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ルクルト さんの投稿された作品が16件見つかりました。
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カカシとカラス6
6:秋が終わり冬になってもカラスはやって来なかった。降り積もった雪の重みで右の腕は折れてしまい片腕だけになってしまった。返事のない淋しさに絶えられずしゃべることをやめた。最後に来た人間たちがもう農業は続けられないと言っていた気がする。関係ない。オレはただのカカシだ。ただここに立ち続けるだけなのだ。そしてオレはなにも変わらない風景を見ることをやめて、目を閉じることにした。捨てられた田んぼには片腕の
ルクルト さん作 [218] -
カカシとカラス5
5:田んぼ一面を覆いつくした稲穂も全て刈り取られ、スズメたちも今はどこか別の場所に移動したらしい。カラスが乗っていたせいで左に傾いだカカシだけがたたずむ田んぼは、さぞ寂しげに見えるんだろう。もうすぐ秋も終わり、まもなく厳しい冬がやってくる。雛は無事孵っただろうか?餌は足りているだろうか?毎日考えるのはカラスのことだ。「どうしてカカシには自由に動き回れる足がないのだろう」…返事は返ってこない。
ルクルト さん作 [289] -
カカシとカラス4
4:今日はカラスはようやく昼すぎになってからやってきた。少し痩せた気がする。というよりは今までが太ってたのか?「そりゃ卵3つも入ってりゃ太っても見えるよ」驚いた。コイツはメスだったらしい。「卵温めなくていいのか?」当然の疑問だがカラスはいまは旦那にまかせてきたと笑った。「当分カカシに会えなくなるから一言伝えたくてね」わざわざご苦労なことだ。「とりあえずおめでとう」「ありがと。雛が孵って飛べるよう
ルクルト さん作 [223] -
カカシとカラス3
3:カラスは相変わらず肩の上。日が出てるうちはいつもそうだ。日が沈むと森の巣に帰っていく。夜はほとんど目が効かないから怖いらしい。鳥目ってやつだ。「梟は夜でも見えるみたいだけどね。会ったことないんだけど」と、聞いてもいないことを答えるカラス。大体「フクロウ」ってなんだ?今日もスズメたちは稲穂をつついては舌鼓を打っている。それをぼーっと見つめるカラスとオレ。「なぁカラス」オレが声をかける。「なんだ
ルクルト さん作 [224] -
カカシとカラス2
2:今日も肩にはカラスが一羽。何も変わらない平凡な1日だ。「そういえば七つの子って歌知ってるか?」ふと前々からの疑問をカラスにぶつけてみることにした。「えっと、カーラースーなぜ鳴くのーってやつ?」カラスがカラスの歌を口ずさむ。歌下手だなコイツ。「そうそれそれ。タイトルにもなってる『七つの子』ってさ、七歳の子なの?それとも七羽の子なの?」「…人間が作った歌のことなんてわかるわけないじゃん」冷静に返
ルクルト さん作 [211] -
カカシとカラス1
1:見渡す限り一面に頭をたれた稲穂の海。冷夏の影響も少なくなかなかの豊作だ。あちらこちらでスズメが稲穂をつつく姿が見られる。実に微笑ましい。「というわけにもいかないんだよな」カカシとして生を受けた我が身としてはゆゆしき事態なのだ。「お前らいい加減にしないと太りすぎて飛べなくなるぞー」声をかけるもスズメたちは一向に食べるのをやめない。「なめられてるね〜」左肩からおもしろくて仕方ないという声が聞こえ
ルクルト さん作 [271]
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