、慣性の法則で前へと倒れそうになる上体の勢いを載せてナイフを投擲する。一直線に魔術師の眉間へと向かった刃
    夢の字 さん作 [414]
  • Killing Night Freaks/Between Chapter2 and 3『あの人は今』-2

    細かな肉片へと化した男を視て呟き、はたと何かに気が付いたように「あ」と声を漏らした。見開いた目、すぐにしまったと云う風に眇られ、「あー、聞くこと有ったのに。まいった」頭を掻く。顎に手を当てるのと、開いた手の指先で宙を掻き回すのは思考するときの癖なのだろうか。暫くその所作を伴った思考を続け、やがて諦めたかのように表情を崩し、顎に当てていた手を下ろす。嘆息し、「まぁいいか」と呟く。「どうでもいいか。
    夢の字 さん作 [392]
  • Killing Night Freaks/Between Chapter2 and 3.『あの人は今』-1

    「はっ……はっ……はっ……っぐ」山中、大きな犬の背中に負われながら、男が荒い息を吐く。時折呻きが混じるのは、痛みを堪えているからだろうか。男が自分の右腕を見る。半ばまで切られ、骨にも皹が入っていた腕だ。応急処置に治療符を貼ったものの、余り効果はあがっていないようだ。どうにか皮膚と血管は繋がったらしいが、中の筋繊維までは治癒できていないらしい。これでは戦闘を行えない。出来たとしても式を放つことくら
    夢の字 さん作 [533]
  • Killing Night Freaks/Between Chapter2 and 3.『あの素晴らしい**をもう一度』

    「生きてるって、楽しいか?」 白い。窓に掛けられ、陽光を透かす薄手のカーテンも。清潔に輝く真新しい天井も。ベッドもシーツも壁もチェストも、僕の視界に写る全てが、白い。だからだろうか。掛けられた言葉が、いやに白々しく聞こえるのは。一笑に付そうとして失敗し、は、と引き攣った笑い声が口から零れた。僅かに、冷笑の気配。……いいさ。幾らでも笑えば。「言いたいことが分からないな」「色んな制約があって、色んな
    夢の字 さん作 [530]
  • Killing Night Freaks/Chap.2-17

    「ねぇ、あなた」「カヅキ」「……え?」「名前だよ。兎の場所の、歌うに月で、兎場歌月。君は?」「何をいきなり」「背中を預けあった仲だから。知っておきたいんだ、君の事」それだけじゃないけど。「で、なんであなたの名前を」「ほら、相手に名前を聞くならまず自分からって言うでしょ」「あなたの名前、前に聞いたんだけど」「そこはほらノリで。てか、覚えててくれたんだねぇ」思わず目尻が下がる。が、「“次会ったら殺す
    夢の字 さん作 [378]
  • Killing Night Freaks/Chap.2-16

    むせ返るような血の臭いに満ちた空間で、ゆっくりと身を起こす影がある。少女だ。返り血で髪と肌を斑模様に染めながら、鋭い目で辺りを睥睨する。動く影は無い。山、人工林は音を吸い込んで静かだ。それを確認して、少女は身体から力を抜いた。「……意外となんとかなったねぇ」「そうね」問い掛けに返る言葉には、僅か、含まれていた険のような物が少なくなっているような気がした。気負いの少ない、軽い言葉。疲れているだけか
    夢の字 さん作 [369]
  • Killing Night Freaks/Chap.2-15

    茂みが揺れる。周囲一斉に鳴り響いたそれの音源は猟犬だ。全部で十以上は居る。くそ、まだこんなに居たか!「……っ! まだこんな余力を残して!」投擲したナイフを猟犬の頭蓋に突き立てながら、少女が叫ぶ。舌打ちを一つ。飛び掛かってきた一匹を切り開いた向こうに、一際大きな犬の背に跨がる男の姿が見えたからだ。追おうとするが、ダメだ。迂闊に動けば周りの猟犬にやられる。完全な包囲。厄介な事この上ない。「犬はもう懲
    夢の字 さん作 [403]
  • Killing Night Freaks/Chap.2-14

    「少し、その男に聞きたいことが有るの。だから……」「やあ、久しぶり」「……殺さないでくれると助か、ってあなた」声をかけてようやく僕に気付いたのか、少女が声を止める。息を詰まらせて目を見開き、注視する。「そんなに見詰められると照れるんだけど」「……生きていたのね」「あれスルー? 折角ボケたのに」「……まぁいいわ。それよりそっちの男だけど、聞きたいことがあるから殺さないで」そっちの、の所で視線が一度
    夢の字 さん作 [348]
  • Killing Night Freaks/Chap.2-13

    …………まだ!跳躍しながら半身を捻り、後ろ回し蹴りを近くの木に叩き込んだ。衝撃。足が軋み、痛みに顔を顰め、けれど全てを無視して踏み切った。跳ぶ。銃声は下を抜けた。空中で更に身を捻れば、視界の下、枝葉に隠れるように潜む人影。こちらを見上げ、唖然としている。笑みを返し、腰のホルダーから鉈を抜き放った。全体銃と落下の勢いを載せて、振り下ろす!響く金属音は、鈍く。刃はライフルの銃身に防がれていた。押し返
    夢の字 さん作 [326]
  • Killing Night Freaks/Chap.2-12

    背側の大きな幹に身を隠しながら、“それ”の元に近付いた。慎重に、木の影から身を出さないようにして“それ”を背負う。重い。そして臭い。当たり前だが、起動力が大幅に削られ、先程までの様に自由には動き回れなくなる。けど、これしか方法は無いんだ。銃声がこだまし、大きな幹が削られた。……よし。向こうにこちらの動きは悟られていない。これならいける。慎重に歩を進め、身を隠している大木の前で立ち止まる。深呼吸を
    夢の字 さん作 [348]
 
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