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ゆう さんの投稿された作品が97件見つかりました。
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溺れる魚 12
夢の中で私の名前を呼んだの?私が夢に出てきてたの?そんなこと、関係ない。気にしない。私と新はただ友達の子供、母親の友達、それだけ。そう。それだけだ。それから3日後。帰り道の公園に新がいた。今日は新ひとりだ。声をかけないのも変だし…「新くん。…風邪、よくなったんだね」「…お陰様で。もうすっかりよくなりました」会話が、続かない。それは、きっと私が新を意識しているから…。ダメだ。もう本当に、新に会うの
ゆう さん作 [281] -
溺れる魚 11
いつものように病院で業務をこなしていると、受付に郁恵が来ていた。「郁恵?どうしたの?」「真理。実は新が熱出しちゃって。ごはんもまともに食べられないのよ。で、ここに来たわけ」郁恵の視線の先にマスクをしてうずくまっている新がソファに座っていた。「診察の順番が来たら、呼ぶから。待ってて」新は診察を受けた後、点滴のためベッドに横になっていた。「友達の子供なんです。入ってもいいですか?」看護師に断り、処置
ゆう さん作 [233] -
溺れる魚 10
新の隣に座っていたのはセーラー服を着た可愛らしい女の子。こうして見ていると爽やかな高校生カップルだ。新は正しい選択をした。これでよかった。よかった。「真理、最近恋愛してる?」郁恵と喫茶店でお茶している時に、郁恵が聞いてきた。「恋愛ねぇ…。私、付き合っても長続きしないんだよね。しばらくはそういうのはいいかな」苦笑いしながら私は答える。「そうなの?真理、モテそうなのに。気になる人とかもいないの?」「
ゆう さん作 [271] -
溺れる魚 9
あれからまた一週間が過ぎようとしていた。これでいいんだ。このまま何の関係もなくなる。新にとっても、それが一番いい。新が年を重ねて大人になった時、ああ昔、酔っぱらいのおばさんにキスされた事あったなぁ。その人に優しくされて、好きだとか勘違いしたことあったなぁ。とか、新にとってそんな思い出になる。そんな事を考えて夜を過ごした。正直、高校生といえど大人びた新の告白には動揺してしまった。でも私からしたら、
ゆう さん作 [264] -
溺れる魚 8
え?今、なんて言ったの?この子… 今、好きって言った?私の手を握っている新の手はやっぱり震えている…。「俺が岸さんに比べて全然ガキなのはわかってる。でも、この一週間考えたんだけど、どう考えても…」「ちょ、ちょっと待って…新くん落ち着いて。大体、私のこと何にも知らないでしょ。まだ2、3回しか会ったことないのよ」「知ってるよ。岸さんは、すごく優しい人だ」まっすぐな目で私を見ている。綺麗な…汚れのない
ゆう さん作 [316] -
溺れる魚 7
なんてことをしてしまったんだろう。酔っていたとはいえ、よりにもよって友達の息子に、高校生に手を出すなんて!なんて馬鹿!馬鹿!大馬鹿者!あれから一週間が経っていた。新がうちを訪れることはなかった。もちろん私も新のケー番すら知らないし、何もできなかった。仕事帰りにあの公園を覗いても、新はいない。今度こそもう二度と会えないのかも… そう思っていた矢先、新が私のマンションの前で待っていた。新を部屋に入れ
ゆう さん作 [403] -
溺れる魚 6
いつの間にか私は休日なのをいいことに酒を飲み始めていた。「大体、前の前の前の彼なんかね…」「岸さん、飲み過ぎなんじゃ…だいじょぶすか?」「家に行ったら、別の女が部屋にいたのよ?どうよコレ。ありえないよね」私は止まらなくなっていた。酒には強い方なんだけど…「…岸さん?」気づくと涙がポロポロと溢れていた。「…泣けなかったの。悔しくて、泣けなかった、の」涙は止まらない。「…だいじょぶです。泣いていいで
ゆう さん作 [309] -
溺れる魚 5
ピンポーン♪そこには新が立っていた。あの雨の日から3日が経っていた。「この間はありがとうございました。お借りした服を返しにきました」「元気になったみたいだね。よかった」新は愛想笑いして軽く頭を下げた。「お茶でも飲む?」「あ、はい。じゃあ」暖かいレモンティを一緒に飲む。「おいしいです」「よかった」「…この間の、ポタージュも、おいしかったです」「そう。よかった」私は笑顔で応える。部屋にはレモンテ
ゆう さん作 [283] -
溺れる魚 4
とりあえず新をお風呂に入れ、郁恵に電話した。郁恵はすぐに迎えに行くと電話を切った。暖かい湯気に包まれ、新がバスルームから出てきた。「ポタージュ、入れたから飲みな」「……」新はずっと黙っていた。私もしゃべらず黙って横に座り、一緒にポタージュを飲んだ。「…なんであそこにいたか聞かないんですか?」新がポソッと言葉を口にした。「別に聞かないよ。とにかく風邪ひかないように暖まっていきな。お母さん迎えに来て
ゆう さん作 [309] -
溺れる魚 3
「お母さん、荷物これ?」新は近づいてきて、荷物を手に持った。「新、こちら岸真理さん。お母さんの友達。あんたも赤ちゃんの頃遊んでもらったんだよ」新は私の方に視線をずらした。「こんにちは。覚えてないと思うけど…大きくなったね!」「…すいません。覚えてないです」苦笑いして新が言う。「当然だよ。でも私、新君のオムツも変えたことあるんだから」「マジっすか…」その後、郁恵と連絡先を交換して別れた。新と会うの
ゆう さん作 [304]