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夢の字 さんの投稿された作品が61件見つかりました。

 
  • Killing Night Freaks/Chap.1-2

     深夜1時。僕が歩く住宅地にも明かりの消えた家が多くなって来た。健全な人間はこの時間にはもう眠るのが普通なのだろう。眠っていないのは残業を終えて帰宅したばかりのサラリーマンとか、友人と会話しているうちにすっかり遅くなってしまった女子高生とか、大体そんなところだろう。僕みたいに、何かを探してさ迷うことだけを目的をしている人間なんてそうそう居るもんじゃない。ただでさえ夜は危ないと言うのに最近は通り魔
    夢の字 さん作 [344]
  • Killing Night Freaks/Chap.1/『それは死に似た闇色で』,1

     ずっと、退屈な日常を過ごしていた。朝起きれば洗顔を済ませ朝食を採り、着替えてから学校に行く。つまらない授業に耐え、昼食を食べながらそれなりに親しい友人達と会話する。放課後になれば部活動に精を出す生徒たちを横目に帰宅し、後は、夕食と風呂を済ませて眠るだけ。 僕という人間の日々を構築するのは、これだけ。単純で、有り触れていて、何の面白味もない日常。平淡で平凡なルーチンワーク。輝かしい業績と無関係な
    夢の字 さん作 [350]
  • Killing Night Freaks/prologue

     走る。走る。走る。走る。 絵の具を塗り固めたかのような漆黒の闇の中、一寸先すら分からない真夜中の道を、彼女はただひたすらに走っていた。振り回す腕は宙を泳ぎ、ばたつく足は些細な凹凸に躓きそうになる。それは誰かが見れば鼻で笑うであろう無茶苦茶なフォーム。けれど彼女は、必死だった。傍目にはどんなに間抜けに映ろうとも、全力で……逃げなければならない。 そう、彼女は逃げていた。背後に迫る何かから、不様に
    夢の字 さん作 [398]
  • 落花流水、22,5話。

     マッチを擦り発火させ、くわえた煙草に火を点ける。一瞬の間。火が点いたことを確認し、マッチを振って火を消した。炭化したそれを灰皿に突っ込み、煙を吐く。やがて吐き出された紫煙が空気に紛れて消える頃、カウンター席で椅子に背を預けていた醐鴉は、視線だけを動かして店の片隅を見遣った。そこに座る二人組を見て、口元を緩める。「珍しいですよね。めーくんが、あんな風に誰かと話してるの」 いつの間に近くに来たのだ
    夢の字 さん作 [373]
  • 落花流水、22話。

     溜息混じりに答えた少女に睨みを効かせると彼女は眉をしかめ、「だってそうでしょ。私は主に君の観測に因って成り立っている訳だし……ひょっとして、幽霊とか苦手?」「デメリットが有るんじゃないか、って言ってるんだ、俺は」 古今東西、怪談話は数有れど。そのどれを見ても、幽霊やら何やらに取り付かれた者の末路は惨憺たるものばかりだ。それが我が身に降り懸かる可能性があるとなれば、心配にもなる。基本的に俺は、厄
    夢の字 さん作 [355]
  • 落花流水、21話。

    「ここからは仮定が混ざるけど……多分私は死神という概念の一つのアーキタイプでしかなかった。魂を回帰させる役割を担った世界(システム)の一部で、そこに人格なんてあってないようなものだったから」 そこまで言ってから、少女は「冷めるよ」と俺の手元を指差した。どうやら食事の手が止まってたらしい。逡巡の後、残りを全て口の中に詰め込んだ。苦心して咀嚼して、水を流し込むことでなんとか嚥下する。と、くすりと吐息
    夢の字 さん作 [347]
  • 落花流水、20話。

    「それは、君が居るから」「俺が?」 そう、と少女がカップに口を付けたまま頷く。そしてそのまま砂糖水と化したそれを啜り首を傾げると、更にミルクを追加した。……もはや、何も言うまい。見なかったことにしよう。「君が私を“視て”いるから。だから私は此処に居る。此処に居て、触れられる」「……それだけじゃ分からないな。一体どういうことだ?」「“観測”だよ。総ての事象は観測によって成り立っている……って言って
    夢の字 さん作 [343]
  • 落花流水、19話。

     まぁ、いいんだけと。そう言ってマスターは自分の為に入れたコーヒーを持ってソファスペースへと戻っていった。経営者としてあの態度はどうなのだろうか、と言うのも今更か。もう一口、オムライスを口に運ぶ。「んー……まったりするねー。最近殺伐としてたから尚更」「俺はこの方平和だがな。あれ以降仕事もないし」「それは、私も一緒だけど。なんか最近お亡くなりになるお方が多くって。……特に、自殺が」「半分は俺関連だ
    夢の字 さん作 [369]
  • 落花流水、18話。

    「なぁ、百目よぉ。お前、いつの間にこんな可愛い娘と仲良くなったんだ? 最近じゃお前、仕事かここ来る以外外にも出てなかった癖によ」「煩い。悪かったな、引きこもりで」「責めてない。責めてないぜ百目くんよぉ。だから話せよ、二人の馴れ初めって奴を」 話をはぐらかそうにも、煩いと一蹴しようと醐鴉に諦める気配はない。そんなに俺が誰かと一緒に居るのが珍しいのだろうか。絡み付く腕を振り払い尚も食い下がる醐鴉に、
    夢の字 さん作 [330]
  • 落花流水、17話。

    「ほらよ、頼まれてたもんだぜ」 そう言葉を添えて投げられたものを、俺は空中でキャッチする。シンプルな、折り畳み式の白の携帯。サブディスプレイには今日の日付と、現在の時刻が正確に表示されている。12月10日、午後02時28分。ちょうど前の仕事から四日たっていた。手にした携帯を一通りいじくり回して手に馴染ませると、俺はポケットにそれを突っ込むと醐鴉に感謝の意を告げた。「しかし、ご挨拶だな。店に入った
    夢の字 さん作 [349]
 
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