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キョウスケ さんの投稿された作品が36件見つかりました。
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桜の木とともに 本編35
じいちゃんが病院に運ばれて二時間が経っていた。私は一緒に病院に行き、手術室の前で母と待っている。桜の入院している病院だったので、桜は美由紀さんと部屋に戻っていたが、私は終わるのをずっと待っていた。じいちゃんが無理矢理家で生活していた事を、この時初めて知らされた。入院する事が大嫌いだったらしく、父も母も悩んでいる事など私には教えられていなかった。時々、桜と美由紀さんは来てくれだが、桜の身体を思いす
キョウスケ さん作 [252] -
桜の木とともに 本編34
次の日桜と美由紀さんは、一年ぶりに我が家にやってきた。「桜ちゃん、早く元気になって遊び来てね?」そう話す母の言葉に、「はい、元気になったらすぐに来ます」笑顔で答える桜。「桜ちゃん、久し振りじゃな?」後ろの方からじぃちゃんが来ていた。じぃちゃんは一年前から、少しずつではあるが体を壊すようになっていた。「おじいちゃん、大丈夫?顔色悪いよ」心配する桜に、「なぁに、これくらい桜ちゃんに比べれば屁じゃよ」
キョウスケ さん作 [297] -
桜の木とともに 本編33
退院をした桜だったが、すぐに倒れて入院する事が多くなっていた。私は病院に行く度に「体調を良くしなくて外出するからだよ」ベッドの桜に言うものの、「だって、大和君の家に遊びに行きたくて、桜が散ったら意味ないんだよ?」桜の木に会いたくて我慢しているのを知ると、「じゃあ、今度写真持ってくるから、それでいいか?」「あの場所に行かなきゃ意味ないの。行きたいなぁ〜」わがままを言う桜を見兼ねた美由紀さんは、「じ
キョウスケ さん作 [304] -
桜の木とともに 32
そして私は、「じゃあ、せっかくだから写真とろうか?」持って来たカメラを取出し桜を撮ろうとすると、「大和君も一緒にね?」誘ってくれている桜に、「もちろん、喜んで」私は桜の隣に立ち、二人でツーショットを撮ってもらった。桜に送った、ドレス姿の最初の一枚がこの日撮られた。桜のドレス姿は、今も鮮やかに残っている。私と一緒に写っている写真は、今にも動きそうな感じだった。フッと桜の花びらが部屋に入ってきたのを
キョウスケ さん作 [306] -
桜の木とともに 本編31
「外は春だね」窓を見ている桜に、「来週一時退院できるから、良かったじゃん」私は退院の件を話していると、「桜、ちょっと着替えるから来なさい」美由紀さんに呼ばれるが、「何で着替えるんだろうね?」と私に聞いてきたが、「まぁ、行って来なよ。待ってるから」嫌々ながら、桜を移動させた。数分後、部屋に入ってきた桜は、別人の姿になっていた。「似合ってるかなぁ?大和くん」初めて私の家に来た時と、同じセリフを私に言
キョウスケ さん作 [264] -
桜の木とともに 本編30
「大和君、最近何かあったの?」見舞いに行った時、桜に言われるが、「ちょっとバイト始めてね」ドレスの事は秘密にしていた。「無理しないでね?中学の時みたいに、倒れるのは嫌だよ?」何度も私の身体を心配してくれていたが、「桜も、早く退院できるように体調を崩すなよ?」「わかってます。早く学校にも行きたいしね?」休学となっている学校の話をしていた。 「そう言えば、来月だよな?誕生日って」急に桜の誕生日を思い
キョウスケ さん作 [283] -
桜の木とともに 本編29
「ありがとう、大和君」桜の言葉を聞いて、私は病院を後にした。家に帰ると、信じられない出来事が私を待っていた。「じいちゃん、何これ?」私は祖父のいきなりのプレゼントに頭を悩ませていた。「桜ちゃんに似合うと思ってな。特注で頼んでたんだよ」と言う品物は、ピンク色に染まったドレスだった。桜らしいちゃあらしいのだが、ドレスを出してくるとは思わなかった。「幾らしたのこれ?」値段を聞くと、「20万かのぉ」平然
キョウスケ さん作 [267] -
桜の木とともに 本編28
「桜がいつ倒れるかわからないけど、それでもオレは彼女の笑った顔をずっと見たいから、桜のために強くなるって決めたんです」私は寝ている桜を見ながら気持ちを伝えた。「これからも桜の事、お願いします。私たちでも無理はあるから」自分の弱さにどうする事もできない美由紀さんは、涙をながしていた。この現実を受け入れる程、私は強くはなかったが、それでも逃げる事はしないと改めて決意した。気付くと私は、病院のベッドで
キョウスケ さん作 [234] -
桜の木とともに 本編27
「さ、桜」「辛かったよ。嫌いになっちゃったんじゃないかって、恐かったよぉ」抱きしめる手に力が入りながらも、桜は話し続ける。「大和君。一人にしないで、お願い!」言い終わると、大声で泣き始めてしまった。病院中に聞こえてたのか、何事か?等々思わせる程、他の人が見にきていた。それでも桜は、赤ちゃんのように泣いていた。そんな彼女を私は優しく抱きしめては、「もう、一人にしないから安心して」そう言っていた。落
キョウスケ さん作 [271] -
桜の木とともに 本編26
私は何も言えなかった。私は桜を、普通の女の子と見ていた事に気付いた。そうだった、彼女はいつ死ぬかわからない身体なのだ。それなのに私は、連絡をよこさないなどと、普通の人として見てしまっていたのだ。じいちゃんの言葉で、桜の現在の身体から、元気な身体に戻すようにするのが、私の役目なのだと理解した。いつ終わるかわからないけど、桜の笑顔をずっと見ていたいから。その気持ちだけは貫かなければと決意し、再び病院
キョウスケ さん作 [257]