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鳴爛 さんの投稿された作品が3件見つかりました。
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クリスタル?
それは一人の男の子だった。ほとんど金といってもいいくらいがんがんに染められた、流れるようなストレートの茶髪。背はちびな私よりずっと高く、目が大きく鼻も高くて、まるでテレビにでてる若手の俳優さんみたいだった。彼は泣いている私のところまで来て、指の爪ほどの、ほんとに小さな青く透き通った宝石を私に差し出し、にっこりと微笑んだ。『これを飲めば、可愛くなれるよ。スタイルだってよくなる』そんな話、信じられな
鳴爛 さん作 [187] -
クリスタル?
あれは、中学の卒業式のことだった。あのときの私は、もうなにもかもが最悪だった。二年三年とずっとイジメをうけてたせいで友達はいない。なら、と思って、受験は県下トップクラスの公立校を受けたけど、ことごとく不合格。まさに踏んだり蹴ったりだった。私は、式が終わると、両親にも同級生にも目を合わせないようにして、こっそり人気のない校舎裏へと逃げ込んだ。そして泣いた。今までは辛うじてまだ、この学校が私の居場所
鳴爛 さん作 [181] -
クリスタル
ネオンに包まれ夜でもなお明るいその街から、逃げるように車で30分。私の家は、そこにある。家族はいない。一歩だけ先に立って家のドアを開けてくれる彼女が、私にとって、一番家族に近い存在だった。「あーあ…『ぽっぷ』終わっちゃってるよ、あづみさん」リビングにつくなり、私はぐったりしてそうぼやいた。どんなときでも手洗いうがいを忘れないあづみさんは、洗面所からひょっこり顔を出していう。「ポップ?何、テレビ?
鳴爛 さん作 [213]
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