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RIE さんの投稿された作品が16件見つかりました。
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人形千喜と依代 第一章☆糸操家(つらあやけ)[1-6]
「…この木、千年は生きていそうだな」 桜の木を見上げて、依代はぽつりと呟いた。 幹は太く、あちこちにウロがあいている。傷が多くてゴツゴツした木だったが、依代はこの木が気に入った。 しばらくそうしてぼうっとしていると、疲れたせいなのか、眠くなってきた。「……どうせ誰もいないし、いいよな」 ぽつりと呟いた依代のまぶたが、そろそろと下がっていく。 いつしか依代は眠りについていた。 彼女の頭上で、桜の葉
RIE さん作 [201] -
人形千喜と依代 第一章☆糸操家(つらあやけ)[1-5]
「うん、まぁたまにはこういう所もいいな」遠くで鳥が鳴いている。 辺りは山で囲まれて、空気がすがすがしい。依代は大きく息を吸うと、村に足を踏み入れた。昔ながらの家が建ち並ぶ田舎ならではの風景に、依代は苦笑した。かやぶき屋根ばかりの田舎を想像していたが、それほど酷くもない。そこそこ人口も多いらしく、遠くには学校らしきものが見える。…しかし、夏休みの、しかも真昼であるにも関わらず、路上に人っ子一人もい
RIE さん作 [224] -
人形千喜と依代 第一章☆糸操家(つらあやけ)[1-4]
―そうだ、そもそも根本からしておかしい。何故、こんなことになったのだ?何故、両親はたった一日の内に亡くなってしまったのだ?…何故、自分だけ置いて行かれたのだ。「…わけわかんねぇよ?」 苛立ちの籠った呟きを吐き出した途端、依代は足を滑らせた。眼下には、急な斜面が…。「ぅわああああああ!!!!?」依代は声の限りに叫んだ。ちょっとしたジェットコースター気分だが、どこの遊園地を探しても、顔や腕に痛みが走
RIE さん作 [257] -
人形千喜と依代 第一章☆糸操家 [1-3]
>「……もしもし、糸操さんのお宅でしょうか?」>「落ち着いて聞いてください。先程、お母様が車にはねられて亡くなりました。」>「もしもし?あぁ、依代ちゃんかい?辛いかもしれないけど、落ち着いて聞いて…さっきね、お父さんが乗った飛行機が、着陸に失敗して機体が大破してしまったらしいんだ。…乗客のほとんどが重体。特に、先頭の方に乗っていたスチュワーデスを含む数人が…亡くなったそうだ。お父さんも…」>――
RIE さん作 [191] -
人形千喜と依代 第一章☆糸操家(つらあやけ)[1-2]
>透き通る様な白い頬に、キュッと引き結ばれた、形のよい赤い唇。弓なりに描かれた眉の下で、まつ毛に縁取られた黒い瞳がきらめく。そんな子供が、何故一人でこんな山奥をうろついているのだろう。> 別にハイキングに来たわけでも、キャンプをしに来たわけでもない。そもそも依代はインドア派だし、物が密集したところは苦手だ。たんに、彼女の目的地に辿り着くにはこの道しかなかっただけだ。> 依代はこの夏休みに入ってす
RIE さん作 [232] -
人形千喜と依代 第一章☆糸操家(つらあやけ)[1-1]
依代(よりよ)は額の汗を拭いながら手元の地図を見下ろした。「・・・道、合ってる、よね?」誰に言うわけでもなく、ぽつりと洩らす。 耳が痛くなるほど泣き喚く蝉たちに囲まれて、依代は一人立っている。まわりは樹齢何百年の大木ばかりで、その合間を縫うように細い森道は続いていた。太い杉の木の幹に打ち付けてある標識には、『繰り師村(くりしむら)』。どうやら道は間違えてはいないようだ。依代はふぅー、とため息をつ
RIE さん作 [212]
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