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さんの投稿された作品が4件見つかりました。

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  • 雨の庭先

    雨のにおいを含んだ空気が店内に入ってきた。ジョーカーがエントランスをチラリと見やった。「待っていたよ、雨男」純麗はジョーカーを膝から降ろし、カウチから立ち上がった。「やあ、よく降るね」ブーツの爪先をトントン、と鳴らしマットの上に黒く模様を浮かびあがらせる。ウエストから提げたシザーバッグの露を払うと雨宮はステップを降りて純麗の傍に立ち髪に手を伸ばした。「ちょっと伸びたでしょう?」「頃合いだったね」体
    さん作 [290]
  • そらの記憶

    幼い頃の思い出を数えれば両の手で足りるほどである。オオカマキリに挟まれた指の赤紫、体じゅうに巡らされた電極の赤や黄。そして私をどこかへ連れ去るような空の青。空を見上げた私は一瞬自分の居場所が分からなくなった。私はなぜここにいるのか、自分が透明になったような気がした。そして世界が急によそよそしいものに感じられた。暫し呆然とした後、私は夏草の匂いを感じた。私の住む団地の前のいつもの空き地にいた。私はそ
    さん作 [255]
  • 鳥カゴ

    鳴いている。何という鳥の声だろうか。切ないような、苦しいような、淫らなような。この密やかなさえずりは、今は亡き鳥の亡霊か。きっとそうだ。壁際の空っぽな鳥カゴの辺りから聞こえるのだから。鳥カゴは僕の知る限り、鳥がそこに納まっていた例しはない。先の住人が置いていったのか、又は一夜の滞在者の遺棄物であったのか。一本足のスタンドとその頂点からぶら下がる細円いドーム型の柵、この二つから成る構造物はコートを
    こころ さん作 [309]
  • お買い物

    真昼の花火の気分、とその時思った。華やいだ休日の街に、僕は居心地の悪さを感じた。当てもなくフラフラ歩く僕をまわりの人々は本当に見えているのだろうか。自己中心的で悲劇的でナルシストな思考に僕はフフフと小さく笑った。「何かお探しですか」自分に自信があります、という明るい笑顔で良い男が微笑んでいる。ええ、まあ、と僕は何らかの秩序で並ばされているであろうシャツやジャケット、パンツ、カットソーを順々に壁伝
    こころ さん作 [313]
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