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MICORO さんの投稿された作品が35件見つかりました。
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最期の恋(14)
「アハッ。それだけは許して。ちゃんと連絡先は教えるから。だって、またコウのウンチ取るの、大変だもん」「エエッ、あれってイヤイヤだったんですか?僕なんか、ウンチを取ってくれるさゆりさんが好きになったのに」「イヤだ!だってコウのアレが大きくなって、邪魔なんだもん」コウは、顔を真っ赤にして俯いた。傷つけてしまったかな、と私が不安に思っていると、コウは顔を上げ、真剣な目で言った。「ねえ、さゆりさん。もう
MICORO さん作 [467] -
最期の恋(13)
ものすごい勢いでお弁当を平らげるコウの食欲に、私は目を丸くした。「夕食のあとなのに、よくそんなに食べられるわね」私が呆れて言うと、コウは箸を止めずに答える。「だって、すごく美味しいんだもん。僕、こんなにふっくらとして美味しいおむすび、食べた事がないんです。いつも、コンビニとかスーパーのばっかりだから。この玉子焼きもハンバーグも、すごく優しい味がするし…。でもホントのことを白状しちゃうとね、夕食を
MICORO さん作 [384] -
「最期の恋」について
MICOROです。「最期の恋」という恋愛小説を投稿しています。一言で内容紹介をすると45歳の看護師(吉村さゆり)と17歳の高校生(田所孝一)の恋物語。ありえない!…ですよね。作者もそう思います。でも小説とは根も葉もある嘘八百?何も全てがリアルでなくてもいいと思うのです。ファンタジーであっていいと思うのです。主人公の吉村さゆりは、乳癌で片方の乳房を失い、治療のためにお腹の中にいた赤ちゃんも失った。
MICORO さん作 [801] -
最期の恋(12)
するとコウが、全く予想外の事を言った。「婦長さん。今日も、僕のことを『コウ』って呼んでくれたんですね」コウの言葉に、私は戸惑った。心の中で話しかける時は、確かにそう呼んでいる。その癖が、うっかりと出てしまったのだ。だけど今までに、『コウ』と呼んだ事などあっただろうか?「この前、僕がおっぱいにイタズラした時にも『コウ』って呼んでくれたでしょう。あの時、なんだか嬉しくて、背中がぞくぞくってしちゃった
MICORO さん作 [422] -
最期の恋(11)
昼間の喧騒が嘘のように、暗く静まり返った外来の廊下を、待合室に向かってゆっくりと歩く。今夜もコウは、待合室にいるだろうか?いつもの笑顔を、私に向けてくれるだろうか?私の手料理を、喜んで食べてくれるだろうか?こんな気持ちになるのだったら、驚かせようなんて考えないで、朝の検温の時にでも伝えておけばよかった。お弁当を届けに行くからねって…。待合室が近付くにつれて、不安と緊張とで脚ががくがくと震えてきた
MICORO さん作 [383] -
最期の恋(10)
?コウが退院する前日。日勤だった私は、夕方までの勤務が終わると、急いでアパートに戻った。腕によりをかけたお弁当を作るのだ。途中でスーパーに寄って材料を仕入れて帰り、この十年間、ほとんど使われたことのないキッチンに立った。今までは、看護師という立場上、コウにだけ特別待遇することは出来なかった。だけど、どうしても今夜だけは、お母さんのいないコウに私の手料理を食べさせてあげたい。明日
MICORO さん作 [401] -
最期の恋(9)
醜い傷痕を吸い取ろうとでもするように、唇を押し付けるコウの柔らかい髪を、私はそっと撫でる。コウの唇が、傷痕のそばにぽつんと残った乳首を捉えた。赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲む時のように、小さな音を立てて吸う。十年間忘れていた感触が、私の身体の芯を貫いた。「ああっ、コウ…。わたし…」私の目からは、とめどなく涙が溢れ出し、コウのパジャマの背を濡らす。どれくらいそうしていただろう。コウがゆっくりと立
MICORO さん作 [395] -
最期の恋(8)
コウの言葉は、私を苛立たせた。理由は自分でもわからないが、無性に腹が立った。ろくに恋愛経験もない高校生が、生意気言わないでよ。男と女のことなんて、何もわからないくせに。自分が待合室にいることも、コウが患者であることも忘れて、私は叫んでいた。「いい加減な慰め、言わないでよ!おっぱいのない、ムカデみたいな傷痕のある女なんて、どうして愛せるって言うのよ!見たこともないくせに!」私はコウの頬を思い切り平
MICORO さん作 [414] -
最期の恋(7)
「それに夏川主任がね、夜勤の時以外は、一晩中廊下で見張ってたの。私がバカなことをしないように。夏川主任の真っ赤に腫れ上がった目を見て、私は彼女に約束した。もう絶対にバカな事は考えないから、家に帰って眠って、って。それからは何だか吹っ切れた。術後の経過も問題なくて、三ヶ月で退院。一番辛い時期は乗り越えたんだから、今度こそ幸せになろうと思ってた。退院してから何日か経って、私の気分も落ち着いてきた頃に
MICORO さん作 [447] -
最期の恋(6)
「彼と結婚して、すごく幸せだったわ。そして私が三十五歳の時にようやく妊娠。診察を受けて『おめでたですよ』って言われた時は、本当に嬉しくて…。思わずドクターの手を握って、『ありがとう、先生!』なんて口走って、変な顔されちゃった。おかしいでしょう。三十五歳で初産っていうことで、念のために全身の健康診断を受けた。それで、乳癌が発見された…。他人の健康管理は煩く言う癖に、自己管理はなってなかったっていう
MICORO さん作 [440]