トップページ >> 沖田 穂波 さんの一覧
沖田 穂波 さんの投稿された作品が90件見つかりました。
-
人斬りの花
0 序椿返り血が痛いごめん愛しい君君は最期まで俺を想って冷たくなった俺は自分を呪いたいそんな君を君の命をこの手で奪ってしまうなんて≠≠続く≠≠
沖田 穂波 さん作 [597] -
○●純+粋な恋拾遺●完
純+粋な恋 『純愛』生暖かい秋の夜空に優しく開いた秋桜が枯れないようにと強く願った黄金の光の差し込む窓辺でただ涙するのはどれだけ悲しい事だろう消えて行く命の炎と尽きる事のない君への思い叶う事のない初恋に胸が締め付けられる私はいつか君を思い描いて手を伸ばす何も掴めない我が手をきっと絶望感に浸りながら下ろすのだろう。だけど君が幸せならそれで良いだってこの思いは死んでも消えることは無いのですから。[淡
沖田 穂波 さん作 [584] -
○●純+粋な恋拾遺●8
2-3 傍ら痛き若人「お前は,まだまだ生きるんだ。」そう住職は純に言った。しかし,本当は,それを強く自分に言い聞かせていた。― 優しいなぁ,住職は。純は思った。住職は死の見えた自分に少しでも生きる道を開こうとしてくれている。「 ‥ 生きます。 」純は呟いた。その声には,些か諦めの色がある。「 生きますよ。 」今度は,はっきりと言った。純の声や表情からも,さっきの諦めの色はない。死ぬまで精一杯生き
沖田 穂波 さん作 [388] -
○●純+粋な恋拾遺●7
2-2 傍ら痛き若人「懐かしいなぁ,昔,寺の看板に落書きして,馬鹿者!!って住職に怒られたっけ‥。その時は凄い勢いで怒鳴られて,私は怖くて子犬のように震えていたなぁ。」と,純は,震える素振りをしてみせた。住職は,そんな純につられてつい笑ってしまったが,すぐにまた深刻な顔に戻った。「こら,話をそらすんじゃない。一体,どんな病なんだ。治るのか?」「困るなぁ。」と純は目を丸くし,「仕事柄,死人の顔見慣
沖田 穂波 さん作 [393] -
○●純+粋な恋拾遺●6
2 傍ら痛き若人淡矢 純。齢23にして死を悟っていた。と言うのは,純の体は亡き母親と同じ重い病に蝕まれていたのだ。その事は,吐血して初めて純自身も気が付いた。病の進行は早く,もはや死は逃れられない。無傷なまま死ぬ事を望んだ純は,あえて治療をせず,いつ訪れるやもしれぬ死をただ待ち続けるのだった。†純は,1人で外へ出た。病に蝕まれてから,1人で出歩いたのは何日ぶりだろう。今日はよほど体調が良いらしい
沖田 穂波 さん作 [399] -
○●純+粋な恋拾遺●5
1-5 こころ憂し「どうして,お母さんの葬式をほったらかしにできるの?!」「ほったらかしなんて, してない。」男の子の目は次第に潤んできている。「お母さんは言った。こんなちっぽけな生き物の命の重さが,ちゃんと理解出来る優しい子になって欲しい‥って。」男の子は働かせていた手を止めた。「だから僕は,お母さんの望みを叶えてあげるんだ。優しい子に,ならなきゃいけないんだ。」― そうか‥。と,粋乃は男の子
沖田 穂波 さん作 [411] -
○●純+粋な恋拾遺●4
1-4 こころ憂し春子の噂の事を誰に聞いても,知らん。の一言で,ある人は,指南所に飽きて夜逃げでもしたんじゃないか。とも言った。春子の手がかりが無くなった粋乃は,毎日を仕方なく過ごした。†4ヶ月が過ぎた。8月の眩しい太陽が容赦なく地を照らし出した頃,階堂家に訪ねて来た客人が,いつもの様に世間話をする中で,久しぶりに春子の名を口にした。「指南所の 春子ですがね‥」粋乃は反射的に客人の話に耳を傾けた
沖田 穂波 さん作 [420] -
○●純+粋な恋拾遺●3
1-3 こころ憂し「分かっています。でも,これだけは言わせて下さい。」春子は真っ直ぐに女中を見た。「粋乃ちゃんは子供です。もっと,自由にしてあげて下さい。家を抜け出したのは,自由になりたかったからなんですよ。」「あなたに,お嬢様の何が分かると言うのですか。偉そうに。」「分かりますよ。私にも粋乃ちゃんと同じ年頃の息子が2人もいるんですから。」春子は必死に訴えるが,なおも女中は言い張る。「お嬢様は階
沖田 穂波 さん作 [515] -
○●純+粋な恋拾遺●2
1-2 こころ憂し「誘拐だとか思わないでね。お嬢ちゃんが帰りたくないって顔をしていたから,ちょっと協力してあげたの。」春子は少年のようにニッと笑った。粋乃は,何故かその無邪気な笑顔につられ,ついて行ってしまったのだ。春子は粋乃を指南所の離れに案内した。春子には何故粋乃が家を抜け出したのか分かっていたらしい。どちらかと言うと,大人よりも子供の気持ちの方が分かるのだ。「お願いがあるの‥」粋乃は春子の
沖田 穂波 さん作 [401] -
○●純+粋な恋拾遺●1
○●純+粋な恋拾遺●11-1 こころ憂し15年前の事である。階堂家の近くには,春になると見頃を迎える桜並木。そして,そのすぐ側に古くから続く書道指南所があった。そこで師範として務めていたのは,淡矢春子。純や,京太郎の母親である。指南所の春子と言えば,ここらでは,いい歳しておてんばな変わり者として知られていた。当時,6才の粋乃は,近所に住むこの変わり者のおばさんが,なんだか好きだった。†初めて粋乃
沖田 穂波 さん作 [519]