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花の子 さんの投稿された作品が12件見つかりました。

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  • 悲しいおにぎり(最終章)

    そのとたん、急にももちゃんの目から涙が溢れだしました。ももちゃんは、もうひとくち、もうひとくちと泣きながらおにぎりをかじりました。泣きながらかじるおにぎりに味などありません。おにぎりの塩味なのか涙のしょっぱさなのかさえくべつがつかないものです。飲み込む時ののどの痛みだけが、ももちゃんに感覚を与えているようでした。(どうして、お家に帰らないのだろう?どうして?どうして?…)ももちゃんの頭の中を、こ
    花の子 さん作 [408]
  • 悲しいおにぎり(3)

    お父さんは、汗をいっぱいかいて大きな穴を掘っています。お父さんは、庭に池を作っているのでした。「お父さん、まだ帰らないの?」待ちくたびれたももちゃんが尋ねました。お父さんは、その手を止めることなく静かに答えました。「もう、お家には帰らないんだよ。」ももちゃんは、返事も出来ないまま立ちつくしていました。にぎっていたれんげ草は、いつの間にかももちゃんの足元に悲しげに散れています。ペタン、ペタン、ペタ
    花の子 さん作 [333]
  • 悲しいおにぎり(2)

    ももちゃんは、まるでアイスとケーキのどちらが好き?と聞かれているかのように、まるい目をくるくるさせながらなんとも愛くるしい表情で考えておりました。歳のはなれたお兄さんが、息をのむようにしてももちゃんの返事を待っています。まだ赤ちゃんの弟は、お母さんの胸にぴったりと寄り添うように抱かれています。ももちゃんは、答えました。それはそれは嬉しそうな笑顔で…「お父さんが、好き!」次の日、ももちゃんはお父さ
    花の子 さん作 [358]
  • 悲しいおにぎり

    「春」というものは、美しく暖かいものでしょうか?いいえ、そんな日ばかりとは限りません。時には、なごり雪が山々を真っ白くぬりかえるような日寒い日もございます。「お母さん」というものは、マリア様のごとく慈悲深いものでございましょうか?いいえ、そんな時ばかりとは限りません。時には、他人よりも冷酷に変貌するものでございます。「おにぎり」というものは、ありがたく美味しいものでございましょうか?いいえ、そう
    花の子 さん作 [328]
  • もうひとつのイソップ物語(最終章)

    ありは、きりぎりすのヴァイオリンを聴きながら、懸命に働いていた若き日を思い出し、目尻に涙を浮かべた。「いいねぇ…」ありはひと言そう言うと、眠るように神様の元へと帰っていった。 きりぎりすは、溢れだした涙を拭くこともせず、いつまでもいつまでもヴァイオリンを奏で続けた。 The end
    つぼみ さん作 [316]
  • もうひとつのイソップ物語7

    きりぎりすは、話を聞いてすぐにありの元へ駆け付けた。右手にヴァイオリンを持ち、もう片方の手は杖をついている。きりぎりすの目は、すでにうるんでいた。 年老いたありときりぎりすが目を合わしたその時、長い間互いが抱き続けていた想いがいっせいに吹き出したようだった。その朝日にも似たやわらかな空気が、ふたりをそっと包んだ。「きりぎりすさん、私がまだ働き盛りだった頃、私はのんきにヴァイオリンばかり弾いてい
    つぼみ さん作 [283]
  • もうひとつのイソップ物語6

    それから長い長い年月が過ぎた。いくつもの冬を越して来たことだろう。ありもきりぎりすも、すっかり年老いてしまった。 ありは昔のように働くこともできず、もう長い間家にこもったままだった。(もう、長くはない…)そう感じながら、時折天窓に見える青い空を眺めぼんやりと昔を懐かしんだ。 大勢の家族に囲まれ大いに笑った日々。汗水を流し懸命に働いた日々。すべてがもう、手の届かないところにあった。 その時ありは
    つぼみ さん作 [268]
  • もうひとつのイソップ物語5

    おそるおそるドアを開けると、そこには熱にうなされぐったりと横たわったきりぎりすの姿があった。「おい、大丈夫か?」思わずありは叫んだ。 返事はなかった。きりぎりすはただ苦しそうにうなされている。 もう、きりぎりすのことなど案ずるのはやめようと心に決めていたありであったが、やはりその姿を見てほおっておくことは出来なかった。 ありはいったん外に出ると、水や薬草、食料などを運んできた。そして一晩、一睡
    つぼみ さん作 [277]
  • もうひとつのイソップ物語4

    「君は、そんな暮らしをしていて、それで満足なのかい?たったひとりで孤独に暮らし、寂しくはないのかい?このままでは、君の未来はないに等しいんじゃないのかい?」と。 するときりぎりすは、「僕は、ヴァイオリンが上手くなりたいだけだ。他に求めるものは何もない。もし僕に寂しさがおとずれる時があるとするなら、それは、ヴァイオリンの音色を失った時だ。」と、言った。 遠くを眺めながら強く放たれたその言葉は、その
    つぼみ さん作 [269]
  • もうひとつのイソップ物語3

    そんなきりぎりすのヴァイオリンは、朝から晩まで草原に鳴り響いていた。それを喜ぶ者もいれば、不愉快に感じる者もいる。 夏の眩しい日差しの中、時を惜しむように働いているのはありたちだった。冬の間家族が食料に不自由することがないようにと今から食料を集めているのだ。 中でもそこの主は、誰よりも熱心に働いた。歳はきりぎりすと同じ頃だ。しかし彼は、きりぎりすとはまるで違い家族を守るため父親として懸命に働い
    つぼみ さん作 [279]
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