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riverさんの投稿された作品が37件見つかりました。

 
  • 摩天楼 その27

    始めのうちは大人しかった怪獣は、警官を一人また一人と掴んでは飲み込んでいった。その姿に市長や警官、野次馬までもが悲鳴を上げた。とうとう怪獣は暴走し始め、誰かれ構わずドロドロの口に放り込んでいった。市長は命がけで怪獣の手から逃げた。人間だけでなくパトカーも飲み込んだ怪獣はどんどん巨大化していく。摩天楼のように巨大になった怪獣の体は重さに耐えきれずに倒れ、数個の塊に分裂した。嫌な声が聴こえる。リリィ
    river さん作 [380]
  • 摩天楼 その26

    リリィは街の人々を心配していた。警察なんかに捕まったら…マーチ…、タビトは?リリィは立ち止まった。しかし、マーチが今一体何処に居るのか分からないからどうしようもない。戻ったら連れ戻されるし、計画が台無しになってまた嫌われる。その時だった。リリィの背後に巨大な影が立ち上がった。何者かは分からないが、気味の悪いドロドロで、目がギョロギョロした生き物だった。すぐ近くかと思ったが、広場の方である。銃声が
    river さん作 [390]
  • 摩天楼 その25

    朝だ。ゆうべ降り続けていた雨はとうに止んでいた。リリィが目を覚ました時には既にマーチの姿はなかった。いつの間にかタオルケットを掛けてくれていた。バッグを持って外に出る。空気は湿気を含んでいる。昨日の雷鳴が嘘のように、辺りは静閑としている。酒場や商店街の向こうから来る。ではその逆方面に向かえば良いことだ。逆方面に向かう途中、人が酒場の方に向かっていくのを見かけた。どうやらやって来るのを見に行くらし
    river さん作 [365]
  • 摩天楼 その24

    マーチの手の冷たさが染みてくる。マーチは黒い目をゆっくりリリィに向けた。リリィは不思議な気持になった。さっきまでの嫌悪感も消えかけている。「ねぇ、あなたは誰」マーチは固い手をほどいて言った。「僕は…タビトだ」予想していなかった返答にリリィはきょとんとした。「あれっ、答えが変わってる」「…君だってそうだろ、ゆりちゃん?」「『ちゃん』なんてやめてよ」「ラジオで言ってたよ」とマーチが言おうとした時、リ
    river さん作 [370]
  • 摩天楼 その22

    雨はなおも降り続けている。生まれた嫌悪感はリリィを憂鬱にさせた。水を吸って制服が肌にまとわりついて気持悪い。まだ濡れているが、長居してはならないと思い、バッグを持って外に出ようとした。「待ってよ」マーチは咄嗟にリリィの手を掴んだ。リリィは手を振りほどこうとしたが、彼の引っ張る力に勝てなかった。こんな華奢な腕なのに。「ほかに…何か?」泣きそうな声で睨んだ。「ほんとは…さ…」マーチの声は震えているよ
    river さん作 [406]
  • 摩天楼 その22

    リリィはゆっくりとマーチの方を見た。リリィの目に入ったのは大きめのシャツを着た、色の白い、華奢で短髪の青年だった。一瞬誰だかわからなかった。リリィは笑わなかった。雨水の滴る髪を拭く。濡れた制服の袖から肌が透けて見えた。滴を拭くリリィをマーチはじっと見つめて言った。「街をひっくり返しに行くんだ、めちゃめちゃに」リリィはマーチに視線を向けずにタオルを動かす。マーチは窓の向こうに目をやるが、雨で見えな
    river さん作 [373]
  • 摩天楼 その21

    マーチは雷雨の中走っていた。家は廃車置き場の向こうだった。嫌でも前を通らなければならない。レインコートを着ているにも関わらず頬から雨粒が滴る。近くに雷が落ちた。けたたましい音が鳴り響き、一瞬だけ真昼のように明るくなった。「うわっ」さすがにマーチは驚いて、逃げるように走る。雷もまた追いかけるようにひとつ落ちる。あまりにおっかないので廃車に逃げ込んだ。後部座席に急いで入ると、マーチはぼとぼとに濡れた
    river さん作 [383]
  • 摩天楼 その20

    より激しさを増した雨がリリィに打ち付ける。制服はびしょ濡れになった。暗い空から幾筋の稲妻が走る。リリィは雷に撃たれてしまいたかった。バッグを取りに廃車置き場に向かう途中、こんなことを思ったにも関わらずリリィは雷に度々怯んだ。すぐ出て行ってしまえばよかったそうすればこんなことには。どうして一番届いて欲しい人の耳には届かないのピアニストの居なくなった酒場は徐々に賑やかさを取り戻す。ただ、強い雨と稲光
    river さん作 [354]
  • 摩天楼 その19

    曇っているせいか、月は見えない。向こうには街の灯りが点々と見えるのみ。リリィがみんなの方を向いて挨拶しようとした時だ。目の前にひとつ影が立ちはだかった。マーチだった。マーチはリリィをわざと無視して酒場の中に入って行った。喉に何か詰まっているように苦しい。皆の方に目を向けた。「今までいろいろとありがとう」客達の視線は寡黙なマーチからリリィの方に再び移る。リリィはマーチが視界に入るのを避けたかった。
    river さん作 [359]
  • 摩天楼 その18

    ピアノが音を奏でる時は騒がしい酒場も静かになる。その日も変わらず静かだった。街を離れる決意をした。ただその前にマーチに会っておきたい。そんな願いも虚しく、最後の曲は終わった。拍手が起こる。椅子から立ち上がって振り返ってもマーチの姿は無い。リリィはそのまま酒場を立ち去ろうとしたのにヒオが気付く。「もう帰るの?」「今日で最後にしようと思うの」え? 客達がどよめいた。ココもそんなことは聞いていない。
    river さん作 [379]
 
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