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新海 剛志 さんの投稿された作品が11件見つかりました。

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  • Paramita―序章11―

    彼女は冷たく凍りついていた。そして氷のように脆く私の手の平から崩れ落ちる。「・・・・・・止めてくれ・・・・・・芝居は止してくれ・・・・・・」「・・・・・・芝居・・・・・・」彼女は小さく呟き、私を哀れむ眼差しで見つめる。「・・・・・・もう止めてくれ・・・・・・」「・・・・・・・・・」彼女はまた、黙り込む。そして趣に立ち上がり、服脱ぎ始める。裸になり、私の側に一歩、また一歩近づいてくる。私は焦る気持
    新海 剛志 さん作 [543]
  • Paramita―序章10―

    「・・・何故、あそこから逃げたした・・・」「・・・・・・・・・」「・・・何故・・・・・・・・・・・・どうして、僕の前から姿を消した・・・「・・・・・・・・・」彼女は黙り込み、頭を深々と下げているままだった。「・・・応えてくれ・・・・・・蛍・・・・・・」「申し訳ございません・・・あなたのおっしゃている意味がよく理解できません・・・」「・・・・・・・・・」「・・・教舎とは何でしょ・・・」「・・・・・
    新海 剛志 さん作 [502]
  • Paramita―序章9―

    「失礼します・・・」声と共に襖が開く。そこには見慣れているはずの女が座っていた。「ご指名を承けました・・・紅桜です・・・以後お見知りおきを・・・」紅桜は深々頭を下げる。私は言葉失う。肌けた衣装に身を包み、長いか髪を結い上げ、高価な装飾品を飾り付ける。昔の彼女からは想像もつかない姿。私は彼女を直視することが出来ずに、咄嗟に目を反らす。「・・・・・・蛍・・・・・・何故・・・何故そんな格好をしている・
    新海 剛志 さん作 [501]
  • Paramita―序章8―

     暗く長い階段も終わりを告げ、私は三階に辿り着く。 すべて明かりは消され、心なしか肌寒い。私たちは菊の華の絵の描かれた襖の前で立ち止まる。「ここです。どうぞ、中でお待ち下さい。」 私は部屋の中に入り襖を閉める。―薄暗い部屋には蝋燭の脚が四つ、みな蝋燭は熔け芯だけになっていた。部屋は八畳程の大きさで、中央には蒲団が一つ敷かれている。 そして、大きな窓が一つ。冬の月夜を映し出している。 ―美しい私は
    新海 剛志 さん作 [488]
  • Paramita―序章7―

    どうやらこの階は遊女たちが寝泊まりしているらしいが、今の時間帯は皆出払っているようだ。閑散としている。「紅桜はここで生活しているのですか?」「・・・いいえ・・・彼女は三階で寝泊まり・・・・・・仕事を・・・・・・」「・・・・・」「・・・あの娘は人と交わるのが嫌いみたいで・・・ここには一度も顔を出したことがないんです・・・・・・」「・・・・・・」 私は彼女に返す言葉がなかった。何を言ったところで何も
    新海 剛志 さん作 [511]
  • Paramita―序章6―

    「・・・あの・・・」 梅の香りを漂わせ彼女が私の前に姿を現す。「・・・どうぞ・・・紅桜は菊の間にいます。」 私は彼女の言われるままに草履を脱ぎ店の奥に足を運ぶ。 店内はいくつもの部屋に仕切られ、多くの遊女たちがごった返している。廊下は明かりが燈され、昼と見違えるほど明るい。「こちらです。」 彼女は階段を指差し私を見つめる。 階段は勾配がきつく、そして暗い。遠い。「この上ですか?」 私がそう問い掛
    新海 剛志 さん作 [517]
  • Paramita―序章5―

    彼女は奥の部屋に姿を消してしまった。 彼女はなかなか戻って来ない。私は店の玄関でただ佇むしかなかった。その間にも遊女たちは男を連れ店に入ってくる。遊女たちは決まって、花の香りを漂わせ、男たちはその香りに現を抜かす。 小さな声が私を呼ぶのにに気が付く。「・・・お侍さん?紅桜は逢いたくないそうです・・・」「―そうか・・・なら・・・・・・水城が来たと告げてくれないか・・・」 それを聞き、彼女はまた私の
    新海 剛志 さん作 [510]
  • Paramita―序章4―

    「・・・殺しはしない。だから、早くあいつを出せ・・・早く・・・俺をあいつに・・・・・・逢わせてくれ・・・・・・」 詰まる声で呟く私。 見つめる先には彼女の瞳が揺らぐ。 私は彼女を殺すのではないか。 このまま彼女を握り潰せば、気持ちが晴れるのではないのか。晴れる・・・ ―いや・・・晴れはしない私は彼女を解き放つ。彼女は床に転び込むと何度も咳をした。 我に還る私 私は武士らしからぬ行動を酷く恥じた。
    新海 剛志 さん作 [466]
  • Paramita―序章3―

    梅の匂いが鼻につく。「・・・・・・違う」「!?」 瞬時に私の手は彼女の首を捕らえていた。いや、掴まずにはいられなかったのだ。彼女の首は恐ろしい程細く、力を入れ過ぎてしまえば折れてしまいそう。彼女は唇を震わせ、見開いた瞳は私を写す。彼女は悲鳴を上げる事なく、死んでしまいそうな声で私に命乞いをする。「・・・・・・お願い・・・・・・殺さないで・・・・・・」 私の手は首を締めつけている。人形を掴み上げて
    新海 剛志 さん作 [476]
  • Paramita―序章2―

     彼女は私の胸元に触れ、色っぽい声を上げる。「女を買いに来た」「ご指名は?・・・私?」「いや・・・紅桜を」 私は遠くの一点を見つめ、そう呟く。 彼女はそれを聞き、ふて腐れたそぶりを見せる。そしてまた甲高い声を上げる。「お侍さん!あの娘はよしたほうがいいわよ!気が強いし・・・あなたじゃ、手なづける前に食い殺されちゃうわ・・・確かに、若くて容姿も綺麗だけど・・・」「かまわん。紅桜を」「でも・・・あの
    新海 剛志 さん作 [522]
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