トップページ >> ミア さんの一覧
ミア さんの投稿された作品が29件見つかりました。
-
pain11
フェンリは、少しだけ下から私を見つめた。私は心を鎮め、フェンリを見下ろした。フェンリは少し間を置いて話始めた。「悪かったよ。不謹慎だった。でも、俺だって何も考えてないわけじゃない。ただ…少し思うところがあって。とにかくわかってほしいのは、俺は周りが思うより、真剣なんだ。アリスのことも、ちゃんと思ってる」肩に置かれた手から、フェンリの体温が伝わる。真っすぐな視線から、強い意思が伝わる。「…わかった
ミア さん作 [202] -
pain10
フェンリの指差すほうを見ると、道が消えているのが見えた。「あ−…まずいな」私は呟いた。崖の一部が崩落し、吊橋が落ちてしまっている。「どうする?アッシェン」フェンリは私の顔を覗き込んだ。「仕方ない。別のルートを行こう。来た道を戻って、森の外を回り、ピオン山を上るしかない」「ピオン山って…クフェンシスの棲みかじゃないか!」フェンリは叫んだ。クフェンシスとは、大型の獣で、人を襲う。「他に道がない」「海
ミア さん作 [189] -
pain?
「どうも解せないが…仕方ない、右に進もう」私はフェンリに合図した。「りょーかい」フェンリはぴょんと向き直り、再び私の数メートル前を歩き出した。まったく、歳の割に子供っぽいやつだ。彼の背中を見ながら私は思った。フェンリは十代半ばのはずなのに、まるで幼児のような言動をする。かと思えば、妙に大人びたことをいうこともある。天然なのか、演じているのか−…。「アッシェン」フェンリが急に振り向いた。「どうした
ミア さん作 [198] -
pain?
「うわあ…涼しいな」フェンリは、私の数メートル先で一回転し、辺りを見回した。「…アッシェン?」私ははっとフェンリを見た。「すまない。考え事をしていた」「もう〜」フェンリはぷいっと振り返り、先を歩き出した。「あれ?アッシェン。道が二手に別れてるよ」フェンリは先を指差した。「なに?…おかしいな、一本道のはずだが」私はフェンリの指差すほうへ歩み寄った。そこには看板があり、「右チルビノ、左ザンネの洞窟」
ミア さん作 [228] -
pain?
「あっ、チルビノってあれかな?」フェンリは遠くに見える小さな集落を指差した。「ああ…そうだな」「なんだ、すぐ着くんじゃないか」フェンリはうきうきした様子で私を見た。「ばか。ここからが長いんだ。直線距離は短いが、これからこの森をぬけないといけないんだ」私は崖下に広がる森を指差した。「うへぇ…」フェンリはうんざりした様子である。「幸い迷うような道ではないし、害獣もいない。急ぐぞ。でないと森で野宿だ」
mia さん作 [240] -
pain?
「一先ず今日はベラ湿原の入口にあるチルビノまで行こう。今から急げば、夜には着く」「そーだね」フェンリはにっと笑った。「でもさあ、ダニエルはよく僕らを行かせるよね」「止められてもおまえは聞かないだろう」私はフェンリをちらっと見た。「そーだけどぉっ」「ダニエルの狙いは、アリスを救うことじゃあないよ」「どういうこと?」フェンリは足を止めた。「ダニエルの目的は、私をリヒネに向かわせ、軍にダメージを与えさ
mia さん作 [200] -
アディクト
コイだとかアイだとかいう気持ちは何故かいつの間にか私の体を、私の精神を支配し尽くして蝕むように、面白がってすらいるように 私を導くんだよ幸せになりたいよ、でも物足りないんだコイしないとアイがないと私は壊れてしまうんだよ
ミア さん作 [272] -
pain
「リヒネは、この沿岸都市レキンザから、南東に進んだ先にある。途中、ベラ湿原を越え、更にノースリヒネ渓谷を越えなければならない。…短く見積もって二週間はかかるぞ」「わかってる。心配するな、ダニエル。私がついてる。フェンリも、アリスも、必ず無事に連れて帰る」「すまない…アッシェン。気付いているだろう、私は本心ではおまえが行くというのを待っていた」ダニエルは唇を噛んだ。「…いいよ、別に」私はダニエルに
mia さん作 [241] -
pain?
「なんだよ、ダニエル」フェンリは男に向かって言った。男−−ダニエルは、冷めた表情で、目線だけこちらに向けた。「アリスの事は諦めろ。リヒネを襲うなんて無謀過ぎる」「見捨てるっていうのか」「そうだ。アリスに限かったことじゃない。勝算の少ない賭をしてまで仲間をいたわる余裕は俺達にはない」「アリスを見捨てるなんてできないよ!」フェンリは憤って机を叩いた。「だが」ダニエルは続けた。「我々は仲間を縛らない。
mia さん作 [275] -
pain?
「アッシェン。聞いてる?」私ははっと顔を上げた。小柄な金髪の少年が私を見つめている。「ああ…ごめん、フェンリ。聞いてなかった。南何の話?」「だーかーら、リヒネの襲撃のことだよ」フェンリはぶすっとして答えた。子供っぽい表情が何ともかわいらしい。「リヒネか…」リヒネとは、南部の山岳地帯にある内陸都市で、街全体が城塞に覆われた要塞都市だ。その地形の利をいかし、今は犯罪者の収容施設として使われている。「
mia さん作 [339]