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稲村コウ さんの投稿された作品が138件見つかりました。

 
  • ほんの小さな私事(87)

    教室には、朝練ができなくなってしまった面々が居る分、賑やかになっていた。私たちは、荷物を自分の席に置くと、すぐさま、隣のA組の教室へと向かった。まず、扉から、中を覗く。山下さんの席は、外に面した窓際の中ほどにある。「来てない…みたい。」高野さんは、教室を見渡した後、そう言った。私も、教室内と、廊下を見てみたが、山下さんの姿は、どこにも見つける事ができなかった。暫くして、教室を覗いている私たちの元
    稲村コウ さん作 [320]
  • ほんの小さな私事(85)

    学校に到着すると、私たちは、学校全体の雰囲気が、いつもと違って、異様な感じになっているのに気づいた。いつもは、グラウンドやテニスコートで、朝練に励む声が聞こえてきて賑やかなのだが、今日に限っては、登校中の生徒の喋り声ぐらいしか聞こえてきてこなくて、まるで葬儀会場にでも来ているような感じであった。校門を通り過ぎる際に、貼り紙があったので、それを見てみると、このよう書かれていた。『臨時に、一定期間、
    稲村コウ さん作 [305]
  • ほんの小さな私事(85)

    登校の道のりの中、私たちの会話は薄くなっていた。それはやはり、本来なら一緒に居る筈の山下さんの存在が無い事が大きかった。ただ、双方とも、その事を口にせず、他の話題でお茶を濁す様に会話していたのだが、どうしても山下さんの事が脳裏から離れず、ギクシャクした会話になってしまっていた。「やっぱり…だめ。心配で…気になっちゃって…。カズちゃん…今、どこでどうしてるんだろ?こんなこと言ったって、どうなる訳じ
    稲村コウ さん作 [330]
  • ほんの小さな私事(84)

    翌朝、部屋の扉をノックする音で、私は目を覚ました。「沙羅ちゃん、時間大丈夫?」扉越しに聞こえてくる藤沢さんの声にハッとなり、ベッドの枕元にある時計を見る。時刻は既に七時半を過ぎているのを見て、私は驚いてしまった。「いけない!こんな時間になっているなんて…。」普段は自然と、六時半位には必ず目を覚ましている私だったが、今日は、昨日の疲れからか、起きるのが遅くなってしまったらしい。急いで起き上がり、扉
    稲村コウ さん作 [332]
  • ほんの小さな私事(83)

    高野さんとの電話は、そのあと、他愛ない話をして終わりとなった。結局、山下さんに関する事は、最初だけしかせず、あとは、明日の事などについて簡単に話したのだが、なんとなく高野さんは、山下さんの事が気になっているのか、いつもの調子とは違っていた様に思える。私自身も、山下さんの事は気掛かりだが、お互い、その話を避けて喋っていた感じだと思う。電話での話がが終わった後、改めて食卓に戻り、少し冷めてしまった残
    稲村コウ さん作 [296]
  • ほんの小さな私事(82)

    その夜、私は藤沢さんと二人で食卓について夕食をとっていた。祖父は今日、檀家回りという事で、夜遅くになるらしい。一方、潮は、友達の所に宿泊してくるという事で、今日の夕食は、藤沢さんと二人だけでの食卓となった訳である。「あらまぁ、色々大変だったのね。それにしても、山下さんとこの和代ちゃんが行方不明だって?変な事件に巻き込まれてるとかじゃなきゃいいんだけどねぇ…。」同じ町内ということもあってか、藤沢さ
    稲村コウ さん作 [328]
  • ほんの小さな私事(81)

    山下さんの事は心配だが、私たちは、自分の荷物をまとめて、帰路についた。「それにしてもカズちゃん、どうしちゃったのかな?ショックで自分がわかんなくなっちゃったとか…かなぁ?そんな事、ないと思うけど…。」正直な所、人は取り乱すと、人が想定しないような行動をすると言う事は、昔、人の精神について書かれた記事か何かで見たことはある。だがしかし、それはあくまで、極限状態の人が、予測不能な行動を起こすという感
    稲村コウ さん作 [317]
  • ほんの小さな私事(80)

    林さんに諭されて、下校する事になった私たちは、林さんと共に校舎側へと移動していた。その時、渡り廊下側から、高野さんと瀧口先生がこちらにやってくるのが見えた。「沙羅ちゃーん、香取ーん、カズちゃんはー?」高野さんが遠くから手を振りつつ、そう大きな声で私たちに聞いてきたが、私が首を横に振ると、高野さんは、眉をひそめた。「うーん…あの子、どこにいっちゃたのかしら?」腕組みをしつつ、高野さんは、そう呟いた
    稲村コウ さん作 [337]
  • ほんの小さな私事(79)

    図書館一階に降りると、そこには、先に到着していた香取君と林さんが、図書館入り口で話をしていた。高野さんの姿はまだなく、先ほど見た渡り廊下の途中で、瀧口先生とまだ、何やら話しているのだろう。私は二人の元に近づき、香取君を見る。「あ…山下さんは居た?」そう聞かれたので、私は、首を横に振って答えた。「こちらの経路には見かけませんでした。そちらも…見かけなかったのですね?」「うん…。」そんなやりとりをし
    稲村コウ さん作 [337]
  • ほんの小さな私事(78)

    それぞれ別れて山下さんを捜し始めた私たち。二階の連絡通路方面を捜し歩く事にした私は、まず、保健室より少し西へと行った所にある階段を駆け上った。二階は既に、生徒たちが下校してしまったあとで、殆んど人の姿は見られなかった。ちらりと見える人影も、念のために見てみたが、それら人影の中に山下さんを確認する事は出来なかった。もしかしたらA組の教室に戻っていり可能性も思い付いたが、今は何にしても、連絡通路から
    稲村コウ さん作 [350]
 
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