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73 さんの投稿された作品が50件見つかりました。
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フェアゲーム【2】
「どうしたもんかな…」私は教室で弁当を食べながら暗い顔をしていた。「ん?あかりどした?てか、あんた今日も遅刻だったじゃん。学校に昼飯だけ食べにきてるよーなもんだな」と友達の早紀。しっかり者の姐御肌だ。「いや…あまりにも天気良かったから日なたぼっこしてた」「どんだけ自由なんだよ」早紀が呆れ口調で言う。いつもなら掛け合い漫才の様に会話は続くが今日はそんな元気も余裕もない。何も言わず黙って俯いていると
73 さん作 [230] -
フェアゲーム
「学校だりぃ〜」―田島あかり。17歳。高三。学校途中の公園でサボり中。タバコをプカプカふかしながら青い空を見上げる。「…今日も平和だ」あーあ、なんか私リストラされて公園で時間つぶしてるサラリーマンみたいだわ…なんて思いながらボーっとしてたら誰かに声をかけられた。「あ、田島あかりさんだ!」反射的に体がビクっとして急いでタバコを揉み消した。声がした方を振り向くと何だか見たことのある顔があった。「えー
73 さん作 [285] -
色
僕の世界には色が無い。僕の住んでる世界は広いようで小さくてキレイなようで汚い。大きな争いや小さないざこざ。ただ僕は観ているだけしかできないから一つ欠伸をするとまた眠りにつく。ふと君の僕を呼ぶ声に夢から引き戻される。君の笑顔を見た瞬間、僕の世界にパッと色がつく。僕は言葉を持たないけど君の呼びかけにしっぽを思い切り振って答えるよ。これが僕の日常。僕の世界には色が無い。でも、些細な幸せをかみ締めながら
73 さん作 [210] -
染色中?
報われない恋だっていうことは、解ってます。あの人は、私のこと仲間としてしか見てないから。今までも、これからも…。でもあの人の近くで仲間としていられるだけで私は幸せです。…でもね、でもね一つだけ、私にわがままをさせて下さい。私は…あなたを…―頬が冷たいと思ったらどうやら雨が降っていたようだ。ぽつり、ぽつりと空から雫が落ちる。そっと頬にふれてみると気付かぬうちに泣いていた様で涙が一すじの線となり頬を
73 さん作 [247] -
染色中?
「はぁ〜…。」私は屋上に逃げこんでいた。地面に大の字に寝転び、青い空を見つめる。―少し話を聞いてくれますか?私はキレイな空に向かって問いかける。―私、葵ちゃんがいなかったらこの仕事続いてなかったんじゃないかなって思うんです。怒ってばっかのあの人だけど私が仕事でミスした時はいつも私の大好きな紅茶を買ってきてくれるんです。いつもは、『お前が買いに行け』っていうくせに…。そういう不器用な優しさとか、普
73 さん作 [238] -
染色中?
「私が…過労死したら…葵ちゃんのせいです…」私はフラフラになりながら近くのコンビニまで行ってきた。「わぁーったよ。つりはいらないからとっとけよ」「おつりって200円しかないじゃないですか。みみっちい男ですね」「はぁ〜?んじゃあ、返せや、ボケ。200円あったら麗しのコーヒーちゃんが買えるわぁ!お前のせいで毎日飲めてねぇんだからな」「そんなんなら自分で買いに行けばいいのに…」私は、ボソッと悪態をつく
73 さん作 [224] -
染色中?
葵ちゃんはため息をつきながら、私に向かって面倒くさげに言い放つ。「…まぁ、いい。俺、まだこれから仕事残ってるけど、お前は仮眠とれるうちにとっとけ。現場でブッ倒れた日には、俺ぁ、他人のフリをする」そ、それはないんじゃないの?私は心の中でツッコミを入れる。でも本当は心配して言ってくれてるんだ。この人の優しさは不器用すぎて人に上手く伝わらないから。「ふふ、ありがとうございます」私はそれだけ言うと仮眠室
73 さん作 [236] -
染色中
テレビドラマに憧れてなった、刑事という職業。華やかな職業と思いきや、結構体力勝負で地道な仕事が多い。そして新人の私にいたっては雑用ばかり。しかもたまに仕事にかりだされても「女」っていうだけでバカにされる。「おい、佐原ー!コーヒーまだか!」私の四つ上の先輩の三木葵。男なのに葵。「はい、はい、葵ちゃん。朝からそんな大きな声ださないでくださいよー。私、今朝仕事あがって寝てないんスからね。今にもブッ倒れ
73 さん作 [343] -
毒舌君主[最終話]
電話を終え、昭久と由香里はまだ屋上にいた。昭久の腕の中で今もなお弱々しく震え続ける由香里。―あぁ、志保。俺、まだそっちに行けそうにない。馬鹿な奴らがいてさ…こいつら心配させたくないし、泣き顔なんて真っ平御免だ。今の中途半端な俺じゃまだ駄目だ。もっと歳くって、まるくなってじいちゃんになったらたくさんの土産話持って会いにいくから―それまで待ってろ…それにしても不思議な事がある。死のうと思った時に頭ん
73 さん作 [417] -
毒舌君主[二十四]
昭久は一つため息をついてから、由香里を優しく抱きしめてやった。軽くポンポンと頭を撫でてやると少し落ち着いてきたみたいだ。―俺、何やってんだろ…。こいつといると調子狂う…。昭久が物思いに耽っていると昭久の携帯が鳴りだした。修からだったので一応でてみる。すると、電話越しに修の呑気な声が聞こえてきた。「おーい、まだ生きてるかぁ?」「…うぜぇ」「ま!ひどいこの子ったら!反抗期?…ってふざけてる場合じゃね
73 さん作 [264]