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イーペイ粉 さんの投稿された作品が5件見つかりました。

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  • 桜の微笑む丘 3

    ただ気が付くと草の上に突っ伏していて、気が付くと日も沈みかけていた。桜はやはり僕の傍に、僕を覆い隠すように立っていた。「あ……ごめんよ桜! 僕はもう帰らなくちゃ。ほんとにごめんよ」 ぼくは桜に背を向けて駆け出した。途中でもう一度、茜色の桜が見たくなって振り向いた。「また来るからね! ありがとう!」 夕陽に染まった美しい桜を目に焼き付けて、僕は家路についた。 母は怒っているかもしれない。父に会った
    イーペイ粉 さん作 [300]
  • 桜の微笑む丘 2

     よかった。いつもの桜だ。一週間の間、会いに来なかったことを怒ってはいない―― それは希望的観測だったのかもしれない。桜は僕の思いを汲み取って、そして投げ捨てるかのように強くかぶりを振った。「桜? ごめんよ、ずっと放っておいたのは、君が嫌いになったからじゃないんだ」 言い訳なんかに聞こえないように、僕は必死の思いで説明した。一週間に起きたこと、全て。遠くから来た親戚の態度がひどかったことも。学校
    イーペイ粉 さん作 [256]
  • 桜の微笑む丘

     小さな小さな、小高い丘と呼んだ方がしっくりくるような、そんな裏山。そのてっぺんに桜がいるのが、麓の農道の僕からでも見えた。 やけに甘ったるい風が吹いている。世間では入学進学就職と慌ただしい季節に、未だ田んぼが村の四割を占めるようなこの田舎町でも、どうやら少しは便乗したようだった。もちろん、それは僕が地元権力者の御曹司だったからかもしれないが、とにかく僕は一週間の間、鶯の鳴く声に耳を傾ける暇もな
    イーペイ粉 さん作 [276]
  • あの日のホームで 2

    ケイコと別れたのは、この小さな駅のホームだった。いや、本当のところを言えば、上嶋は今でも別れたつもりはない。だからこそ、こうして毎日欠かさず迎えに来ているのだから。 二人で温泉地へ旅行へ行った帰りだった。蝙蝠の飛び交う夕暮れ時で、窓越しにそれを見たケイコが、初めて見たと喜んでいたのを覚えている。やがて駅に着いて、電車のドアが開いて、寒いねなどと笑い合いながら電車を降りた。 降りたのは、上嶋だけ
    イーペイ粉 さん作 [220]
  • あの日のホームで 1

    吹きっさらしのホームには、当然のように人影が無かった。通勤ラッシュの時間帯を抜け、さらについ今しがた、日に数本しか来ない快速が出発したところであっても、この静けさは上嶋の心を沈ませた。 どうも最近、この沿線を使う人間が減っているような気がする。辺鄙な田舎町の小さな駅だが、それでも開通した頃には、まさにごった返した人々が押し寄せたものだ。時の流れとともに、話題性は薄れ駅の傷みは濃くなっていった。
    イーペイ粉 さん作 [228]
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