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ゆう さんの投稿された作品が97件見つかりました。
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溺れる魚 22
「…私たち、一緒にいるべきじゃないと思う」私は言葉を続ける。「……なんで…」「新は彼女に脅されてるし、もしもまた万が一、私たちが一緒にいるところを誰かに見られたら…こんな事じゃ済まなくなるかもしれない」「そんなこと…分からないじゃない!それにお母さんが理解してくれたら…」「新、もしも郁恵が理解してくれたとしても、私は未成年に手を出した犯罪者よ」「そんなことっ…」私は今日病院に届いたFAX用紙を、
ゆう さん作 [278] -
溺れる魚 21
新は真剣な表情で私を見ている。「…新、そんなことしたら一緒にいられなくなる。郁恵が私たちの事、納得するわけないよ」「そんなの…話してみなきゃ分からないよ。だって俺は真理さんが好きなんだ」「新…、新のお母さんは、新に彼女ができた時でさえ、動揺してた。それが私となんて知ったら…」郁恵の顔が頭をよぎる。新が産まれた時も、一緒にいた。郁恵が辛いときはいつも隣にいた。郁恵は、私のことを信頼している。郁恵は
ゆう さん作 [208] -
溺れる魚 20
新が、私たちのことを誰かに話すわけない。やっぱりどこかで見られたんだ…新… 新と話したい。ピンポーン♪夜の11時に家のチャイムが鳴った。 今日のFAX騒ぎ、女の子からの電話があった為、私は恐る恐るドアに近づいた。ドアの穴から覗くと…そこには新が立っていた。「新!」私は思いきり新を抱きしめた。「真理さん…ごめん。ずっと連絡できなくて…」新も私を強く抱きしめた。「新、大丈夫なの?こんな時間に…」
ゆう さん作 [235] -
溺れる魚 19
あのFAX…一体誰が?私と新の関係を知る人はいないはず。私は誰にも言っていないし、新だって同じはず。どこか外で新と一緒にいるところを知人に見られたんだろうか…。でも知人がいるような地元を避けて、新とはデートするようにしていた…でも、どこに誰がいるかなんて…分からない。その日の帰り道、公園を覗いてみる。新はいない。新からの連絡も、ない。まさか新にも何か…そう思ったら、いてもたってもいられず、新に電
ゆう さん作 [237] -
溺れる魚 18
デートのキャンセルのメールが来てから、もう5日が経っていた。新からの連絡は、ない。メール、してみようかな… でも忙しかったら…そんなことばかり暢気に考えていた。…新が、どんな状況に置かれているかも知らずに…。その日、事件は起きた。「ちょっと…何コレ…」同僚の小林がコピー機の横で何か紙を見て立ち尽くしている。段々とそこに集まる職員。視線は私に向けられている。「なんですか?」私もその場に向かう。「…
ゆう さん作 [282] -
溺れる魚 17
また次の土曜にデートの約束をしている。次の土曜が待ち遠しくて仕方がない。「岸さん、最近男できたでしょ?」仕事の昼休みに同僚の小林が鋭く指摘してきた。「そう見える?」「そりゃもう。で、相手はどんな人なんですか?」小林は興味津々といった感じで聞いてくる。「高校生よ」「……え?またまたぁ!はぐらかさないでくださいよ!」「…普通のサラリーマンよ。5つ下」「年下ですか!でも5つくらい変わらないですよね」小
ゆう さん作 [223] -
溺れる魚 16
私と新はホラーでも何でもない、ドキュメンタリー映画を選び、席に着いた。劇場内が暗くなり、映画が始まる。真っ暗に、なった。新の手に、自分の手を重ねる。胸の鼓動が速くなる。新がそっと私に顔を近づけてきた。「…真理さん……キス、していい?」私の耳元で、新が小声で言った。「こんなところで?」私も小声で返事する。新は黙ってしまった。「嘘。さっきのお返し」私は小さく笑って、新の頬をなでる。劇場内は暗く、映像
ゆう さん作 [335] -
溺れる魚 15
「彼女とは…1週間くらいしか付き合ってなくて…」新は俯きながら言葉を続ける。「彼女からずっと付き合ってほしいって言われてたんだ…でも断り続けてて…。でも、あの日、真理さんに振られた日に…また彼女から連絡あって…」私は黙って新の話を聞いている。「…彼女と付き合ったら、真理さんのこと考えなくなるのかなって思って…」新は私の方を見ようとせず、俯いたまま。…新が、すごく愛おしく感じる。「でも結局ダメだっ
ゆう さん作 [233] -
溺れる魚 14
気になっていたことがあった…。前に公園で新と一緒にいた彼女。彼女とは、どうなったんだろう…。そんな事を聞いたら、大人げないかな…でも…気になる。「真理さん、どの映画にする?俺ホラー系がいいな」「新。聞きたいことがあるんだけど…」「何?」「あの…ちょっと座らない?」新は怪訝な顔をして私を見る。「…嫌な話?」「ううん。聞きたいことがあるだけ」「…うん。じゃ座ろ」映画館のベンチに腰を下ろす。今日は土曜
ゆう さん作 [239] -
溺れる魚 13
あの日から私と新は付き合うようになった。もちろん誰にも言えない。言えるわけない。高校生と付き合っているなんて…自分でもおかしいと思う。でも… もうおかしくても、何でもいい。新と一緒にいたい。それが新を傷つけることになっても…ごめんね…新… 「真理さん!」「!」こいつまた約束破って制服着てる。「新!デートの時は制服はダメだって言ったじゃない」「部活が長引いちゃって…ごめん。でも待ち合わせの時間通り
ゆう さん作 [244]