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優愛 さんの投稿された作品が7件見つかりました。
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なくしたもの[7]
気がつくとベッドの上だった。「お母さん?」「気がついた?!」必死に覗き込む母。顔色が悪い。「うん。ごめん、なんか貧血みたい。」「無理しないの、お粥作ったから、持ってくる。」ドアをパタンと閉めた。グスッドアの向こう側で母が泣いているのがわかった。私、どうしちゃったんだろう。自分が、怖い。体が鉛のように重い。頭がジンジンする。胸が縛られているように痛い。「お粥、食べれそう?」ガチャッとドアを開けて
優愛 さん作 [136] -
なくしたモノ[6]
「疲れたぁ〜」家に着くなり自然に出てしまった。「コラ、ただいまでしょ?」奥からお母さんが出てきた。「どぉだった?友達できた?具合は悪くならなかった?何か変わったコト、あった?」「いっぺんに聞かないでよ。友達できたしなんも変わったコトなんてなかったよ。」嘘をついた。気絶したなんて、とても過保護な母には言えない。心配かけたくない。不思議だけど、今はただ、猛烈にそう思う。「そう。よかった。着替えてきな
優愛 さん作 [152] -
なくしたモノ[5]
学校を一回りして、やっと教室にたどり着いた頃には、窓の外はもう真っ赤な夕焼け色だった。誰もいない教室。落ち着く。黒板に書かれた今日の日付を見る。なんだか長い間日付を気にせずに過ごしていたみたい。ついこないだまで冬だった気がする。・・・気が、する。急に背筋に冷たい物が走った。「帰ろっ。」校舎を出た。目の前に同じ年くらいの悪そうな男がバイクの前にしゃがみ込んでタバコを吸っている。やっぱり湘南と言えば
優海 さん作 [140] -
なくしたモノ[4]
目が覚めた。白い天井。クリーム色のカーテンが波打つかのように風に揺れていた。ああ、海の匂い。「いッたぁ。」保健室のベッドらしい。起き上がるとベッドがキシむ。「起きたか?」シャッとカーテンを空けた。白衣の男。先生?ずいぶん若い。「貧血だ。心配ないから。転校初日で緊張でもしたか?」ボールペンで頭をかきながらだるそうにゆった。「はぁ、あの、今何時ですか?」ベッドから出る。彼に背中をむけスカートを直しな
優愛 さん作 [186] -
なくしたモノ[3]
学校は思った通り清楚なお嬢様ばかり。そう、ここは女子校。「東京から来たんだって?」いきなり4、5人が集まってきた。「うん!東京ってゆってもそんな都会でもないんだぁー。」とにかく笑っとけ!勢いにまかせ話しまくった。でもとりあえず、クラスでも目立つらしいグループに入れてもらえたらしい。みんなお嬢様のわりには遊んでるっぽいし、仲良くやってけそーだ。「ピアスしてんだー!いいなぁ」お昼休み、みんなで学食で
優愛 さん作 [201] -
なくしたモノ[2]
朝食をすませ母に学校まで送ってもらう。江ノ電を横目に海岸沿いを少し走り、大分年期の入った校舎が見える。私立湘南美濃学院。私の新しい学校。「歴史のある由緒正しい学校だから、とにかくここで頑張りなさい。」車を停め、校舎を眺めながら母が言った。正直、どうでもよかった。両親はとにかく私を真面目ないい子にしたいだけ。私はそんな両親に答えるように今までだって真面目に生きてきた。塾にも通った、英会話もした。夜
優愛 さん作 [159] -
なくしたモノ
いつものように目が覚めた。私は寝起きはいい方。だと思う。頭が驚く位スッキリ。してるような気がする。幸せな夢を見たのにおぼえてない。すごく大事なことを忘れているみたいな、のどに魚の骨がひっかかったような。そんな気分。「起きたの?!」母がノックもなしに慌てた様子で部屋に入ってきた。「起きましたよ。何?」ふとんを整えながら返事をする。「そう。あー朝ご飯は?」「いただきましょう?」カタ眉を上げて偉そうに
優愛 さん作 [337]
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