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ゆう さんの投稿された作品が97件見つかりました。
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溺れる魚 2
郁恵が地元を去ってからまったく連絡が取れなくなった。14年後… 正直、郁恵や新のことは忘れかけていた。ある日、仕事帰りにスーパーで買い物をしていた。「真理?」少しトーンの低い、懐かしい、声。そこにはあの頃と変わらない郁恵がいた。14年もの歳月が経ったなんて嘘のようだった。「郁恵!何?帰ってきたの?」「うん。つい先月」「元気だった?」私たちは離れていた時間を埋めるように、その後喫茶店に入り、いろん
ゆう さん作 [276] -
溺れる魚
私の名前は岸真理。34歳。独身。医療事務勤務。最近はお局的な存在となりつつある。今日は彼とデート。待ち合わせした場所で待つ。「真理さん、待った?」「!」…こいつまた約束破った。「デートの時は制服はなしって言ったよね?」「ごめん。着替えてる時間なかったから…」「遅刻してもいいから、学ランはやめて。」「ごめん」彼は西田新。17歳。現役の高校生だ。「でも、少しでも早く真理さんに会いたかったし…」新は嬉
ゆう さん作 [339] -
アキ 最終話
俺の前から透がいなくなってから、1年が経つ。俺はK大をやめて、今は美大に入るため、予備校に通っている。親に逆らったのは今回が初めてで、親父もおふくろも驚いてたけど、結果的には俺の意志を尊重してくれた。ゆかとも今は連絡すら取っていない。「名波、んじゃ、また明日!」「おう」予備校の帰り。毎週水曜日の夕方、地元の駅で無料で似顔絵を描いている。客が来ない日は、空を見上げ、空の絵を描いて過ごした。この広い
ゆう さん作 [238] -
アキ 18
絵画教室がおわり、その足でアキとラブホに入った。ほんとはアキが欲しくて、欲しくてたまらなかった。アキに触ってほしかった。アキのキスを全身に受けながら、このまま死んでもいいとさえ思った。「…これは、夢?」アキが息を切らせながら、聞いてくる。「夢じゃ、ない、よ」私はそう言って、アキの頬をなでた。アキが優しい目で私を見る。「…透、好きだ…」アキは横で気持ちよさそうに眠っている。夢の世界はおわり。現実に
ゆう さん作 [217] -
アキ 17
「そのナイフ、どうするつもり?私を刺す?」私は動揺しながらも、彼女に聞いた。「…今日は、刺さない。でも次会った時は、どうなるか知らないよ。アキと別れてくれさえすれば、何もしない」「脅してるの?」「うん」彼女はニコッと笑った。「大体、結婚してるのに、ゆかからアキを奪おうとすること自体、おかしいよね?」「奪うなんて…」「もう、アキと関わらないで」彼女は最後にそう言うと、私をキツく睨み、その場を去った
ゆう さん作 [203] -
アキ 16
絵画教室から3日前…。「急に呼び出して、ごめんね」ゆかに最後に話がしたいと、呼び出された。「外で会うの、久しぶりだね」オレンジジュースを飲みながら、ゆかが言う。「ゆか。俺もう…」「あのおばさん、結婚してるんだよね?」笑顔でゆかが言葉を続ける。「ゆかの方が全然若いし!ゆかの方がアキに合ってるよぉ。今までだって楽しくやってきたじゃん」「……俺、あの人が」「だって!あのおばさん…」「おばさんゆーな」俺
ゆう さん作 [212] -
アキ 15
アキと次の教室まで連絡がなかったのは初めてだ。やっぱり旦那と会ったから…。アキ、平然としていたけど、もし気持ちが変わったりしてたら…。もうやめようなんて、考えてたら…。考えれば考えるほど、嫌なことばかり頭に浮かんでくる。こんなに一週間を長く感じたことはない。「せんせっ」一週間ぶりに会ったアキは、明るく声を掛けてきた。「ア…名波君。久しぶり…」「久しぶりって、一週間しか経ってないよ」笑ってアキが言
ゆう さん作 [189] -
アキ 14
俺は、透と透の旦那を残してその場を去った。胸の中がざわざわとしていた。後ろめたさなんか感じなかった。あるのは嫉妬と羨望。もっとはやくに透に会いたかった。そしたら透を誰にも渡さない。俺と、ずっと一緒だ。ゆかの家に行った。「アキ!」ゆかが笑顔で迎える。その場でゆかを思い切り抱いた。「ちょっ…アキこんな所で…」「うるさい」うるさいうるさいうるさい俺は苛立ちをゆかの身体にぶつけように、ゆかを思い切り抱い
ゆう さん作 [225] -
アキ 13
ドクン ドクン ドクン…自分の心臓の音だけが大きく聞こえる。間違いない。旦那だ。近づいてくる。「透。偶然だな。教室おわったの?」「うん。今帰り」精一杯、平静を装って答える。アキ。アキには私達がどう映っているの?「生徒さん?」「名波アキです。いつも先生にはお世話になってます!」私が返事するより先に、アキがハキハキとした口調で答えた。「先生、旦那さんと一緒に帰ったらどうですか?絵の話はまた来週お願い
ゆう さん作 [214] -
アキ 12
「この間の展示会、名波君の絵、好評だったなぁ」「シゲさん、ありがとう!やっぱモデルがいいからっすよ!ねっ!先生」「…バカな事言ってないの」アキがいる空間は、穏やかだった。こんなに穏やかでいいのかと思えるくらい、穏やかだった。自分から荒波立てることない。たかが彼女のひとりやふたり…。アキは若いんだから。私が出した条件じゃない。”深入りしない“そういう関係を望んだのは、私だ。傷つく資格さえない。「透
ゆう さん作 [250]