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彰子 さんの投稿された作品が53件見つかりました。

 
  • 孤(こ) 十一

     目の前の病室のドアが振動でガタガタ鳴り、今にも壁ごと飛んで来そうだ。  美里はまた必死で走り出した。今度は確実に追われている… ‘ビチャッ ビチャッ’と、ゆっくり確実に…  でも、凄い速さを感じる… 時折振り向きながら走る美里は、さっきとは逆の方へ曲がった と、階段がある声が息と共に洩れている…出来るだけ洩れない様に、手で抑えながら走っているが、恐怖と孤独と息切れとで、どうしても洩れてしまう…
    彰子 さん作 [502]
  • 孤(こ) 十

      「 ギヤーッ !!」美里は喉が千切れんばかりの声で叫んでいた。と、赤いそれは、こっちに向かって両手を伸ばし、美里の頭から、引っぱり出そうとしている。 その感触と言えば何にも例えられない程で、何とも言えない異臭が鼻をつく。   生ぬるく、ヌメヌメしたそれは、驚く程の力強さで引っぱっている。 夢なら早く覚めて欲しいと願いながら、美里は耐えていた。 遂に引きづり出されたと思った瞬間… 美里は薄暗い
    彰子 さん作 [538]
  • 孤(こ) 九

    こちらを向いたそれは、  ″ビチョッ ビチョッ″と嫌な音をたてていた。それが動く度、自分の身体から流れ出たものだと、自覚させられる様に、神経がピクピクし激痛が全身に流れる。恐怖と激痛に倒れそうになりながら何とか耐えて立っていた〔できる事なら今すぐ、 ここから飛び出し、誰かに助けてもらいたい…〕が、部屋には鍵が付けられ、自分ではどうしようもない。監視カメラは…?色んな思いが頭をよぎるが……それは見
    彰子 さん作 [489]
  • 孤(こ) 八

    少しして痛みが薄れていったのか、それとも変になったのか、美里は放心状態の様に立ちすくんでいた。右手で血が吹き出している指を握ってはいたが、足元へそれは滴り落ちていたやがて足元に溜まり、徐々に広がったそれは、妙な形になっていく… …それはやはり赤く、しっかりとした形をとどめているようで、どこかしらプヨプヨし、今にも‘ジャーッ’と、どこかに流れだしそうではあるが、じっくりと時間をかけて人の形をとどめ
    彰子 さん作 [572]
  • 孤(こ) 七

    美里が独房の床にペタンとへたり込んだまま、何か ブツブツ言うようになり、時折、″キー キー″と言っては、髪をむしり、手足をバタバタさせて、意味の判らない言葉を発している 目は虚ろで焦点が定まっておらず、遂に精神病室へ入れられた。 出された食事をほんの少し口に入れるのが精一杯で、排泄も手伝って貰わないといけなくなった。 美里がブツブツ言っているのは常に目の前にいる昇太と話しているのだ。「ボク オム
    彰子 さん作 [550]
  • 孤(こ) 六

    美里はうなされていた。夢の中で懸命に言い訳をしていた…「…カア…サ…ン、僕ト一緒ニ…イテヨ…」と、昇太は美里に向かって手を伸ばした。 昇太の表情はなく、最期に見た、変わり果てた姿のままで、じっと美里を見つめている…  これは夢。自分の罪悪感から…昇太に申し訳ない事をしたと心で思っているから…と、自分に言い聞かせるが、昇太の目がそれを打ち消した…「ミンナ…楽シ…ソウダッ…タ… 僕ハ…イツ…モ…独リ
    彰子 さん作 [534]
  • 孤(こ) 五

    「…母さ…ん、…お…母…さん…」 美里はかすかな声で目が覚めた。 また汗びっしょりだ…。 誰もいるはずはなく、殺風景な刑務所の独房の部屋の隅で縮こまって座っている。 ここに来てから起きているのか寝ているのかも、自分で判断が難しい時がある。 「…昇…太…  …?」美里は、声にならない程のか細い声で、空間に向かって、つぶやいていた。 昇太の夢をよく見る…自分ではした事のない、公園で楽しそうに手を振り
    彰子 さん作 [533]
  • 孤(こ) 四

    クリスマス・ソングが流れている街を通り、美里は2日ぶりに家に戻った。 いつも「お母さん」と小走りで走ってくる昇太の姿はなく、布団が少し盛り上がっていたので、寝ているんだと思った。 買ってきた缶コーヒーを開けながら、妙に布団がきになる。 出かける日はすごい咳をしていたが、ぐっすり寝ているのか、妙に静かだ。 気になって布団を少し剥いでみた。 薄目を開けている昇太と目が合った、…と思った。 が、すぐに
    彰子 さん作 [577]
  • 孤(こ) 三

    12月23日  正午 この2週間位の間、昇太はご飯を食べさせて貰っていなかった。街ではクリスマスに浮かれ楽しそうな家族連れも多く見られるが、昇太は2学期が始まった頃の面影はなく、かなり体力も落ち、風邪をひいて激しく咳もしていた。 美里は出かける支度をしながら、咳をする昇太に、「うるさい!!」の言葉を浴びせた。「お母さん、お腹空いたよ、寒いよ」弱々しい昇太の声は美里の耳には聞こえず、鏡の前でメイク
    彰子 さん作 [568]
  • 孤(こ) 二

    2日程経って、美里は学校の担任の佐伯に呼び出された。「数日前、昇太君が左目の横にアザを作って、登校してきたんですが、お家で何かあったんですか?」「いえ、あの、公園でお友達と遊んでいて喧嘩になったらしいんです。普段は喧嘩なんて聞かないですが、男の子なので、そうゆう事もあるのかなと。」「そうですか…、2学期から目に見えて昇太君、元気がない日が多くなっていたので、声をかけていたんですが、『何もないよ』
    彰子 さん作 [560]
 
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