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沖田 穂波 さんの投稿された作品が90件見つかりました。

 
  • ○●純+粋な恋●?

    5-? 初秋の桜『何が, あったんですか?』純がためらう粋乃の背中をおした。『兄弟の母親が,病で亡くなったんです。』純は,自分の母親が亡くなった時の事を思い出した。『私が遊びに行った時,ちょうどお通夜の最中でした。しかしそんな中,その兄弟の1人が,外でしゃがみこんで何かをしているんですよ。』『母親の通夜なのに‥』『私は,その子が何をしているのか覗いたんです。死んだ蟻の墓を作っていました。』『蟻の
    沖田 穂波 さん作 [401]
  • ○●純+粋な恋●?

    5-? 初秋の桜季節はもう,秋の香りがしていた。純は死への道を一歩一歩歩んでいる。体調の悪い日が増えた。今日の様に外へ出たのは何日ぶりであろうか。寝てばかりの純1人では足元がふらつくので,粋乃が純の体を支えた。2人は,吸い寄せられる様に出会うきっかけとなった桜並木の墓へ向かった。時が経つことに逆らうように,墓はその場所にあった。長い間放置されていたにも関わらず,きちんと整えられている。多分,粋乃
    沖田 穂波 さん作 [399]
  • ○●純+粋な恋●?

    4-? 夏の訪問者†今日も粋乃は純を見舞いに来た。『具合はどうですか?』『変わりないです。』粋乃への気持ちに気付いた純は,粋乃の美しい目を直視することができない。『どうかしました?』粋乃はいつもの様に純に微笑みかけた。『ぃ,いえ何も。』『でもどこか変です。』純の側に正座しながら言った。『そんな事は‥。』『いいえ,変です。 だって‥。』粋乃の言葉が途切れる。『今日は,私の目を見てくれませんもの。』
    沖田 穂波 さん作 [510]
  • ○●純+粋な恋●?

    4-? 夏の訪問者†それから粋乃は毎日純を見舞いに来た。いつの間にか寝てばかりの純の,楽しみの1つになっている。『最近,あの子よく来るな?』京太郎は言った。『以前,お前が出会った桜並木の心優しい女とはあの子の事だろう?』『え,そうですが‥何故それが?』粋乃が桜並木の女だとは一言も兄には言っていなかった。『お前を見ていたら分かるよ。』『私を?』『ああ。』と,京太郎は純を覗き込む様に見た。『最近のお
    沖田 穂波 さん作 [449]
  • ○●純+粋な恋●?

    4-? 夏の訪問者『好きです。』粋乃のこの言葉が何度も純の中で繰り返される。恋愛にうとい純にとってこれは未知な言葉だ。『私は,恋と言う物をまだ知らない。』純は粋乃に言った。『だから,好きとはどういう感情なのかも分からない。でも‥』『でも?』『もし私がそれを知る事が出来たなら,まず一番にあなたであって欲しいです。』粋乃はそれを静かに聞いていた。『私のそばに,居てくれませんか?私が,自分の気持ちに気
    沖田 穂波 さん作 [433]
  • ○●純+粋な恋●?

    4-? 夏の訪問者『ただの風邪にしては随分長引きますね?』粋乃は純に尋ねた。純はこの前見舞いに来た粋乃達に,ただの風邪だと言っていたのだ。『それにお痩せになりましたわ。』純の目を粋乃は真っ直ぐに見た。純は心の中を見透かされているような気がして顔を背けた。『本当の事を,話して下さい。』不思議な静けさが辺りを包む。夏の午後は,こんなに静かだっただろうか。『私は‥』純は重い口を開いた。『私は,もうじき
    沖田 穂波 さん作 [457]
  • ○●純+粋な恋●?

    4-? 夏の訪問者純は1人,どうしようもない不安に襲われていた。孤独だ。子供達と,この場所で書道をしていた頃が夢のようだ。ーこのまま1人孤独に死んで行くのかな桜並木の墓の事を思い出した。手が震える。これも病のせいなのかわからない。治療をする事を望まなかった純の体はめっきり痩せていた。衰えてゆくのが自分でも分かる。食事も喉を通らない。京太郎は困った。自分には何もする事が出来ない。しかし純はいつも笑
    沖田 穂波 さん作 [446]
  • ○●純+粋な恋●?

    4-? 夏の訪問者最近はめっきり暑くなった。所々から聞こえる蝉の声が,余計に暑さを増している気がする。『私は,治療しませんよ。』純は病を告知した京太郎に言った。告知されずとも,自分が難しい病だと言うことは分かっていた。『どうせ死ぬなら私は無傷なまま死にたい。それに,治療したらここに居られなくなる。』『お前は,そう言うと思っていたよ。』京太郎は純に向き直った『だが,俺はお前に少しでも長く生きていて
    沖田 穂波 さん作 [450]
  • ○●純+粋な恋●?

    3-? 初夏の路拓和はまた駄々をこねていた。『嫌だ!!まだ帰りたくない!!』『何言ってるの!!もう日が暮れるでしょう!』粋乃がこの駄々っ子を厳しく叱った。しかし,『帰るもんか!!師匠のそばにいるんだ!!』拓和は純の袖を掴み,離れようとしない。純は嬉しいやら粋乃に申し訳ないやらで,複雑な心持ちになった。『拓和,今日はもう家に帰りましょう。お姉さんさんを困らせては駄目です。それにここら辺は,暗くなる
    沖田 穂波 さん作 [533]
  • ○●純+粋な恋●?

    3-? 初夏の路その頃,京太郎は純の担当医と話込んでいた。吐血して倒れたのだ。ただの病ではない事位,京太郎にだって分かる。『それで,純はどの様な病なのでしょうか。』京太郎はこの年老いた医師に訪ねた。『わしは,かつて春子さんの担当医でもあったが‥』医師は重い口を開いた。春子とは京太郎と純の母親の事である。『純君は,春子さんの病の時と同じのようだ。』『ーやはり‥。』京太郎の顔が曇った。京太郎が12の
    沖田 穂波 さん作 [480]
 
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