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BgwP←/ さんの投稿された作品が22件見つかりました。
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カミサマ 〜光の雪?〜
―――雪が。 純白の雪がひらひらと降っている。 彼はそれを、いつもの場所に立ち感じていた。 真っ白な雪は町をおおうように降っていて、分厚い雲の隙間をくぐり抜けた日の光が、積もろうとするそれを無残にも溶かしている。 子供たちは日陰に残った雪をかき集めて像を作り、大人たちは迷惑そうに雪掃きをしていた。 アイサはそれを、教会の扉の前に立ち眺めていた。 少しずつ、ずれていく二人。 でも、アイサは彼を兄
BgwP←/ さん作 [331] -
カミサマ 〜光の雪?〜
「町の人たちはね、この教会に天使が住んでるって信じてるんだ」 くすくすと――楽しそうに、笑いながら。「なんて愚かなんだろうね。人間って」 嘲るように、謳いながら。「天使が人間の造ったものに住むわけ無いのに」 軽蔑するように、囁いた。「…………違うわ」 そんな彼に気付いているかいないのか、アイサは声を上げた。「…何が違うの?黒き姫」 静かに彼は問い掛けた。 この少女(人間)はどれだけ世界を判っ
BgwP←/ さん作 [394] -
カミサマ 〜光の雪?〜
「朝ご飯にしようか」 彼は楽しそうに言うと、アイサに手を伸ばした。「うん………」 アイサは彼の手を取る。と同時に、どこに食物があるのだろうと周囲を見渡した。 しかし、教会の中にあるのは古びた燭台や朽ちかけた長椅子だけ。「………買い物に行くの?」「行くわけないじゃないか」 彼は当たり前のように言った。 それが、彼の当たり前だから。「じゃあどうするの?」 アイサの問い掛けに、彼は小さく笑うと「扉を開
BgwP←/ さん作 [379] -
カミサマ 〜光の雪?〜
その日、アイサは詩を聴きながら目を覚ました。 詩っていたのは彼だった。 ガラスの抜け落ちた天窓から冬の朝日が直に差し、ロザリオに反射して教会のあちこちに散らばっている。 その中で、彼はいつもの場所に立ち詩っていた。―――神よ。貴方を祈ろう。貴方の為に、私の為に。 神よ。貴方を讃えよう。貴方の為に、あの子の為に。神よ。貴方を信じよう。貴方の為に、世界の為に。―――\r アイサがしばらく彼の声に浸
BgwP←/ さん作 [319] -
カミサマ 〜黒き姫〜
黒き姫、つまりアイサはとてもとても幸せな子だった。 家は裕福で不自由な事など何一つなく、友人にも恵まれ、あらゆる人たちから大切にされ、愛されていた。 そしてアイサは、神を信じていた。 悪を憎む神を信じていた。 あの日、アイサには詩が聴こえた。―――神は貴方を愛すだろう。神は私を嫌うだろう。神は貴方を愛し、愛しきあまりに殺すだろう。神は私を嫌い、嫌いなあまりに生かすだろう。この世で死ほど愛される
BgwP←/ さん作 [500] -
カミサマ 〜出逢い〜
街に深々と雪が降り積もる。 彼が住んでいる教会も、いつの間にか白一色に染められていた。 彼はいつものように、天井から吊り下げられた十字架の下に立っていた。 すぅ…と雪の匂いを嗅いだ。 彼は雪の匂いが好きだった。 自分が産まれた時を感じるから。 キィ…と古びた扉が開く音がして、彼はそのままで訊ねた。「誰…?キミは誰?黒き姫」 彼が言った通り、入って来たのは黒髪の少女だった。 少女は何かに怯える小
BgwP←/ さん作 [347] -
カミサマ 〜堕天使〜
彼は、ラピス・サラサエルという少年はサラサエル(堕天使)の名のごとく、神ではなく大人たちに歯向かった。 歯向かった、というのは正確には違う。 彼はただ、物事の真実を唱えただけなのだ。 なのに大人たちは彼の言う事を信じず、否定した。 神を愚弄するなと叱りつけた。 本当に愚弄している者が誰かも判らずに、彼を拒絶した。 そして彼は、当たり前のように一人になった。 この世で生きていく為には、大人たち
BgwP←/ さん作 [328] -
カミサマ 〜プロローグ〜
「ねぇ、神父様。神様はどうして人間をお造りになったの?」 教会の聖堂、大きなロザリオが吊り下げられたその真下で、彼は唐突に訊ねた。 居ないはずの神父に向かって。 しかし、神父は声を返した。「サラサエル(堕天使)の申し子。なぜそのような事を問う」 どこからともなく聞こえてきたその声に全く動じる気配もなく、彼は淡々と答えた。「だって、人間は人間を売り買いするし、平気で殺したり奪ったりするでしょう?そ
BgwP←/ さん作 [360] -
希望
もう何もかもに疲れたよボクがそう言った時、キミはこう言ったよね『あきらめないで、希望を持て』って...希望が無いからこんなこと言ってるんじゃないか。ボクがそう言い返すと、キミはまた言ったね『それは見つけていないからだ。見つけようとすれば、希望なんて簡単に見つかる』って...じゃあ、キミはどうなんだよ。いじめられて、希望も何もかも無くして、五年前にこの場所で首を吊って死んだキミは同じ境遇のボクに、
BgwP←/ さん作 [457] -
派遣交換社員・?
「―――ただいま」「お帰りなさい。[アナタ]」 [アタシ]は[アナタ]に笑顔を向ける。 少しの時間だったけれど、あたしは仕上げを終えて[アタシ]になれた。 おかげで[アナタ]は[アタシ]を全く疑っていない。 でもまあ、それもそのはず。 あたしは[アタシ]だもの。「ん?どうかしたか?」「あっ、ううん。なんでもないわ」 危ない危ない。 そういえば、[アタシ]はヒステリックってことになっていたわね。
BgwP←/ さん作 [422]