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ホチキスさんの投稿された作品が38件見つかりました。
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最後の夏休み10
ここは夢か現実か境のない世界。 しかし、現実からははるか遠ざかり永遠の夜が続く世界。 そんな世界の真ん中にただ一つぽつんと佇む古城。その古城の中。家一軒がまるまる入るくらい大きな広間の奥にある玉座。その玉座へゆっくりとかつ優雅に舞い戻る銀色の少女。「どちらにお出かけで?お嬢様。」玉座の横に控える執事らしき乙女。「始まりの元凶を確認してきた。くっくっく。あれはよい駒になるやも知れん。」銀の少女は不敵
ホッチキスさん作 [344] -
最後の夏休み9
戒は家族の誰にも会わないように2階にある自分の部屋に戻ろうとした。しかし、階段に足をかけたところで母親に呼び止められた。「戒、あんたさぁ、また土手でゴロゴロしてたの?明(めい)は夏休みでも生徒会の仕事だって。今年受験の戒お兄さんはずいぶん暇そうでうらやましいわ。」戒は何も言わず階段を上り自分の部屋に戻っていった。小野寺家は父親である誠(まこと)、母親の藍(あい)、長男の戒(かい)、そして末っ子、妹
ホッチキスさん作 [397] -
最後の夏休み6
男は服の胸元から注射器を取出した。 なにやら緑色の液体が中に入っていた。「いや〜、受けてくれるか。うれしいね。」そういいながら男は戒の右腕の袖を捲っていく。「では、遠慮なく。」プスッ。ためらう間もなく緑色の液体は戒の中に入っていった。ビリビリと腕から全身に電気が流れていくような感じがする。まるで身体中の細胞が活性化していくような感じだ。しかし、それは間もなく収まっていった。「これで魔法が…」戒は喜
ホッチキスさん作 [447] -
最後の夏休み5
「魔法があるのはわかった。それで俺を待ってた理由は?」理由はなんとくわかっていた。この男はおそらく自分に魔法を教えに来たのだろう。「魔法は誰でも使えるものなんだが、向き不向きがあってね。俺のように魔法適合率が低いとこの程度ぐらいの魔法しか使えない。実は戒くん、君の魔法適合率は極めて高いのさ。」−魔法適合率が高い?自分が?−その言葉は戒が特別な存在であることを意味していた。戒にはその言葉がうれしかっ
ホッチキスさん作 [434] -
最後の夏休み4
次第に男の周りに風が集まっていく。普通ならばこんなことはあり得ない。それは戒が望んだ普通ではない何かであった。男に集まっていく風はどんどん強くなっていく。気が付けば男の前には光の玉ができていた。キィィィンッ!!!大きな音とともに光の玉がまばゆい光を放ち戒は目が眩んだ。 戒が目を開くと男が息を切らしながら座り込んでいた。「はぁ、はぁ、やっぱり疲れるな、これは。」そういいながらも男はゆっくりと呼吸を整
ホッチキスさん作 [380] -
最後の夏休み3
「それは気の遠くなるような時間が流れたよ。そして彼は生涯を通して研究を完成させた。」−研究を完成させた?−−それってつまり…−「魔法を完成させたってことか?そんな話…」信じられるわけがない。普通を抜け出したいと思う戒でも、そんな馬鹿げた話は鵜呑みにはできない。戒は顔をしかめた。「信じらんないのは当然さ。魔法と聞くと誰もがゲームや漫画の世界のものと考え、現実とは区別する。君たち、いや今世界にいるほと
ホッチキスさん作 [393] -
最後の夏休み2
「君を待っていたんだ。小野寺戒くん。」少年は振り返り男を見た。この男が自分を待っていたことよりも自分の名前を知っていたことに驚いた。「まあ、こっちに来て座ってくれ。君に話したいことがあるんだ。」 関わり合いにならないほうがいいことはわかっていた。だけど、この男ならこの普通の人生を変えてくれる、そんな気がしていた。戒はゆっくりと男の横に座った。「おじさん、どうして俺の名前を知ってるの?話したいことっ
ホッチキスさん作 [486] -
最後の夏休み
少年は空を眺めていた。家の近くの土手。寝そべってただ空を眺めていた。高校最後の部活も終わり、残った夏休みをただ無為に過ごしている。本来なら高校最後の夏休み、友達と海に行ったりどこかに遊びに行ったりと遊びつくすのだが、やる気がおきなかった。やりたいことなんて何もない。このままみんなと同じように大学に行き、みんなと同じように普通の人生を歩む、そう考えると何もかもがつまらなくなる。仲の良い友人は皆やりた
ホッチキスさん作 [463]