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LL= さんの投稿された作品が7件見つかりました。
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矛盾循環
泣くほど悲しくはなかった。 まだ泣くには早いと思ったし、明確な理由もまた、存在してはいなかった。けれど、泣きたい、という衝動は僕の心の奥から溢れて止まらなかった。解決の見えない難題を、何度投げ出したか分からない。投げ出した難題に、何度頭を抱え直したか分からない。でも、悩まずにはいられなくて、一人でいると、どうしようもなく、ただ頭の奥から湧き出てきてしまう。けれど、答えは出ない。いや…出したくな
LL= さん作 [342] -
高層ビル から スクランブル交差点 へ
ノアの箱舟。それは聖書の中にかかれた1つの逸話。俺はキリスト教信者でもなければ、熱狂的な聖書ファンでもない。だからなぜ神様が地球を一度洗い流したのか、その理由は知らない。調べようとも思わない。だが‥こうして人込みの中にいれば大体の想像はつく。何よりも、ウザったい。五月蝿い。気持ち悪い。神様もそうだったのだ。気持ち悪いぐらい増えた人間達を洗い流す。それは至極当然なこと。誰もが思いつく最良の手立て…
LL= さん作 [329] -
永遠-Prologue-
雨の日‥‥。雨音しか聞こえない静かな教会で、彼女は一人膝をついた。「私はどこにいるのでしょ?」雨の音にさえ掻き消されそうな、掠れた声で彼女は言う。《お前は、そこにいるよ!》俺はその問いに精一杯返答する。「私はなぜ独りなのでしょう?」《お前は独りなんかじゃない! 俺が‥俺がずっと側にいるっ!》「なぜ、私はこうも不幸なのでしょう?」《‥‥なんで、、》「なぜ、私はこうも蔑まれるのでしょう?」《なんで、
LL= さん作 [329] -
夢-2-
それは、たくさんの偶然の重なりで、ただ一つの想いを貫いた結果だった。その日はたまたま、いつもより早く起き、偶然、つけたテレビがニュースをやっていて、そして‥‥ふと、ずっと探していた彼女を見つけたのだった。心が踊り出す程の嬉しさと、心が裂かれる程の悲しさと、初めて夢以外で見た君の表情は、笑顔とは程遠い、涙にあふれていたのだから‥僕の足は、たまらず走り出していた。それは悲惨な事故。旅客機墜落。死者3
LL= さん作 [326] -
夢-1-
拝啓。夢の中の貴方へ貴方のことが大好きです。だから、教えてください‥拝啓。夢の中の君へ君のことを愛しています。だから、教えてほしい‥君は、貴方は、どこにいるのですか?−−−−−−−−−−−−−−初めてこの気持ちに気づいたとき、こんな感情は不健全だと、漠然と思った。誰にも打ち明けられはしなかった、自分でさえ言い表せない感情を他人に理解できるはずがないと思っていた。周りにカッコイイ人がいなかったわけ
LL= さん作 [432] -
楽園(後)
彼はほんの数秒、女性と唇を重ねて、にこやかに笑い、そして…その場で喉を掻き切って死んだ。そこは楽園だ。悲しむ者は誰も居ず、哀れむ者は誰も居ず、駆け寄る者も、悲鳴をあげる者もいなかった。ただその死を知り、淡々と彼を崖から棄てた。楽園は死を知った。 それはただのゴミになったのだと。翌日、昨日まで彼が語っていた場所に人だかりが出来ていた。だが、そこに彼の姿はなく、楽園の住人はただそこに佇んでいた。次
LL= さん作 [399] -
楽園(前)
そこはなにもない楽園だった。皆が平等な世界だった。この世界は善も悪も、幸も不幸もないがゆえに、日々の営みに差は生まれなかった。ただ、連綿と続く日常は、平坦で、ただ、漠然と過ぎる時間は、無意味だった。だからここには、なにもない。新たに芽吹く命もなく、老い死ぬこともない閉じたここは、なにもないがゆえに平等で、なにもないがために楽園だった。ただ、それをよしとしない者がいた。ただ一人、彼は楽園の皆に幸せ
LL= さん作 [442]
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