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管理人さんの投稿された作品が10179件見つかりました。
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Hな方程式?
サインがすっと立ちあがった。顔を見ると今までの苦悩が嘘のように晴れた、生き生きした表情をしていた。「やっと自由に話せるようになりました。今まで、私は船の意思に押さえつけられていたのです」 僕も立ちあがり、サインの狭い背中に手をまわして、彼女の体を抱きしめた。「もう大丈夫だ。これ以上君に行動を強いる必要性は、あいつにはなくなったはずだから」 僕の胸の中で、サインの小さな顔が見上げる。「でも、重量オ
放射朗 さん作 [669] -
Hな方程式?
「医務室の万能治療機で僕の脳を取り出して保存しろ。その後僕の体は捨てていい。そして目的地に到着したら、僕のクローンを作って脳移植するんだ。それで重量問題は解決するだろ。脳の分の重さは、最低限を引いた食料を捨てることで補えるはずだ。それからもう一つ。サイラスの宇宙局には脳を取り出したこと以外を報告すること」「なるほど、おまえは死んだことになるから追っ手がかからないということか。その提案は実行可能だ
放射朗 さん作 [1,359] -
Hな方程式?
サインがすっと立ちあがった。顔を見ると今までの苦悩が嘘のように晴れた、生き生きした表情をしていた。「やっと自由に話せるようになりました。今まで、私は船の意思に押さえつけられていたのです」 僕も立ちあがり、サインの狭い背中に手をまわして、彼女の体を抱きしめた。「もう大丈夫だ。これ以上君に行動を強いる必要性は、あいつにはなくなったはずだから」 僕の胸の中で、サインの小さな顔が見上げる。「でも、重量オ
放射朗 さん作 [501] -
Hな方程式?
僕は少し間を置いてから言った。「サインが生きてるからさ。サインはロボットじゃないんだ」 船のコンピューターは答えない。サインもきょとんとした顔を僕に向けていた。 笑い声が聞こえて、その後に船のコンピュータの言葉が続いた。「何を言い出すかと思えば……。さっきおまえが自分でサインはロボットだと言い当てたばかりじゃないか。自己矛盾もはなはだしい」 その言葉に恐れが滲んでるのを僕は感じた。「僕も最初は彼
放射朗 さん作 [699] -
Hな方程式?
一瞬で血液が沸騰するのはどんな気持ちだろう。 熱いと感じるのだろうか、マイナス二百七十度の極寒の世界なのに。 空気か。いつもまったく気にもしていない空気をこんなにもいとおしく感じるなんて。 一度大きく息を吸った。「ドスビー、行かないで」 背中にサインの優しい言葉を聞いた後、僕は死への旅に一歩踏み出した。 一瞬、頭の中で何かがひらめいた。空気、それに万能治療気。 ヒントはすべて揃っていたんじゃな
放射朗 さん作 [597] -
Hな方程式?
「サインはロボットなんだから宇宙に出ても死なないわけだ。それならサインを一旦外に出しておいて、僕を最寄の星まで送った後迎えにくればいいんじゃないかな」「勝手なことを言うな。そのためにいくら燃料代がかかると思ってるんだ。その案は却下だな」 自分でも勝手なことだとは思ってた。こんなかわいいサインを自分の身代わりに宇宙にほっぽり出すなんて、言った後すぐにでも口から出た言葉を吸い込みたくなった。「僕がど
放射朗 さん作 [1,009] -
Hな方程式?
「君は本当に操縦士なのかい?」 単刀直入に聞いてみた。 僕の予想が正しければ、サインは正直に答えるはずだ。「私は自分が操縦士だなんて言った覚えはありませんよ」 サインの表情は少し変だった。額からは汗が流れてる。「君はロボットなんじゃないのか?」 荷室にあった空き箱を僕は思い出していた。「その質問には答えられません。その質問には……」 胸を隠していた手で頭を抱えてサインが苦しみ出した。 隠れていた
放射朗 さん作 [846] -
Hな方程式?
「10時間以内に僕は死んでしまうってことか」 絶望感と共にため息つくひまも無く、サインが駄目押ししてきた。「いえ、10時間以内にワープ領域に入るには、あなたに2時間以内に退去してもらわなければいけません」「2時間? たったの2時間か、僕に残された猶予は。冗談じゃない、こんな服着てる場合じゃないぞ」 立ちあがると服を全部脱ぎ、部屋の隅に在るダストシュートに叩きこんだ。「君も全部脱いで捨てろ。それで
放射朗 さん作 [712] -
Hな方程式?
「宇宙服を着ていたとしても、何も無い宇宙空間に一人ぼっちは寂しいね。寒そうだ。助けが来るまでに凍えそうだね」「宇宙服を着て出るのはかまいませんが、助けが来ると思うのは非常識ですよ」「助けがこなけりゃ死んでしまうじゃないか。それは無いよ。それで、もし僕が退去しなかったらどうなるのかなあ」 自分がこんな猫なで声を出せるなんて知らなかった。「この船は約十時間後にワープ領域に入る予定なんです。ワープ領域
放射朗 さん作 [585] -
Hな方程式?
大統領は、さらに星間情報を制限し出し、圧政を敷くようになっていった。 反政府的言動をするものを暴力で封じ込めるようになるのにも、ほとんど時間はかからなかった。 何としても星間連盟の支部のある星まで行って、窮状を訴えるのが僕の使命なのだ。 僕をこの船に乗り込ませるのに、何人もの仲間が死んでいった。 めったに来ない貨物船に、可能性の低い密航という手段。今度うまく密航できるのは百年先かもしれない。これ
放射朗 さん作 [549]