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かなこ さんの投稿された作品が11件見つかりました。
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笑顔と泣き顔?
美加をとりまく環境は、いつも穏やかで温かかった。美加の人柄に誰もが惹きつけられるのだろう。誰もが美加に憧れ、自然に美加の周りに人が集まる。 しかし、美加の心の真ん中にはポッカリと穴があいていた。いつの頃からだろう。何がその穴を埋めてくれるのか、美加はその答えが分からずにいた。 ある日の昼休み、後輩の知恵が美加に聞いた。「美加さんの彼氏さんって、どんな人なんですか?」「あたし、彼氏いないよ。もう
かなこ さん作 [139] -
笑顔と泣き顔?
毎日がただ過ぎていく。平凡にも満たない、空虚さを時間の流れの中に感じていた。「何か楽しいことはないの?」これが美加の口癖になった。誰に問うでもなく、独り言のように呟く。「あたしの人生って、こんなもんなんだ…」 社会人になって2年目。仕事も軌道にのってきて、一人で任せられるものも増えてきた。美加は要領もよく、愛嬌もあって、同期は勿論、先輩後輩問わず慕われる存在だった。大袈裟に言えば、ムードメーカ
かなこ さん作 [189] -
夜とあなたとあたしの匂い? 最終話
越えてはいけない一線だと分かっていて、あたしは全てをあなたに委ねた。なぜその夜、その一線をあなたが越えようとしたのか、はっきりした答えはない。それでもあたしだけには分かる。ホントは分かってはいけないのかも知れないけれど、あたしは嫌なくらい分かってしまった。 振られたその夜、初めて触れるあなたの全て。5年目にして初めての夜。これが最初で最後になると、2人とも痛いほどに感じていた。「ズルいよ。」
かなこ さん作 [313] -
夜とあなたとあたしの匂い?
答えは何となく分かっていた。こういう時、女の勘は不思議と当たるから嫌だ。「俺も佳世のこと好きだよ。でも付き合えない。」 返事の内容も見事に的中していた。 好きだけど、付き合えない。意味不明な理由だろう。いまだにクエスチョンの付く答えだ。友達には、最低呼ばわりされることもあるが、でもあたしには何となく分かる。あなたの気持ちも考えも。あなたと5年も一緒にいたから、あたしだけには分かる。 これで二人
かなこ さん作 [297] -
夜とあなたとあたしの匂い?
曖昧な関係がホントはダメだなんて、そんなのよく分かってた。それでもあたしたちは相変わらず二人でいた。俗に言う、“友達以上恋人未満”。 周りの友達からは、二人はとっくに付き合っていると思われていたし、実際、あたしもそう思いそうになってしまっていた。 でも、ふと考える時があって、結論にたどり着く。あたしたちはあの夜から彼氏彼女にはなれずに、時だけを過ごしていた、と。 曖昧なまま続いてきた関係にも、
かなこ さん作 [183] -
夜とあなたとあたしの匂い?ー2
あたしは小さな声で、初めての告白をした。寝ているあなたには届かない言葉。あたしが一番伝えたかった想い。 あなたが寝返りをうって、あたしとの距離が近くなった。あなたの手がそっと動いて、あたしの髪に触れた。「起きてるの?」あたしの問いかけに、あなたの返事はない。
かなこ さん作 [172] -
夜とあなたとあたしの匂い?
何となくというよりも、寧ろ確信に近いものを感じていた。あたしたちはお互いに想い合っていて、お互いが特別な存在だ、と。 あなたがたった1回だけ言葉にしてくれた想い………。「おれ、佳世のこと好きだよ。」 あまりにも自然で、突然の告白だと理解するまでに、あたしの思考回路はめちゃくちゃだった。次の瞬間、あなたはとても寂しそうな顔をして、切なく笑って見せた。あたしは、胸の奥深くに何かが刺さったような気が
かなこ さん作 [206] -
夜とあなたとあたしの匂い?
あたしは大事にされていた。多分大事にされていたと思う。 あなたに出会って半年、1年、と時間が過ぎていった。2人とも夏生まれで、お互いの誕生日を祝ったり、あたしの20歳初のお酒解禁に祝杯をあげたりした。6つ年上のあなたを「おじさん」と言ってからかうと、「俺も四捨五入したら三十路だよ。男は30からだからなぁ。俺はいい男になるぞぉ。佳世は幸せ者だなぁ。」なんて、あたしの頭を軽くポンと叩いたりした。
かなこ さん作 [292] -
夜とあなたとあたしの匂い?
あたしの斜め前にあなたが座った。親睦会が始まって20分ほど経った頃、あなたは少し遅れてやってきた。仕事帰りだったのだろう。雪をかぶった黒いコートの下には、スーツにネクタイのあなたがいた。あなたが近づくと、外のひんやりとした空気の残りが、あたしの火照った頬に触れて心地良い。 あなたがあたしの斜め前に座って、それからはもうダメだった。亜矢たちの会話も全く覚えていないのに、あなたがグラスに触れる指先
かなこ さん作 [195] -
夜とあなたとあたしの匂い?
さっきまで白い色を広げていた空は、いつの間にか灰色に変わっていた。手のひらと頬に冷たいものが落ちてくる。ここ数日は天気が良かったのに、今日に限って雪になった。あたしは空と向かい合うように顔を上げ、雪を浴びる。空の一体どこから雪は降りてくるのだろう、いつ見ても答えが出ないことを、またふと考えていた。雪は止みそうにもない。 あたしの中でカウントダウンが始まった。あと3分で今日最後の授業が終わる。黒
かなこ さん作 [285]
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