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一月 さんの投稿された作品が32件見つかりました。
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熱帯夜
うだる夏蜃気楼の中に君を見る手を伸ばしても触れられはしないこの距離が憎らしくて日没と同時に大気はぐんぐんと冷えて恋の熱は夜が更けるほど更に温度を増して眠れない「熱帯夜」君のせいなのに君はどこにもいない何も知らずどこか遠い場所で安らかな夢を見てるのだろう僕一人君を想い君に焦がれいつの日か君知れずひっそりと焼け死ぬのだろう…密やかに夜は更けて…
一月 さん作 [208] -
騒乱
夏が迫る灼熱の太陽が地表を焦がして何もかもが熱に浮かれるどこへ逃げてもまとわりついてくる湿気を孕んだ夏の風人工的な冷気にあてられてこの体ひからびてゆくよ祭りの騒乱は遠く聞こえた涼を求めて闇夜に潜み気が付けば秋祭りはとうに終わり迫るようだった空も高く、遠く…そうして夏は騒ぐだけ騒いで知らぬ間にいなくなる毎年、毎年やってくる人騒がせな祭りの主役
一月 さん作 [214] -
寝顔
よく晴れた朝目が覚めるとあどけない君の寝顔が横にある起こさないようにそっと布団を抜け出してひっそりと朝の支度小さな声振り向いてみれば子犬のように小さく丸まって眠る君の姿思わず笑みがこぼれたまさかこんな日が訪れるなんて想像もできなかった長いこと闇に埋もれてきた僕がこうして陽の光の下で誰かと息をしているなんて君と出会い君と生きて僕に住み着いていた闇は徐々に引剥がされていった毎朝、毎晩君の寝顔を見るた
一月 さん作 [210] -
微睡み
心地よいまどろみの中で癒されてオヤスミきっと君と見る夢の水際までお先に待つことなんて慣れているからきっと君は今日も後からそっと追い掛けてくるのでしょう柔らかな朝の光の中で君と二人愛に満ちてオヤスミ
一月 さん作 [238] -
陽溜り
悩める僕にただ笑えばいいんだとそれこそ花の咲くような満面の笑みで君は言ってくれたあれから幾年月君は今日も変わらずに朝とともに起きて僕の隣で生きて陰りがちな僕という大地を一心に照らしてくれるさながら太陽のように…
一月 さん作 [370] -
哀願
とめどない涙の行く先はいつも君の腕の中絶え間ない笑顔の行末は二人で眠る墓石の下君じゃなきゃダメで君じゃなきゃ無理でこの世のどこにも君以外の居場所なんてなくてその温もりがどうか失われませんように切に願う今日を君と生きて過去を共有し明日も君と生きるそれ以外の幸せなんて別に欲しくない君がいてくれればそれでいいだから、どうか、神様お願い僕にはもう…帰る場所がないから…
一月 さん作 [338] -
月日(タチモリ)
幸せを見つけることは容易くて維持することは困難で…こんな僕にどうして君は無償の愛をくれるのかそんな君にどうして僕は泣き暮れる顔しか見せれない…
一月 さん作 [350] -
夕立
雨上がりアスファルト鉄臭い夏の午後朝焼けは遠く過去昇る陽上がり続ける熱に浮かされ幻は陽炎に消えた空を掴む行き場のないこの手いっそ手に入らぬのなら…雨上がりアスファルト血なまぐさい夏の午後…
一月 さん作 [241] -
過哭
かすかな泣き声を聞いた夕立が迫る夏の黄昏目を細めて遠くを見ればかつての自分がそこに居た闇に埋もれ目を閉じ、耳を塞ぎ折り畳んだ膝に顔を埋めてうずくまっている何をそんなに怯えているのか何がそんなに悲しいというのか何を求め、何を拒み何を憎み、何を愛すのか己のことがわからずに行き詰まって泣いている震えるその手を今、取ろう何も恐れることはない君の未来はここにあるありのまま無我であろうと突き進めここで私が待
一月 さん作 [216] -
逢瀬川
愛しい人はこの太い川の向こう…かの約束から幾星霜私一人待ち続けて…年に一度の逢瀬を焦がれはやる気持ちで岸に立つ晴れ間がのぞけばあの鵲(カササギ)が橋を渡してくれるはずけれども無常に曇天広くしとり、しとりと雨滴れる待てども待てども鵲は来ず頬を伝うは雨か涙か…晴れ着も濡れて髪も乱れてそれでもここを動けないせめて今夜が明ける瞬間(トキ)まで君を想い、君に焦がれて今年こそはと切に願って…白々と朝今年も
一月 さん作 [220]