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高橋晶子 さんの投稿された作品が46件見つかりました。
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彼の恋人
痛ましい事件から2ヶ月経っていた。町中がクリスマス気分で浮かれるこの時期になると、高校卒業後の進路が決まる生徒が次々と現れる。青海では、祥恵が富山大芸術文化学部の推薦入試に合格し、狂喜乱舞。桜庭では、惇が温泉旅館の事務員に就職が内定し、泉は明治学院大経済学部の推薦入試に合格した。就職クラスの大半が公務員と福祉事業所の何れに就職が内定する一方で、進学クラスでは泉と同様に大学の推薦入試に合格した生徒
高橋晶子 さん作 [244] -
彼の恋人
翌々日、修学館では授業が再開した。事件のショックで学校に行けない生徒が博文のクラスにもちらほらいる。しかし、学校全体でこの悲劇を乗り越えなければならない。受験勉強の追い込みは、最悪の状況で始まってしまった。全日制の授業が滞りなく終わり、教室内に生徒は博文のほかに数人いるのみとなった。3種類の菊と花瓶を抱えた女性が教室に入って来た。佳純のクラス担任・水落だ。水落は呟きながら博文の席に花瓶を置き、菊
高橋晶子 さん作 [139] -
彼の恋人
突然の連絡だった。夜10時過ぎになって、文化祭中止の連絡網が博文の自宅に回って来た。電話の声はクラスの女子生徒だ。「『定時制の生徒が殺された』って警察から学校に電話があって、『2日目は中止にします』という先生からの連絡が回ったの。大至急次の人に電話して!」博文は急いでクラスの男子生徒に中止の旨を電話で伝える。翌朝の朝刊の地元欄に、「昨夜9時頃、県立修学館高校定時制4年のアルバイト(19)が殺され
高橋晶子 さん作 [242] -
彼の恋人
千聖のクラス(3年7組)が出しているオタク喫茶は、教室内に特撮ソングが流れ、アニメや特撮のフィギュアとポスターが囲む。混沌が渦巻く空間で寛いでいる博文と臨は、州和の浮かない表情を瞬時に見抜いた。「おぉ! 君達、もう出し物見て来たの? 關ちゃんの様子がおかしいけど……」「ねぇ、亜鶴。關君どうしたの?」「手芸部員が実演した指編みのストラップを關ちゃんが当てちゃってねぇ」亜鶴はニタニタしながら州和の右
高橋晶子 さん作 [142] -
彼の恋人
「芋煮会が恨めしいったらないわ!」妹の高校で文化祭が催される時に、桜庭では芋煮会が催される。しかも強制参加だ。みくは玄関でブツクサ言いながら自宅を後にする。娘達を送った後、規子は克彦の前で溜め息を漏らす。「父さん、今の桜庭は私がいた頃とは随分変わってしまいましたね」「あぁ、年々教え子の友達付き合いが表面的になっていくのを感じていたよ。同僚も、『同窓会を開こうとすると、なかなか教え子が集まらない』
高橋晶子 さん作 [445] -
彼の恋人
「これだから温室環境は外の世界を知らない人間ばかり作るから、辞めていく生徒が多いのよ!」今朝も弟に学校の話題を聞かされた泉は、苛立ちをクラスの男子にぶつけている。だが、誰も「今更愚痴ってもしょうがない」素振りを見せる。「大学なら何処でもいい」と半ば投げやりになっている連中の前で愚痴を溢すのが虚しい。進学クラスは、泉の様に割りと勉強熱心なタイプとそうでないタイプとの間に深い溝が横たわる。前者は成成
高橋晶子 さん作 [115] -
彼の恋人
青海高校文化祭、2日目。この日の吹奏楽部ライヴは、1年生を中心とするフレッシュな顔触れが揃う。大にとってデビュー演奏となる。しかし、ここでも桜庭に通う兄弟姉妹のしがらみが顔を出す。州和が大に桜庭の温室環境を茶化してきた。「残念なこった。今日、桜庭の連中は校内一斉模試だってお前も言ってただろう? 外の出来事を知らずに純粋培養されるんだから、文化祭の事も当然知らないよな? 大君」「姉に学校での出来事
高橋晶子 さん作 [130] -
彼の恋人
大盛況の内に終わったショーに、孝政は一人どんよりした。男子生徒がオバサンに扮してヲタ芸をするのだから、引く筈だ。クラス出展のコスプレ喫茶で博文達5人は一息つく。「彩子のクラスは男子の数が多いから『ザ・ヲバ芸ショー』が実現できたのね」「元ネタの深夜番組を見てた人が多かったからね。女子は敢えて裏方に回って、彩子が仕切ってきたんだって」臨と千聖の会話に裕介が割って入る。「佳純さんも見に行けばいいのに、
高橋晶子 さん作 [433] -
彼の恋人
青海市に文化祭シーズンが到来した。青海高校はその先陣だ。前日、博文はいつもの落書きの返事にしょんぼりした。青海の文化祭は毎年楽しみにしてるけど、今年は行けない(;O;)そう、昨年は全日制組5人に佳純を加えた顔触れで青海の文化祭を楽しんだものだった。だが、今年は6人揃って楽しめるのか……?当日、現地集合した面々を見渡した裕介は博文を問い詰める。「博文ィ! みくの両親も一緒に来るとは聞いてないぞ!」
高橋晶子 さん作 [113] -
彼の恋人
桜庭学園の隔年行事・体育祭が始まった。校内行事で出席日数にカウントされるため、生徒は参加せざるを得ない。ジャージのデザインまで桜庭の保守的な体質が浮き彫りになる。泉が怒りを込み上げる。「この紺ブルマ。今時ロリコンとかフェチにしか見向きされないわよ! 男子は白短パンで太股丸出し! 修学館と青海のジャージはカッコいいから嫉妬しちゃうわ!!」「泉ちゃん、声大きい」男子は青いスーツ、女子は小豆色のスーツ
高橋晶子 さん作 [626]