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キャロルの秘密 さんの投稿された作品が32件見つかりました。
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涙の絆 9
純は、ここが普通の病院ではないことには、この保護室に入った時から分かっていた。ただ自分が精神病院に入るとは、ましてこんな独房のような場所に入るなんて思ってもみなかった。一体自分に何が起きてしまったのか考えても、考えても何も思い当たる節はなかった。ただこの病院に連れて来られる前に、いくつか不思議な体験をしたことだけは覚えていた。例えば、電話に出たとき「なんや」とか「われ、こら」といった、いかにも
キャロルの秘密 さん作 [868] -
涙の絆 8
それは、真夜中の出来事である。純は、深い眠りの中いきなり跳び起きた。純が目を覚ましたのは、二つある保護室の一つ、つまり純のいる隣の保護室である。そこから「日本は中国に勝ったぞ」と想像を絶する嬌声が聞こえたのである。その叫び声はかなりの間続いた。純は驚くより外ならなかった。嬌声が止んだのは、夜勤の看護士がやって来て純の隣人の患者に何事か声を掛け、筋肉注射を打ってから間もなくしてのことだった。
キャロルの秘密 さん作 [803] -
STEP
君のことを知りたいのさ その笑顔の裏も 遠くを見るその瞳がこの 胸を叩くよ 何もかも受け留めてあげ から涙はいらない 窓の外に落ちる雨が時を 止めたように君の胸に切 ない影 呼び戻すこの夜 守りたい全ての悲しみか ら その身を委ねて 二度と
キャロルの秘密 さん作 [902] -
涙の絆 7
純は、この時点では、そんなことが起きているとは知らず、相変わらず寒い部屋、保護室にすることもなくピンク色のマットレスの上で膝を抱えていた。 純の母に告げられた病名、統合失調症とは以前は精神分裂病と名付けられていた。この病は、約1000に7人の割合で発病されるといわれ、得に純のような青年期に発病すると医学的には言われている。 よく心の約と言われているが、脳内の伝
キャロルの秘密 さん作 [848] -
涙の絆 6
純の病名が家族に告げられたのは、純が入院した翌日であった。診察室で純の主治医、吉田先生は、家族に対して、はっきりと坂木君の病名は統合失調症と告げた。 「この病は、長い入院生活が必要とされます。 「先生、一体どのぐらい?」いつもなら気丈な純の母もうろたえた口調だ。 「これだけは、坂木君の症状次第もありますが最低3ヶ月は入院生活になります
キャロルの秘密 さん作 [848] -
涙の絆 5
差し出された煙草に、純は、一瞬戸惑った。「いいのここは病院じゃないの?」言いつつ純は煙草を一本受け取った。 看護士は、「ここは大丈夫なんだ。患者の楽しみって、あまりないからな」言って純にライタ−で火を点けてやった。 「ああ、久しぶりな感じだな」煙りを吐き出し、純は、尋ねた。 「なんで僕は、こんな所に入れられたの?」 「坂木君が安全にいられるようにだよ
キャロルの秘密 さん作 [939] -
二人
二人の影 一つになって 街の灯 少し寂しくて 無口な笑顔をそっと抱きしめた ここからまた歩きだそう 見上げた空 明日は晴れるって どんな思い出も かなわないくらい 素敵な夢を見せてあげるから 僕のそばにいてよ
キャロルの秘密 さん作 [977] -
涙の絆 4
保護室に入れられ、一人になった純は、「出してくれ」と何度も叫んだ。 だがなんの反応も返ってこない。 純が叫び疲れ板張りの床に唯一あるピンク色のマットレスに座り込んで間もなくした頃、鍵が開く鈍いが響いた。純はだいぶ落ち着いてきていた。 鍵が開き保護室の前には、先程の看護士の一人が、白い大きな物を運んできた。それは布団類である。純は、看護士に鉄扉の横の鉄の棒の隙間から看護士に「ここから早く出してよ」
キャロルの秘密 さん作 [1,022] -
私の出逢い
もし、あの日、あの時、貴方に出逢っていなければ、今の私はいないだろう、今まで出逢った全ての人、私を支えてくれた人ありがとう、そして今私を支えている貴方、 ありがとう
キャロルの秘密 さん作 [1,047] -
涙の絆 3
閉鎖病床に入った純は、まだ自分が何故こんな所にいるのか、分からなかった。病院らしいということは、他の患者などの姿でなんとなく分かるのだが、純は、筋肉注射を打ったものの、まだ幻覚妄想の状態である。看護士に抱えられ、二人部屋に入った。そのとくである。純は空いているベットの真ん中を見て、いきなりゴミ箱とロッカ−を蹴飛ばした。その瞬間に付き添ってきた二人の看護士が純を押さえにかかり、他の看護士を呼び集
キャロルの秘密 さん作 [971]