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奈々子 さんの投稿された作品が7件見つかりました。
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あの日あの時?
入学してからのひと月は、あっという間に過ぎた。ゴールデンウィークが明けて大学に行くと、圭子と浩介が立ち話をしていた。2人はお互いをファーストネームで呼び合うようになっていた。「あ、沢田さん。さっき直也が探してたんだけど。」と浩介に言われ、それだけで私は動揺した。「え?なんだろう…。」「多分伴奏者のお願いだと思うよ。」伴奏者のお願い?伴奏者というのは、試験で楽器を弾く時に必要なピアノ伴奏を弾く人間
奈々子 さん作 [167] -
あの日あの時?
私と圭子はピアノ科、直也はチェロ科、浩介はクラリネット科。音楽大学は様々な楽器の専攻がある。私は幼い頃から、ピアノしか知らない生活だったこともあり、学内で見かける色々な楽器や、聞こえてくる音色の種類の多さに驚き、感激していた。これが音大なんだよね…。直也と浩介とは、いくつかの講義で一緒になった。圭子とは相変わらずくっついて座り、大教室の時などは雑談に興じたりした。本当は直也のそばに座りたい。一緒
奈々子 さん作 [156] -
あの日あの時?
直也と出逢った講習会から怒涛の3ヶ月が過ぎ、合格発表の朝が来た。来てしまった、この日が。新宿で圭子と待ち合わせて、大学へ向かった。「受かりたいなぁ…。」力なく圭子がつぶやいた。それは私も同じだ。「絵里は受かってるよ。」「圭子!お互い頑張ったんだからさ、信じて見に行こ…。」力ない会話をしているうちに、私達は大学の校門にいた。祈る思いで大きな掲示板の下へ行く。……あった。あった!あったー!!圭子は?
奈々子 さん作 [153] -
あなたへ
もう遠くへ行ってしまったんだね何だかあなたに逢ったことさえまぼろしに変わってしまいそう思い出にしたいくせにもどってきてほしくて本当は会いたくて会いたくてあなたが私をさがしてくれることを心のどこかで待っているの痛みの残った胸で毎日あなたを想っている泣きながら責めてしまえればどんなに楽だろうかだけどそうするには私は気丈すぎて心から笑うには弱すぎて
夏子 さん作 [164] -
無題
もう4年も過ぎようとしているからあなたの幾つもの顔を見てきたから毎日24時間燃えるような想いでいるわけじゃないただ折にふれてやっぱり息がつまりそうになる出逢ったあの頃と同じときめきが胸をかすめる時もあるのよもうあなたのために何もできないね 私は何がいけなかったんだろうそれでも祈る心は変わらないあなたの幸福あなたの成功
夏子 さん作 [142] -
あの日あの時
それから私達4人は、自己紹介をした。直也の友達は、伊藤浩介といってクラリネット専攻。メガネで小柄な明るいキャラのおしゃべりな人、という印象。直也は、最初の堅そうなイメージとは少し違って、笑顔の多い人だなぁと私は嬉しくなった。2人はT音大の受験を目指して、はるばる広島から来たのだ、と言った。それに、私の友人吉田圭子。私とは高校の同級生で、この講習会を一緒に受けに来たのだ。見た目は派手な感じだが、中
奈々子 さん作 [211] -
あの日あの時
噂は本当だった。嘘であってくれればと願ったけれど、お節介な友達からのメールに添付された、あなたの結婚式の写真。大学を卒業してから3年以上経つのに、こんなに傷ついてちゃいけない。あなたを忘れなきゃいけない。だけど…。どうして私じゃなかったの。あんなに一緒にいたじゃない。いつも私を探してくれたじゃない。あの日も、あの日も、あの日も。私、沢田絵里が、北村直也と初めて言葉をかわしたのは、高校3年生の冬だ
奈々子 さん作 [160]
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