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天夢 さんの投稿された作品が38件見つかりました。

 
  • 僕らは 第十八話

    僕の通う冥律学園は、他の高校とは異なる点が多々ある。例えば、一限目の前に全校生徒で掃除をする。これは、清々しい気持ちで授業を開始するためだと聞いた。あと、プールの反対側には浴場がある。部活動を終えた生徒たちが使うのだ。そして、極めつけは学園祭だ。学園祭は、12月24日と25日の二日間、クリスマスパーティのごとく行う。しかも、開始から終了までは帰宅してはならない。つまり、徹夜で参加するのだ。出し物
    unknown soloist. さん作 [274]
  • 僕らは 第十七話

    「でも、お前のことは信じられるんだ。何でだろうな?」僕は何も答えなかった。自分が世界一不幸だと思い込んでいたことが情けなかった。「もし、オレのせいで貴仁が死んだら…オレも死ぬ。」僕は立ち上がり、凌駕の肩を掴んだ。あまりに突然掴んだので、凌駕は驚いて目を見開いた。僕は、また泣いた。凌駕は、あまりに優しすぎるが故に、誰よりも傷付いてきたのだ。「僕が死んだら、凌駕は僕の分まで生きてよ。凌駕が死んだら、
    unknown soloist. さん作 [256]
  • 僕らは 第十六話

    凌駕の母は、凌駕を産むと同時に死んだ。凌駕の父は、妻が死んだのは凌駕のせいだと責め、凌駕を虐待し始めた。凌駕の姉は、見て見ぬふりをした。凌駕は幼稚園に入り、多少は虐待から逃れられるようになった。しかしある日、遠足の途中で園児の集団に、トラックが突っ込んだ。凌駕以外は全員死に、凌駕だけが生き残った。凌駕は、自分に関わった人間は皆、死んでしまうのだと思い、他人と関わるのをやめた。そして小学生のある日
    unknown soloist. さん作 [285]
  • 僕らは 第十五話

    僕は躊躇いながらも、あの忌まわしい事件のことを話し始めた。凌駕は僕が話している間、ずっと黙って聞いてくれた。一部始終を話し終わると、凌駕は、僕の腹の傷を見せてくれと言った。凌駕は僕の傷痕に触れ、まるで自分の傷のように辛そうな顔をした。「次は凌駕の番だよ。」凌駕は少し驚いたようだった。恐らく、僕の荷物だけ持って帰ろうと考えていたのだろう。「凌駕の荷物も半分、僕に分けてよ。僕ら、友達なんだから。」僕
    unknown soloist. さん作 [268]
  • 僕らは 第十四話

    「だって、凌駕が僕の耳を止めるからだろ?」僕が反論すると、凌駕は、今度は大声で笑った。しかし、その笑い声ですら、僕には悲しみを押し殺した声に聞こえてならなかった。「何かあった?」僕が訊くと、凌駕は笑うのをやめ、小さく溜め息をついた。「別に、何もねぇよ…今はな。」「今は?じゃあ、いつか何かあったんだ?」「まぁ、色々な。お前だってそうなんじゃねぇの?」「え?」「お前って、何しててもずっと、辛そうだか
    unknown soloist. さん作 [272]
  • 僕らは 第十三話

    それから数週間が経った。僕らは毎日屋上で語り合い、廊下でも人目など気にすることなく語り合うようになった。しかし僕は、やはり凌駕以外の人間とは関わる気になれなかった。それは凌駕も同じのようで、凌駕は嫌味を言う教師連中以外からは話し掛けられることもなかった。しかし、そんなことはどうでも良いくらい、二人で過ごす時間は楽しいものだった。ある休日の夕方、僕は散歩に出掛けた。冬なので、夕方とはいえ既に辺りは
    unknown soloist. さん作 [266]
  • 僕らは 第十二話

    「なんかさぁ…多分なんだけど、相手の一部を停止させられるっぽい。」「じゃあ、あのときは…」「あぁ、お前の声帯を止めたんだ。」僕は、またしても開いた口が塞がらなくなった。凌駕の能力が、僕の理解の範疇を越えていることは明らかだったが、僕の好奇心は沸騰寸前だった。「どうやって停止させるの?」「止めてぇ部分に集中して、念じるんだ。」僕はしばらく凌駕を質問攻めにした。僕らは話に夢中になりすぎて、とっくに昼
    unknown soloist. さん作 [301]
  • 僕らは 第十一話

    「あいつは優等生だった。どんな奴にも優しかった。オレみたいなんにも平気で話し掛けてさ、しかも意外と話が合っちまって…オレらはすぐダチになった。」凌駕は一度言葉を切り、少しうつ向いた。「先公は、あいつがオレの味方をするようになったことを問題視した。んで、あいつにオレと関わるなって説得しやがった。」「そんな…!」僕は驚愕した。凌駕は良い奴だ。短い付き合いだが、僕は強く確信出来る。それなのに、見た目だ
    unknown soloist. さん作 [273]
  • 僕らは 第十話

    隅っこに置かれたベンチに座り、朝コンビニで買ったおにぎりを食べようとしたとき、背後から僕を捉えた声が、おにぎりの寿命を延ばした。「お、やっぱり貴仁じゃん。」振り返ると、凌駕が笑顔で僕に手を振りながら近付いて来るところだった。僕は何も言わなかった。まだ、今朝思いきり無視を喰らったことが引っ掛かっていた。「悪かったな、無視したりして。」どうやら僕は、考えが顔に出てしまっていたらしい。少し恥ずかしく思
    unknown soloist. さん作 [293]
  • 僕らは 第九話

    一週間後、僕は高揚した気持ちで登校した。凌駕はどこだろう、もう来ているのだろうかと考えながら、2年生の教室がある3階へと急いだ。階段を昇りきったとき、僕は立ち止まって廊下を見渡した。しかし、どこにも凌駕の姿はなかった。まだ来ていないのか、と諦めて教室に入ろうとしたとき、後ろから誰かが通り過ぎていった。「凌駕!」間違いない。あのモデルのようなスタイル、無造作に立った金髪、後ろから見ても分かる。凌駕
    unknown soloist. さん作 [267]
 
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