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ルクルト さんの投稿された作品が16件見つかりました。
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夏祭り6
夏祭りの次の日、東京に帰る僕をナナは泣きじゃくりながら離そうとはしてくれなかった。母さんがなんとかなだめてくれたけど、最後までしっかりと握りしめていたナナの手の強さは今も忘れていない。あれから15年が過ぎた。「父さんいつまでネクタイなおしてるんだよ」「コータ、先に行っててくれ。父さんあとからいくから」「ちゃんと来るんだからな?ナナ待ってるんだから」「わかってるわかってる」トイレの鏡の前でしきりに
ルクルト さん作 [281] -
夏祭り5
帰り道、ナナは白い金魚を見つめながらホントに嬉しそうに笑っていた。家に帰ったら母さんが迎えてくれて、金魚を水槽に入れてくれた。はしゃぎすぎて疲れていたのか夕ご飯を食べてお風呂にも入ったらナナはもう寝てしまった。母さんと2人でリビングでテレビを見ていると母さんが僕の手を握りしめて言った。「今日はありがとうねコータ」「ナナ、明日泣くだろうね」僕は明日父さんの待つ東京に帰る。父さんと母さんが離婚したの
ルクルト さん作 [251] -
夏祭り4
「金魚とれなかった」ナナはかなり落ち込んで涙目になっている。「あと100円しかないから仕方ないよ」「白い金魚欲しかった」ナナは水の中を楽しそうに泳ぐ白い金魚をじっと見つめて動こうとしない。「そろそろ帰らないとお母さん心配するよ」そう言ってナナを引っぱるけどなかなか動かない。「お嬢ちゃんこの金魚がそんなに気に入ったのかい?」「うん、白いのキレイなの」見かねて金魚すくいのおじさんがナナに声をかける。
ルクルト さん作 [261] -
夏祭り3
金魚すくいは200円で三回挑戦できる。「これで金魚すくうの?」金魚をすくう「ポイ」をまじまじと見つめたあとナナはおもむろにポイを水にくぐらせた。「えい!」ポイを白い金魚の下に持ってきて勢いよく持ち上げる。しかし金魚はするりとナナのポイをすり抜けてしまった。「逃げちゃった。もう一回!」再度ポイを水につけるがさっきの勢いのせいで紙は破けかかっていたので金魚は真ん中を破いて逃げた。「失敗しちゃった」「
ルクルト さん作 [238] -
夏祭り2
神社に着くともうすごい人だかりでナナは「人がいっぱいだねぇ」と変に感心していた。お母さんからもらったお小遣いは1000円だからあまり贅沢はできないな。「ナナはなにか欲しいものある?」境内の両脇にたくさん並んだ出店を眺めながらナナに聞いてみる。「りんご飴と、えっと、綿アメ!」ナナは人が多くてそのままじゃ出店ののれんが見えないらしく、何度もジャンプして食べたいものを確認していた。りんご飴は小さいのを
ルクルト さん作 [269] -
夏祭り1
春に五年生になった進級祝いで買ってもらったお気に入りのスニーカーを手早く履く。待ちきれない気持ちがそのまま足踏みに、そして大きな声となってあふれる。「早くしないとお祭り始まっちゃうよ!」「コータはせっかちねぇ。もう」呆れた顔をした母さんに連れられて妹のナナがようやくやってきた。「お兄ちゃん、どう?似合ってるかな?」薄いピンクに黄色いお花があしらった浴衣の袖を持ってナナが頬を少し染めて聞いてくる。
ルクルト さん作 [332] -
お姫さまと道化師3
お姫さまは言いました。どうか彼を助けてください。でなければ私は、隣の国の王子さまと、結婚などはいたしません。王様は怒って言いました。お前などは娘じゃない。どこへなりと行くがいい。城を追い出されたお姫さま。その隣には道化師が申し訳なく佇みます。お姫さまは道化師に言いました。今までの私は姫という役を演じる道化師でした。嘘の笑顔を顔に描いて一生おどける運命でした。それをあなたが変えてくれたのです。あな
ルクルト さん作 [261] -
お姫さまと道化師2
森の中の静かな湖畔、月明かりのスポットライト。たった1人の観客と、道化師だけのサーカスが、一夜限りの開幕です。ヘタな玉乗り、つたない軽業。一生懸命道化師は、お姫さまのためにがんばります。お姫さまは笑います。芸がヘタだからではなくて、道化師の気持ちが嬉しくて。2人が城に戻ったら、道化師はお姫さまをつれだした極悪人。城の地下牢に閉じこめられました。
ルクルト さん作 [246] -
お姫さまと道化師1
芸もできない道化師が、身分違いの恋をしました。綺麗で優しいお姫さま。一目で道化師は恋をしました。サーカスをクビになった道化師は、もいちどお姫さまに逢いたくて、城の使用人になりました。再会したお姫さまは、もうすぐ隣の王子さまと、結婚しなくちゃなりません。お姫さまはいいました。今宵一晩だけでいい、ここから私をつれだして、あなたの芸を見せてほしい。
ルクルト さん作 [281] -
カカシとカラス7
7:「せんせ〜ここがいいよ」「はやく、はやく」「はいはい。せかさないでくださいな」声がする。人間の声だ。久しぶりに聞いた気がする。「できた〜」「これでりょうてそろったね」「わたしおけしょうしてあげる」ゆっくりと目を開ける。まぶしい。光に目が慣れてくるとようやく周りが見えるようになってきた。目に写ったのはあの何もない田んぼではなかった。大きな建物が目の前に見える。オレの周りには小さい人間がたくさん
ルクルト さん作 [250]
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