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馨子 さんの投稿された作品が5件見つかりました。
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悠久の抱擁 五
瑠璃が迷っていたのは、中学生の時にやっていたバレーボールを続けるかどうかである。というのも、思いもよらないクラブの顧問の先生に、やってみないかと誘われた。ずっと固辞していた瑠璃だったが、「見学するだけでもいいからいらっしゃい」と、半ば強引に引っ張って来られ、初めてそのスポーツを目の当たりに見る事になってしまった。そういうスポーツがある事は、何となく知ってはいたが、実際にどういうふうにするのかまで
馨子 さん作 [117] -
悠久の抱擁 四
「二度とは経験出来ない【青春】という貴重な時期を、この稜星館高校で仲間と共に学び、仲間と共に泣いたり笑ったり、かけがえのない思い出をたくさん作って下さい。辛くても苦しくても、また、嬉しくても楽しくても、分かち合い支え合う仲間がいる事が、どんなに素晴らしいか、身を以って感じて欲しいと思い………」長い校長挨拶に、新入生一同が飽きて来た頃だった。ズズッ!ズズズ〜ッ!!!っと、辺り構わず鼻をすすり上げた
馨子 さん作 [98] -
悠久の抱擁 三
一世一大の決意のもと、容子の受験に取り組む姿勢は一変した。猛烈な勢いで、成績は上がり始めた。日に日に、鬼気迫る形相に変わっていく容子の様子は、瑠璃や周りの友人達の心配を大きく膨らませる。「ねぇ、容子大丈夫なの?何だってあそこまで、悲壮に自分を追い込んでる訳?瑠璃、ちょっと止めてあげなよ。倒れたらマジ、何にもならないんだよ!」容子と瑠璃が、大の親友だと知る数人の友人達が、見兼ねて声をかけて来る。そ
馨子 さん作 [178] -
悠久の抱擁 二
「瑠璃!」いささか大きすぎる声で、名前を呼んで容子が駆け寄って来た。「おはよう、容子!…ちょっと、今日も声大きすぎだってば!恥ずかしいよ。」高校のクラブで演劇部の部長を務める容子の声は、それでなくてもよく通る。朝の通勤通学の人ごみの中で、余計に声を張り上げるものだから、周り中の人々の眉をひそめた非難の視線が、瑠璃にも突き刺さるのがたまらない。当の本人である容子は、澄ました顔でベロッっと舌を出して
馨子 さん作 [138] -
悠久の抱擁
『この地に生まれ出ずる全ての命の重みより、この愛は重く深く尽きることはないと誓う』熱く真っ赤に煮えたぎる地を見下ろして、天と地に響き渡る声が頭の奥にこだまする。切ないような、泣きたいような懐かしい思いに胸が締め付けられる。「待って!置いて行かないで!」そう叫んだ自分の声の大きさに、瑠璃は何が何だか分からないまま、驚いてキョロキョロと辺りを見回した。見飽きた自分の部屋の薄暗い空間に、何一つも変わり
馨子 さん作 [145]
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