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riverさんの投稿された作品が37件見つかりました。
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Salamander City 2
ハシモト君の容姿はかおりがノートに描いていたものそのままだった。コートのような真っ黒で妙なパーカを着た、たれ目でひょろひょろした少年だった。背丈もそんなに大きいとは言えない。子供だった。「もしもーし」なんて声をかけてくる。が、かおりは依然固まったままである。「…私おかしいみたい」かおりは気の抜けた顔でそうつぶやくと、ハシモト君を無視して歩き出した。無視されたハシモト君はきょとんとしている。 (疲れ
riverさん作 [341] -
Salamander City 1
今にも雨が降り出しそうな夕暮れ時椿屋かおりは青ざめた顔でバス停に立ち尽くしていた。ない。ひみつノートを紛失した。友達が少ない彼女にとってそのノートは大事な物だった。というのは、そこに彼女の大事な「友達」がいるからだ。お世辞にも上手とは言えない絵として存在する「架空の」友達。確かに学校からバスに乗るまでの間はバッグに入っていた。バスに乗る直前に取り出して眺めたのがいけなかった。かおりは激しく後悔した
Riverさん作 [390] -
摩天楼 その35
摩天楼は消えた。赤い空が広がるだけ。何事もなかったかのように今日は終わるのだ。ライトが彩る。崩されたはずの摩天楼は光を纏う。街は静かになった。暗い影があるだけ。土埃にまみれた廃車置き場にピアノがひとつ。鍵盤はいくつか欠落している。彼女はピアノを背にして座りこんでいた。眠っているのか死んでいるのか。ただ手の中にはローズピンクの宝石が、黄昏に輝いている。街は静かに消えていった。
river さん作 [435] -
摩天楼 その34
そして突然高笑いを始めたのだ。宝石はコロコロ色を変えていく。街は見たことのない有り様だった。大炎上という言葉がお似合いだ。ひたすら笑い続けた。暫くするとタビトは笑うのをやめて黙りこんでしまった。目に光はない。(君は)(弾くだけでいい)(僕のために)(僕のために)心の中にメープルシロップが流れこんできた。黒い摩天楼は役目を終えてゆっくりと街に倒れる。青い川に飲まれる。(溺れる…)リリィは慌てるが、
river さん作 [397] -
摩天楼 その33
指先から伝わる冷たさ。何も言わない。ふと見ると、ほんの僅かな隙の開いた口の端に、何かがきらりと光った。宝石のような。(つっかえてる)恐る恐る指で口をこじ開けた。思った通り、メープルシロップが喉につっかえているようだ。しかしさっきみた光はこれではない。メープルシロップの中から石を取り出した。それはローズピンクの宝石だった。メープルシロップを拭ってやると、宝石はエメラルドグリーンに変わった。(これが
river さん作 [421] -
摩天楼 その32
不思議と涙は出なかった。動かないタビトは人形のようであった。それどころか自業自得だと思えてきた。(あんなばかなこと考えるから)(あんたは馬鹿だ)(なんとか言ったらどうなのよ)屍はメープルシロップのような体にゆっくりと引き摺り込まれていく。リリィは握った手を離さなかった。動かないはずの手に力が入った。力といってもかよわいものである。指を彼女の指に絡ませた。リリィも一緒に飲まれる。(ねぇったら)(あ
river さん作 [474] -
摩天楼
知らん顔して街から出て行けばよかったのに。「…だって…」はっきり理由を口にすることができなかった。「マーチならここにはいないよ」リリィはうつ向いたままだ。ヒオは空に伸びる巨大な影に目をやった。影に向かって走っても近づかない。どれだけの時間が経っただろうか。ピアニストだった時間が遠い昔のよう。「ねぇ、あたしもつれてって」灰色の曇った空にどす黒い摩天楼街のビルとは比にならない。透き通るような美しさ。
river さん作 [458] -
摩天楼 その30
死ぬつもりはなかった。この中にタビトが紛れているかもしれない。重い。圧迫感。リリィは目を凝らしてタビトを探した。 ぼんやりと目に映る。誰かの手、誰のものかは分からないけどその手を掴んで力いっぱい引っ張った。少女の力ではびくともしないが、火事場の糞力というものか。怪獣は苦しみもがく。リリィは腕と一緒に外に放り出された。「あぁっ」思いきり尻餅をついた。その瞬間、怪獣の体がどっと雪崩のように崩れてドロ
river さん作 [381] -
摩天楼 その29
「何してる、早く逃げろ!」警官もリリィの体を取り押さえて逃げさせようとする。「いや!タビト!」市長は娘の口から出た名前に目の色を変えた。「誰だ?そいつがお前にそんな馬鹿なことをさせるのか。連中にろくな奴はいないぞ」しかしリリィは聞く耳を持たない。怪獣が吠える。その度にヘドロが飛ぶ。「タビト、そこに居るの?」怪獣は再び吠える。まるで返事するかのように。それから怪獣はリリィや市長達めがけて襲ってきた
river さん作 [396] -
摩天楼 その28
リリィはとにかく走り回った。どこに行っても悲鳴の嵐である。目の奥が熱くなってきた。お父様は?マーチは?みんなは?ひたすら走っていると、市長や警官と出くわした。もうどうにでもなれと思ったが、父親の無事が確認出来て安堵した。「ど、どこに行ってたんだ」命からがら逃げ出した市長は気が動転している。「ごめんなさい、無事でよかった!」するとすぐに市長はリリィの手を掴んだ。「さぁとっとと此処から出よう」リリィ
river さん作 [384]