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りみ さんの投稿された作品が5件見つかりました。
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湖畔【5】
駿はまるで佑子に気付いる素振りは見えない。覚えていないのだろうか? 「おい、佑子」 「えっ、何?」不意に健治に声を掛けられ慌てて返事をする。 「明日の休みなんだけどさ…」 「うん…」 少し健治は申し訳なさそうに 「こいつの引っ越し一緒に手伝ってほしいんだけど…」 「えっ?」 「いいよ、健治。大した荷物でもないし、俺一人でも大丈夫だから」 駿が口を挟む。 「それに明日は久々の休みだろう」 そ
りみ さん作 [75] -
湖畔【4】
-三ヶ月後- <8月> いつものように彼との待ち合わせ場所に向かう。 いつものように彼は先にカウンターで軽く飲んでいる。 ただ今日はいつもと違った。彼の隣に見知らぬ男性の姿があった。彼の元へ足を運んでいくと、だんだん顔がはっきり視界に入ってきた。 あっ!思わず声が上がりそうになったのを必死に飲み込む。 あの人だ…しゅんと呼ばれていた、三ヶ月前あの町で出逢った…間違いない。でも、どうして…
りみ さん作 [108] -
湖畔【3】
男の後について森の中へと入って行く。 奥に進むにつれて道は、細くなっていき、まだ昼間だというのに薄暗い。 本当にこんな場所に湖なんてあるのだろうか?もしかして…この人私を森の奥深くに連れ込んで……そんな不安が脳裏を過った。 突然男が振り返った。ドキッとして一瞬体がこわばる。 「ほらっ」男が前方を指差す。そこにはぽっかりと光の穴があった。 さらに歩を進めて行くと、鬱蒼とした木々に囲まれた
りみ さん作 [103] -
湖畔【2】
軽トラックから、丸顔の人の良さそうなおじさんが降りてきた。 「ガス欠だってね。もう大丈夫だよ」と言うと、おじさんは荷台からガソリンらしき入ったポリタンクを降ろし、慣れた手付きでガソリンを車に入れた。 「よしっ」 「あ、ありがとうございます。ホントに助かりました」 「な〜に、いいってよ。あっ、わし ちょっとすぐに行かなぁ用事があるけん。これでけえるわ。じゃあな、しゅん」 と言うとトラックに乗り込み
りみ さん作 [120] -
湖畔
湖畔 1 「あっ〜、なんでなのよ〜」さっきから何度このセリフを口にしているだろう。だからといって、この状況が変わる事はないのだが。 町と町とを結ぶ山道の脇で、愛車にもたれかかって、佑子は途方にくれていた。 ガス欠。残量が僅かなのも分かっていた。カーナビ頼りに見つけたスタンドが、潰れていた。最後に見た民家に引き返すには、かなりの距離があった。前に進むしかなかった。…結果、土地勘もないこの
りみ さん作 [123]
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