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マリリン さんの投稿された作品が35件見つかりました。
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年下の彼 ? 覚醒
哲也のその告白に、理子は、頭を激しく殴られたような衝撃を受けた。 「彼の言う通りだわ… 私は、彼を責められる資格のある人間じゃなかった。 彼と一緒にいても、私は、いつも不安だったし、いつも心から楽しんでもいなかった…」人間は、意識的にしろ、無意識的にしろ、常に、嘘をつき続ける動物だと言われる。誰だって、完全に、他人を、非難できる人間なんていないのだろう。 聖書に、次のような内容の一節がある
マリリン さん作 [576] -
年下の彼 ? 裏切り
少しずつ不信感を募らせていった理子は、ある日、「図書館に行く」と告げて、出掛けた哲也の後を、つけてみた。結果、パチンコ店の中に、姿を消して行く哲也の後ろ姿に、理子は激しい裏切りを感じた。その激情は、彼女自身、押さえ堅いものだった。それは、彼女の純粋さ故…… あるいは、若さ故のものだった。2時間後、再び店の外に姿を現した哲也に、理子は激しい怒りの言葉を投げ付けた。 「図書館に行くなんて言って
マリリン さん作 [410] -
年下の彼 ? ギャンブル依存症
哲也は、他人には、なかなか、本心を見せない青年だった。その彼が、理子にだけは「君は、僕の心の一番奥……誰も入ってきたことのない暖かい場所に、初めて入って来た女性だ。」と打ち明けたのだから、彼にとって、彼女は、本当に特別な存在だったのだろう。理子は、非常にクールな一面を持ちながらも、クリスタルのような透き通った印象をもたれる女性だった。実際、非常にピュアな人間であることは間違いなかった。それ故、真
マリリン さん作 [448] -
年下の彼 ? 花火
哲也は、まだ22才という年齢のせいか、無邪気な一面を、理子に見せることがあった。「理子をおんぶして、あの坂の上まで駈け登ってみせようか?」 若い男特有のエネルギーを持て余した様子で、快活に微笑む。理子は大抵アンニュイな女だったが、時には、年下の彼につられて、妙にはしゃいだ気分になることもあった。 しかし、若干22才の男性が、3才も年上の女に、このような短期間で、何故、結婚の決意がで
マリリン さん作 [502] -
年下の彼 ? 同棲
「同棲しない?」突然、思い付いたように理子の口からその言葉が洩れた。 「俺は、きちんと結婚してから、君と暮らしたいんだ」 年下なのに、哲也は意外と古風な考えを持つ男だった。「どうして結婚の制度が、この社会にはあるんだろう?」とぼんやり理子は考える。 男女が、一緒に暮らしても、そこに子供が誕生しなければ結婚という形態を、とる必要がないのではないか?正式に婚姻の形をとっていない場合、生まれてきた子供
マリリン さん作 [497] -
年下の彼 ?
理子は、失恋したばかりだった。彼女は、とにかく淋しかったのだ。 誰かの肌のぬくもりが、ただ欲しかったのだけかもしれない。哲也とのデートの別れ際、理子は必ず「まだ帰りたくない」と甘えるように哲也の胸にすがってきた。哲也は、彼女のその言葉を自分への愛情の深さの証のように喜んだ。でも彼女は、一人の時間、孤独に押し潰されるのが、ただ怖かったのだ。理子は、哲也のプロポーズを受け入れるべきかどうか迷っ
マリリン さん作 [436] -
苦痛
人間は、一日中、ベッドで寝ていても、一日中、なにもしなくても、苦痛を感じなくなれば、幸福になれるのだろうか? 誰かの声が聞こえる。「でもそれって、もう生きてるとはいえないでしょ?……」「なるほど」それを肯定する自分もいる。 「人は、家にじっとしていられないところから不幸が初まる」という意味の誰か偉い人の言葉があるらしい。 だから、私も、今日も一日、時間を埋められる何かを探しに、出掛け
マリリン さん作 [461] -
年下の彼
「僕は、君としか純粋な結婚ができないと思うんだ…」哲也のその言葉は、理子の心にある種、不思議な響きをもってなだれ込んできた。それは感激という簡単な言葉で片付けられないものだった。「僕は、とてもクールな男なんだ。氷のような冷たい心をもってる。でも、心の一番奥深い核のような部分だけは、暖かくて、今まで誰も踏み込んだことのない場所なんだ…… でも君は、その氷を溶かして、奥の核まで入り込んできた最初の
マリリン さん作 [782] -
最後の審判 最終話
「待ってくれ…理亜… 君は逃げるのか?」 夫、寛の顔のその病人は、いきなり理亜の腕を掴んできた。その力は、とても病人とは思えない力強いものだった。 今にも死にそうだった男に、こんな余力が残っていたことに理亜は驚愕した。「は…離して! あなたは一体、誰? 聖也じゃないの? 寛なの?でもどうして?」思わずその腕を振りほどこうとしたが、容易には、自由にしてくれそうもなかった。「そう
マリリン さん作 [438] -
最後の審判 5
聖也が高い熱にうなされたのだ。 理亜は付きっきりで必死の看病をした。しかし、いっこうに熱が下がる気配はなかった。二日めの夜、聖也は高い熱に意識も朦朧として、 「苦しい… 理亜… 助けてくれ…」と息も絶え絶えに訴えてきた。 慌てて冷たいタオルで聖也の額を冷やそうとした理亜は、ギョッとして驚きのあまり倒れそうになった。 熱に浮かされた聖也の顔が、何故か彼女の夫、寛の顔に見えるのだ。 彼女に殴る蹴
マリリン さん作 [357]