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MICORO さんの投稿された作品が35件見つかりました。

 
  • 最期の恋(24)

    退職の日。黒い帯の入った婦長のナースキャップを戴いた涼子が、深々と頭を下げる。「吉村婦長。本当にありがとうございました。あたし婦長の教えを、絶対に忘れません。生涯、ナースとして生きていきます。吉村婦長のように…」この二週間、私がどれほど厳しく叱っても、怒鳴りつけても、決して涙を見せなかった。人一倍涙もろい涼子には、考えられないことだった。そして今、涼子の頬を一筋の涙が伝う。恐らく彼女は、この二週
    MICORO さん作 [454]
  • 最期の恋(23)

    あとどれくらい、生きられるのかわからない。だけど、もう手術は受けない。両の乳房を喪い、放射線に焼かれ、抗がん剤の副作用に苦しみながら、病院でチューブに繋がれて生きるなんてお断り。大好きなコウに愛されながら、きっぱりと命を終えるのだ。看護師としては失格だけど、最期まで『おんな』として生きていきたい。決心すると、嘘のように心が落ち着いた。ドクターが入院手続きを勧めるのを断って、家に帰った。まずは、コ
    MICORO さん作 [486]
  • 最期の恋(22)

    私のそんな思いを察して、コウはわざと帰りたくないと言ってくれたのかも知れない。コウはいつだって、私の代わりに悪者になってくれるから。めずらしく週末に休みがとれた。時間に縛られず、ゆっくりと二人の愛を確かめ合ったあと、右側の乳房をイタズラしていたコウが、不思議そうな顔で言った。「あれぇ、さゆりさん。おっぱいの外側が、なんだかコリコリしてるよ。妊娠しちゃったのかなぁ」「バカねぇ!乳癌の治療の時に不妊
    MICORO さん作 [414]
  • 最期の恋(21)

    ?最近では、学校が休みになる、金曜日の夕方から日曜日の夜まで、コウは私のアパートで過ごしていく。若いナース達の休日の希望は、どうしても週末に集中する。だから私自身が休めることはほとんどない。一緒に遊びに行くこともなければ、不規則な勤務で疲れ切った私とワイワイ騒げる訳でもない。高校生の男の子にとって、いったい何が楽しいのかと思うのだが、金曜日の授業が終わると、伝書鳩みたいにやっ
    MICORO さん作 [363]
  • 最期の恋(20)

    「おかしいです。スッゴクおかしいですよ、婦長。でも、恋なんておかしなものじゃないんですか?それに、孝一君だって、婦長のことが好きなんでしょう?」全く変な言い方だが、涼子の言葉には、妙に納得させられてしまう。「好きだって、言ってくれてる…」私が遠慮がちにいうと、涼子は大袈裟に頷いて、納得した。「でしょうね。だって入院してた時から、婦長のことばっかり気にしてたんですよ。看護学校を出たての若くて可愛い
    MICORO さん作 [370]
  • 最期の恋(19)

    私はその場にいたたまれなくなって、コウの手を引いてマクドナルドから飛び出した。駅前の花時計の前にコウを座らせ問い詰める。「ねえ、コウ。正直に言って。私と一緒にいて、本当に恥ずかしいと思ったことはないの?コウのお母さんより、年上のおばさんだよ。マックにいた女の子達が、何て言ってたか、聞いたでしょう?」「聞いたけど…。好きなんだから、全然平気だよ。それに、僕にはお母さんはいないし…。それとも、さゆり
    MICORO さん作 [365]
  • 最期の恋(18)

    「あっ!それ、私のアイスコーヒー…」もちろんアイスコーヒーなんてどうでもいいのだけれど、コウのリアクションが楽しみで、私はわざと悲しい顔をする。「ああっ!ごめんなさい!走って来たから、すごく喉が渇いてて…。あの、ボク 新しいの買って来ます」立ち上がろうとするコウの手を引いて、私は止めた。「もういいわ、コウ。私はそのアイスコーヒーが良かったの。新しいのはいらない」調子に乗って、私は拗ねて見せる。「
    MICORO さん作 [350]
  • 最期の恋(17)

    コウが頷いた。頭の良い彼の事だから、私の小さな嘘はお見通しだろうけど。「わかったよ。ごめんね、さゆりさん。僕、一生懸命に頑張って進学して、早くさゆりさんに追いつけるようにするから。だから、卒業して、きちんと社会人になったら…、プロポーズしてもいいですか?」私は微笑みを浮かべて、それに答えた。「もちろんよ。コウがそうなった時、まだ、私の事を愛していてくれたら、プロポーズして。必ず、『はい』って答え
    MICORO さん作 [475]
  • 最期の恋(16)

    コウとの待ち合わせは、いつも駅前のマクドナルド。学生時代にはよく利用したマクドナルドも、この歳になるとちょっと気恥ずかしい。めずらしく時間に遅れて来そうなコウを待ちながら、私は最初のデートを思い出した。昔と変わらず、学生達で賑わうマクドナルドの喧騒は、私にはあまり居心地の良いものではなかった。次の待ち合わせは、ちょっと小洒落たレストランにしようと言うと、コウはとんでもない、と首を振った。「ダメだ
    MICORO さん作 [475]
  • 最期の恋(15)

    この前よりもゆったりとした動作で、傷痕に沿って指先を滑らせる。唇で愛撫していく。なんて気持ちがいいんだろう…。コウの唇が、左胸の悲しい突起を捉えた。全身に電流が走り、私は小さな喘ぎを漏らしてしまう。「ああっ!コウ……。どうしてこんなに……」柔らかな乳房の肉を削ぎ落とされ、肋骨を覆っているだけの皮膚や、飾りのような乳首が、どうしてこんなに感じるのだろう。コウが左胸に耳を押し当てる。目を閉じて、安息
    MICORO さん作 [506]
 
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