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天夢 さんの投稿された作品が38件見つかりました。

 
  • 僕らは 第二十八話

    「あいつ、馬鹿だよな。オレはヒーローなんかじゃねぇ…タチの悪い死神なんだ…」凌駕の拳から血が飛び散った。僕が凌駕の手首を掴んで木を殴るのをやめさせると、凌駕はしゃがみ込んだ。「オレのせいで誰かが死ぬぐらいなら…もう…死にてぇよ…!」僕は、その悲痛な叫びに答えることが出来ず、ただ茫然と凌駕の背中を見つめていた。この美しい空は、一体誰の幸せを映し出しているのだろう?僕らはこんなにも、暗闇の中にいるの
    unknown soloist. さん作 [282]
  • 僕らは 第二十七話

    一時間程経っただろうか、“手術中”と書かれたランプが消え、医者が出て来た。僕らは立ち上がり、その医者に駆け寄った。「非常に申し上げにくいのですが…順也くんは…亡くなりました。」僕は、この医者は何をふざけているのだろうと思った。しかし、運び出された順也の遺体を見た瞬間、真実を受け入れざるを得なかった。順也は死んだ。信じられなかった。信じたくなかった。凌駕が突然、走り去ってしまったので、僕は急いで後
    unknown soloist. さん作 [291]
  • 僕らは 第二十六話

    「あなたたち…もしかして、“貴仁くん”と“凌駕くん”?」「あ、はい。」「順也がいつもあなたたちのことを話していますよ。」ようやく凌駕は頭を上げた。順也の母親は微笑み、続けた。「あの子は、友達を作るのが下手で…学校ではずっと一人ぼっちだったの。家でも自分からはあまり話してくれなくて。でも、あなたたちと出会ってから、順也は変わったわ。」僕らは顔を見合わせた。僕らが、順也に影響を与えていたなんて…。「
    unknown soloist. さん作 [277]
  • 僕らは 第二十五話

    「人生には三度、モテ期があるんだってよ。」帰り道、急に凌駕が言い出した。裕実の一件の影響だろうか。そのとき、脂べっとりの太った秋葉系の男とすれ違った。「有り得ないよ。」凌駕はともかく、今の男にモテ期は来ないだろう。交差点を通りがかったとき、妙な人だかりを発見した。轢き逃げよ、と主婦らしきおばさんが話しているのが聞こえた。スーツを着た男が、携帯で救急車を要請している。僕らは、道路の真ん中に倒れてい
    unknown soloist. さん作 [279]
  • 僕らは 第二十四話

    「凌駕は多分、裕実ちゃんのこと嫌いじゃないと思うよ。好きかどうかまでは分からないけど。」「ほんと…?」「うん、絶対だよ。」僕には自信があった。凌駕は、好きじゃない相手には謝ったりしない奴だ。「だから、凌駕のことを嫌いにならないであげてほしい。」「…うん。きっと私は、死ぬまで甲斐くんのことが好きだよ。」裕実は微笑んだ。僕は、“恋する女性は美しい”というのは本当なんだなと思った。次の日、裕実は凌駕に
    unknown soloist. さん作 [271]
  • 僕らは 第二十三話

    「凌駕は…昔、彼女を亡くしたんだ。」“殺された”とは言わなかった。言えなかった。「そう…だったんだ。私、全然知らなかった…」「凌駕はそういうこと、誰かに話したりしない奴だからね。」裕実は遠くを見ながら微笑んだ。「私が甲斐くんを好きになったのは、中三のときなの。」いきなりだったので僕は驚いたが、黙って話を聞くことにした。「その頃の甲斐くん、何だか近寄りにくい雰囲気で…いつも一人だった。皆は甲斐くん
    unknown soloist. さん作 [259]
  • 僕らは 第二十二話

    ある昼休み、僕はいつものように屋上への階段を昇っていた。突然、屋上の扉が開き、裕実が駆け降りてきた。僕は慌てて避け、裕実は僕の脇を通り過ぎて行ってしまった。僕には裕実が泣いていたように見えた。屋上には、凌駕がぽつりと立っていた。どうやら、裕実を泣かせたのは凌駕のようだ。「凌駕、何があったの?」すると凌駕はしゃがみ込み、うつ向いて口早に事の経緯を話した。裕実が凌駕に想いを伝え、凌駕は裕実を振った。
    unknown soloist. さん作 [269]
  • 僕らは 第二十一話

    僕には分かる。凌駕は、この世界で僕以外に自分の味方をしてくれる人間がいることを試したかったのだ。「まぁ良い。お前、烏丸高校のモンだな?お前を連れていく!」他校生は、榊原に引きずられて出ていった。凌駕はすぐに僕の喉を解除した。「悪かったな。」すると、少年がおずおずと凌駕に話し掛けた。「あの…助けてくれて、ありがとうございました。」最後の方は聞こえなかったが、恐らくこう言った。凌駕は少年の頭に手を置
    unknown soloist. さん作 [262]
  • 僕らは 第二十話

    「甲斐、とうとうお前は年下だけじゃなく、他校の生徒にまで手を出したか。あぁ?」凌駕は黙っていた。僕は急いで真実を伝えようとしたが、声が出なかった。凌駕が僕の喉を停止させたのだ。何故そんなことをするのか、僕には分からなかった。榊原が凌駕に、ねちねちと嫌味をぶつけ始めたが、凌駕は何かを待っているように、じっと目を閉じている。そのとき、女子生徒の一人が口を挟んだ。「先生!甲斐くんは、この男の子を助けた
    unknown soloist. さん作 [273]
  • 僕らは 第十九話

    「そろそろ休憩しない?」僕は普段、こんなに歩かないので、足が疲れてしまった。騒がしくない場所が良かったので、二人で体育館の裏に向かった。しかし、そこでは一年生らしき少年が、他校生に殴られているところだった。僕はどうして良いか分からず立ちすくんでいると、凌駕が飛び出した。凌駕は一瞬の内に他校生を殴り倒した。僕は背後に気配を感じ、振り返ると、三人の女子生徒が立っていた。彼女たちは、目の前で繰り広げら
    unknown soloist. さん作 [298]
 
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