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ゆう さんの投稿された作品が97件見つかりました。
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あなたがいるだけで。?
大嶋くんが歩いてくる。大きく波打つ胸を落ち着かせようと、私はゆっくり息を吐く。大嶋くんが私の横を通り過ぎる。…私の方、見ないようにしてるみたいに感じる…。大嶋くんは木村くんの横まで来て、立ち止まる。「大嶋、結構書いてたんだな」「もうすぐ展示会だから。木村もちゃんと練習した方がいいよ」私は黙って二人の会話を聞いている。「俺さ、廣瀬と友達になったんだよ!な!廣瀬」木村くんが変わらず明るい笑顔で私に声
ゆう さん作 [246] -
あなたがいるだけで。?
重い足取りで教室に戻る。どうしてこんな事になっちゃったんだろう…「優、どうだった?ちゃんと断れた?」花が心配そうに聞いてくる。「断ったんだけど…」「けど?」「なんか…友達になった…みたい?」「はい?」花は訳分からないといった表情で首を傾げる。そうだろう。私でもこの状況、訳分からない…。でも…木村くんとのことを心配してた大嶋くんは、この状況を喜ぶのかな…そんな事を考えていたら胸がチクチクと痛んだ。
ゆう さん作 [271] -
あなたがいるだけで。?
あの日から、帰る時間をずらして大嶋くんとは会わないようにしている。あんな態度をとって… 自業自得のくせに。「…、廣瀬!」絵を描くことに集中していて、呼ばれたことに気づかないでいた。振り向くと、そこには木村くんがいた。「優、私教室戻ってるね。」事情を知っている花は気を遣って席を立つ。「ごめん。活動中に…」申し訳なさそうに木村くんが言う。「大丈夫だよ…。私こそ、ごめんなさい。ずっと返事できてなくて…
ゆう さん作 [252] -
あなたがいるだけで。?
大嶋くんと私は近くの公園のベンチに腰をおろした。大嶋くんの隣、少しだけ間隔をあけて座る。ちゃんと足を揃え、両手は膝の上に重ねる。緊張からか肩は上がりっぱなしだ。暖かい風が頬をなでた。公園にたくさん咲いていた桜も今はすべて散ってしまい、代わりに新緑の緑が碧々と生い茂っている。軽く息を吐き、気持ちを落ち着かせる。「話したいことがあって…」大嶋くんが口をひらく。「は、はい」緊張のあまり声が裏返ってしま
ゆう さん作 [433] -
あなたがいるだけで。?
あの日から大嶋くんと帰り道にたまに話すようになった。今までも私は大嶋くんの姿は見かけていたけど、私が一方的に見つめているだけだった。なのに今は… 信じられないことが起こってる。いつも立ち話で、ほんの数分だけど私には夢のような時間だ。大嶋くんが私に話しかけてくれる。私のことを見てくれる。私の言葉に耳を傾け、時に笑ってくれる。「廣瀬さん、おつかれさまです」「お、おつかれさまです」また顔が熱くなる。で
ゆう さん作 [247] -
あなたがいるだけで。?
夜、ベッドに横になりながらあの時のことを思い返す。『廣瀬さん』私の名前、呼んでくれた。私のこと、知っててくれた。布団をギューッと強く抱きしめる。嬉しい!ツンとした油絵の具の匂いが、私にとっては心地いい。「なに描くか決めたんだ」花が私に声を掛ける。「うん。決めた」「何描くの?」「内緒。見てれば分かるよ」「なによソレ〜っ」ぶうっとふくれた花をよそに、描き始める。下書きもなく、描き始めるのは初めてだ。
ゆう さん作 [285] -
あなたがいるだけで。
あの人と初めて出会ったのは、忘れもしない…桜が満開で花びらがひらひらと舞っていた、高校の入学式。あの人は穏やかな表情で花びら舞い散る青空を見上げていた。「優!」親友の花に名前を呼ばれてふと我に返る。「なに?」「なにボーッとしてるの?」「ああ…なんか桜見てたら入学式のこと思い出してた」「入学式かぁ…はやいねぇ もう今年卒業だもんね」花の言葉に苦笑いする。そうなのだ この丸二年間何もできずに、ただあ
ゆう さん作 [381]