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ナツコ さんの投稿された作品が8件見つかりました。
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父の手紙
うっすらとした記憶のカケラ。殺風景な部屋に白いベッド。横たわる父の細い手をしっかりと握りしめる母の背中。涙を流しながらも優しく微笑む父の穏やかな表情。時が静かに鼓動をとめたみたい・・・父は私が5才のときに亡くなった。25才という若さで。昔から体がよくなかったと母から聞いた事がある。命が尽きようとする瞬間、父は何を望んだのだろう。母は何を願ったのだろう。父は亡くなってから母に手紙を託した。遺品から
ナツコ さん作 [267] -
涙の響き
貴方を想うと懐かしい温もりが胸に込み上げ自然と涙が溢れた私の心が形となり頬をつたった貴方を想わなければ、こんな気持ちなんて知ることもなかったでもね・・・この涙は、憎しみや怒り、寂しさが込められたモノじゃなく温かい愛が溢れた涙だからだから、手で拭うこともせずカレルまで貴方を想い続けた 軽くなった心の中で貴方の笑い声が響いた懐かしいあの声が愛してました・・・愛しています・・・
ナツコ さん作 [307] -
君の季節
『出会わなければよかった』と涙を流した冬の夜。『信じられない』と不満をぶつけた春の夕暮れ。『裏切り』を知った夏の雨上がり。『つまらない言葉で傷つけあった』秋の青空の下。全ての季節を君と歩んできた。全ての季節に君がいて、全ての思い出が君から始まった。一緒に手を繋ぎ歩いた春の桜並木道・・・空一面に輝く満開の花火の下でキスをした夏の夜・・・ 会えない時間、電話越しにずっと側にいてくれた秋の夜長・・・ポ
ナツコ さん作 [280] -
バラ色の戦場
狭い部屋に大きなベッド。むき出しの肩に薄い毛布。冷えた空気で目が覚める。隣に彼の姿はない。手を伸ばし彼が寝ていた場所に触れる。指先から伝わる痛いくらいの冷たさ。脱ぎ散らかした服を横目に大きくため息をついた。・・・『今日も早いな』・・・独り言が部屋に響く。彼は勝手、気まぐれ、自由人。私は慎重、精密、計画人。相反するモノ同士が出会って恋をした。簡単にうまく進んでくれるわけがない。 彼は私の常識が通用
ナツコ さん作 [288] -
恋愛初心者
静けさを失った部屋に貴方の靴音とドアが閉まる乾いた音が響いた。頭の中で創られたありきたりな言葉は、また軽はずみに貴方を傷つけてしまったんだろう。 そんなこと考えながら君が出ていったドアを見つめた。どおして優しい言葉をかけられないんだろう。もっと可愛い女になりたい。一人になった部屋でタバコの煙をはきだした。小さい頃からスカートよりジーンズが似合う女。ロングヘアーよりショートカット。ボロボロのスニー
ナツコ さん作 [560] -
今日の涙明日の笑顔
今日に限って目覚まし時計が寝坊した。今日限って早出出勤。身仕度を適当に済ませ、慌てて玄関を駆け出すとパンプスのヒールが溝にはまった。そして抜けない。駅まで走るのになんでパンプス・・・選んだ自分に泣きたくなった。 今日に限って電車が遅れ、今日に限って怖い上司が電話に出た。今日はこのまま帰った方がいいみたい。なんて思いながら会社に駆け込む・・・今日に限ってを繰り返しボロボロになった体を引きずり家に着
ナツコ さん作 [269] -
ありがとう
貴方の夢を見た。久しぶりに貴方の笑顔が広がって、触れたくて手を伸ばした。外は雨。窓ガラスが濡れてる。目覚めた私の目に涙が溜まり全てが滲んで見えた。あれからもうすぐ3年になるね。貴方の事忘れてないよ。もっと寒くなったらまた会いに行くから。ちょっとだけ待っててね。報告があるの。笑顔で言えるかな。もお知ってるかもね。『私、結婚するの。幸せになるからね。空から見てて。そしてありがとう。』
ナツコ さん作 [357] -
夕暮れの帰り道
秋の気配とともに、冷たい風が髪を撫でる夕暮れの帰り道。『寒いね』って呟くと前を歩いていた貴方は無言で手を差し出した。私も無言で手を握った。しばらく歩くと貴方の体温が伝わり手が温かくなった。嬉しくて『あったかいね』って呟くと貴方は立ち止まり、小さく笑った。貴方の側にいると、秋風で凍えた手も、仕事で冷えた心も温かくなる。それが凄く愛しくて繋いだ手をギュッと握りしめた。・・・温かな夕暮れの帰り道・・・
ナツコ さん作 [330]
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