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ゆう さんの投稿された作品が97件見つかりました。
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カバに恋する。6
私はとぼとぼと歩きながら家に向かった。金魚鉢が歩く度に揺れてこぼれ、だいぶ水が少なくなっていた。「ごめんね…。エリザベス…」「!」家の前にたーちゃんが立っていた。嫌だ。今は、話したくない…。家に背を向け、またとぼとぼと歩き始めた。朋子(友達)のところにでも行こうかな… でもあそこ同棲中だしなぁ…ほかの友達は実家だし…。行くとこないなぁ…。そう思うと、なんだか益々寂しくなってきた。気がつけば、もう
ゆう さん作 [217] -
カバに恋する。5
「たーちゃん!何やってるのー?開けて〜」ガチャ!「…急に来るからビビった。散らかってるけど」「おじゃましまーす」窓際に置いてある金魚鉢。エリザベスにもあいさつしに行く。「エリザベス〜元気してた?」「あっ!!」急にたーちゃんが大きな声を上げた。「何?どうしたの?」「あ…いや。エリザベスにエサやってなかったなぁって」「も〜ダメじゃん!ちゃんとお世話してあげて…」目が、合ってしまった。金魚鉢越しに、ベ
ゆう さん作 [189] -
カバに恋する。4
今日、たーちゃんちに行こう。夕飯何にしよっかなぁ。なんて考えながら、朝電車に揺られていた。「あれ?カバじゃん」「相変わらずカバっ」私の後ろで、ギャル男っぽい男が笑いながら話してる。は?カバ?カバなんていないけど…。変なの。よし!今日の夕飯はカレーにしよう!仕事帰りに、たーちゃんちの近くのスーパーに寄って、カレーの材料を買った。たまねぎ、にんじん、じゃがいも… なんかこうしてると新妻みたい?なんて
ゆう さん作 [216] -
カバに恋する。3
その人は、よく見ると一般的に言うオタクっぽかった。背は私と同じくらい。(160cm)体型はややふくよか。……ううん。ふくよか、かな。黒ブチのメガネをかけていて、頭はもじゃもじゃしてる…。天パかも。パーカーにジーパン。黒いリュックを背負ってる。あ… 目が合っちゃった。この間助けてもらったし、ペコッと頭を下げる。向こうは俯きながら軽く頭を下げた。「たーちゃん、たまにはたーちゃんち行きたい。最近ずっと
ゆう さん作 [212] -
カバに恋する。2
「たーちゃん、今日電車で痴漢にあった…」「は?痴漢?恵美に?物好きな男もいたもんだな」夜、うちに来ていた隆行(彼氏)は寝ころびながらテレビを見ている。「もーっ!何よ!こわかったんだからねっ」「嘘だよ。冗談。こっちおいで」そう言って、たーちゃんは私の頭をなでてくれた。たーちゃんとは付き合ってもう3年が経つ。たーちゃんは私より2つ年上。友達の紹介で知り合った。今でも変わらずラブラブだ(照)「それでね
ゆう さん作 [240] -
カバに恋する。
今日も電車に揺られて出勤している。いつもと変わらない景色。平凡な毎日。吉田 恵美。23歳。OL。現在一人暮らし。彼氏あり。今の生活に特に不満もなく、毎日平穏に過ごしている。このまま2、3年後には、彼と結婚、職場は寿退社するんだろうなぁなんてぼんやり考えてた。私は子供の頃からお嫁さんになるのが夢だったし、それも悪くないと思っていた。しかし、そう現実は甘くないのだった…。ガタン!電車が大きく揺れた。
ゆう さん作 [252] -
溺れる魚 最終話
新に抱きしめられ、あの頃に戻ったような気がしていた…。私も、新を抱きしめる。しばらくして、お互いに手を離す。「ごめん…つい…」俯き気味に新が言う。「ううん。嬉しいよ…」私は新に優しく応える。「真理さん、結婚したんだってね。お母さんから聞いたよ。おめでとうございます」新におめでとう言われるのは、なんか複雑な気持ちだ。「ありがとう。今、子供も2人いるの」雨が、だんだんと強く降り出していた。「正直…」
ゆう さん作 [386] -
溺れる魚 25
あの日から6年後の今、私は新を待っている。あの時の、あの約束があったから別れた後、辛いときも乗り越えてこれた。あの約束が、心の支えだった。でも、いつの間にか…それに代わるものを、見つけてしまった…。6年の歳月は、長すぎた。郁恵からたまに新の話は聞いていた。高校卒業と同時に家を出て、大学で寮生活を送っているらしい。郁恵は家を出ることに反対したらしいが…。いつの間にか雨が…降り出していた。まるで6年
ゆう さん作 [226] -
溺れる魚 24
…あれから6年の歳月が、流れた。私は新と別れた後、病院を辞めた。あの後、FAXの事が病院中の噂になって、上に呼び出される毎日。まぁクビになったような感じだ。結局FAXを送ってきたのは誰なのか、はっきり分からないまま…。その後はしばらくのんびりしようと思っていたけど、あの頃は新のことばかり考えてしまって…とにかく一日中、仕事を詰め込んだ。忙しくしていれば、新のことを考えないで済んだから…それも、何
ゆう さん作 [290] -
溺れる魚 23
私と新は6年後の約束をした後、最初で最後の、セックスをした。こんなに幸福で、でも、こんなにも切なく、悲しいセックスは初めてだった。新のキスを全身にあびながら、私は何度も涙を流した。新に、気づかれないように…。こんなに新を、好きになっていたなんて…新が私から離れていくとき、こんな事にならないように、深入りしないつもりでいたのに…新は、一生懸命私に気持ちを伝えてくれた。新の、まっすぐな瞳。新の少しト
ゆう さん作 [194]