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後ろからギュッと☆ さんの投稿された作品が7件見つかりました。
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彼女の右手にある秘密ー完
おそらく彼女のあのギュッと握りしめたその右手には、言葉にできなかったたくさんの不安や何かを失う恐怖で満ちていただろう。そして、もちろん隣で能天気に眠りにつこうとする馬鹿な男に対する怒りも。そのことに気付いた頃にはカーテンの外は白んでいた。僕が今できること、それは、彼女が素直に泣くことのできる場所をつくってあげることだけだった。それに気付くと同時に僕は鍵も掛けずに主人を失った部屋を飛び出した。僕の
後ろからギュッと☆ さん作 [118] -
彼女の右手にある秘密ー?
感情のままに泣き、ただ彼女の胸でこれから待ち受ける悲しい現実を受け入れるために平常心を保つ準備をした。彼女は無言でそれを許した。そんな思いが瞬時に頭をよぎった。僕は馬鹿だった。とてつもなく。彼女は、また我慢をしていた。あの時だって本心は僕に19回目の誕生日を祝って欲しかったはずだ。そして今回は、僕が未だに立ち直れないあの辛い経験を彼女もことごとく味わおうとしていたのだ。あの出来事で僕は知っていた
後ろからギュッと☆ さん作 [102] -
彼女の右手にある秘密?
ちょうど一年前、付き合いはじめの時、僕らは美貴の誕生日を祝うために神戸の宿をとり小旅行を企画していた。その前日のバイト中、ポケットに忍ばしていた携帯が鳴った。「………じいちゃんが死んだ。」と親父の声。長い喫煙歴のせいで肺を患っていたのは知っていたがこんなに急に…。お祝いムードは一変、旅行は、取り止めになった。当然といえば当然だがバイトをきりあげて車で急遽、実家の三重に帰ることになった僕に美貴は、
後ろからギュッと☆ さん作 [152] -
彼女の右手にある秘密?
その乱雑に置かれた手紙に手を伸ばすと達筆な字で美貴の実家がある岡山なまりの文章が綴られていた。美貴ちゃんへ一生懸命にやっているか?今日美貴ちゃんに送るためにうちの田んぼでとれたお米をついたから今度送るで。でも送るのは、まだウチの蔵に残っとる去年の新米じゃけどな。美貴がおらんけんまだまだ余ってしもうとるんよ。この前ウチに連れて来た瞬一くんにも食べさせてあげんさいな。去年の米でも二人で食べりゃ旨いけ
後ろからギュッと☆ さん作 [109] -
彼女の右手にある秘密?
あの自分を殴った女がもつ凶器にした右手を掴んで。でもできなかった。ここは彼女の家だし、出ていくのは瞬一の方だった。主人の居ないガランとしたその6畳の部屋は、あまりにも自分には不釣り合いだと感じていた。「俺が出ていくべきだった」と呟き、瞬一は部屋の片隅の出入口にあるスイッチを押し、暗かった玄関を照らした。そこには、ここの住所と美貴の名前が書かれた小さな手紙の封筒と紙質の違う2枚の便箋が無造作に開か
後ろからギュッと☆ さん作 [106] -
彼女の右手にある秘密?
今までだってそうしてどの彼女の震える背中も見てみぬふりをしてきたし、これからもきっとそうだろう。その時までは確実にそう思っていた。突然、ビールで満たされていた腹が波をうった。彼女の右手は固くギュッと握られ何度か鈍く僕の胸や腹を殴る。その衝撃で身体ごと何もないフローリングの床に叩きつけられた。僕は、その瞬間にわかった。あの彼女が僕を殴ったんだ。「何でこんなことするん?この1年ずっと一緒にいたけどそ
後ろからギュッと☆ さん作 [170] -
彼女の右手にある秘密?
このベッドの上は幸せだ。12月も後半、卒業論文に追われ、3日の内で3時間しか眠れない瞬一にとってこの時間が風呂上がりのビールの次に幸せだ。もちろんこの日は、その両方を楽しんだ。ただし、卒論に励む院生の田仲さんが研究室で机に隠したアルコール度数の高い酒を飲んでいたのに感化され風呂上がりとは行かなかったが研究室で一番の楽しみのビールは、済ませてきた。至福の時を終え、電気を消しても隣のマンションからの
後ろからギュッと☆ さん作 [211]
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