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ゆう さんの投稿された作品が97件見つかりました。
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アキ 2
「先生の下の名前、なんてゆーの?」絵画教室に入った名波アキは屈託のない笑顔で聞いてきた。「透。透き通るの透」「先生にピッタリの名前だ」「そうかな…男みたいだよ」すっかり名波アキは教室に馴染んでいた。見た目と違い、気さくで明るく、人なつこい性格だった。「アキちゃん、アメあげるよ」「ありがと!シゲさん♪」いわば、教室の人気者となっていた。教室を利用している定年迎えたおじいさん達ともすっかり仲良くなっ
ゆう さん作 [284] -
アキ 1
この話は誰にも言っていない。親友にすら、言っていない。私だけの秘密…。山科透。33歳。現在、絵画教室の講師として働いている。毎週水曜日、午後1時〜4時まで。人付き合いが下手な私にはちょうどいい。そう思っていた時に、彼が現れた。金髪にピアス…身長180センチあるだろうか… 今時の男の子… 苦手なタイプだ。この子、教室間違えてるんじゃないかな…「あの、どうされました?」「あ、俺、今日、絵画教室の体
ゆう さん作 [343] -
あなたがいるだけで。《最終話》
いつの間にか夏になっていた。蒼々とした空に白い雲が浮かんでいる。桜の木々は深い緑色をした葉を生い茂らせている。絵が、完成した。青空を背景に、白いピンク色の桜の花が満開に咲いている。それを見ているひとりの人。私の大事な人。あの告白から1ヶ月が経とうとしていた。お互い避けているのか、、大嶋くんと帰り道に会うことはなかった。いや、正確には姿は見たが、声を掛けることはなかった、だ。絵が、完成した。その課
ゆう さん作 [235] -
あなたがいるだけで。?
翌日、いつもよりはやく起きて、泣きはらした目を冷たいタオルで冷やす。冷やしても大して治らない目のまま、今日は登校する。花が言ってくれた。よく頑張ったって。泣いちゃって、情けないような告白だったけど、でも自分でも、頑張ったって思えるようになった。花のおかげで…。「優!おはよ!」「おはよう。花」花は私の顔を見て、何も言わずに私の頭をくしゃっとなでた。「廣瀬!おはよっ」明るく木村くんが声を掛ける。私は
ゆう さん作 [204] -
あなたがいるだけで。?
翌日、私は学校を休んだ。なんて弱いんだろう…私は…。一日中、あの告白の場面を思い返して過ごした。『好きな人がいるんです。もうずっと前から…』大嶋くんの言葉が頭の中をぐるぐると回っている。時には涙が溢れて止まらなかった。反面、涙もこぼれず、ただボーッと空を眺めている時間もあった。大嶋くんは誰を想っているのだろう…大嶋くんも私と同じような想いをしたのだろうか…♪♪♪花からのメール。『大丈夫?いつでも
ゆう さん作 [236] -
あなたがいるだけで。?
鼓動が激しい。頬は熱く、更に緊張から涙はいっこうに止まってくれない。涙を必死に拭いながら、大嶋くんの返事を待っている。ほんの数秒が、何分、何十分に感じられた。「僕は…」大嶋くんが口をひらく。「廣瀬さんの気持ち、すごく嬉しいです」大嶋くんは私の目を見て、ハッキリとした口調で言った。「でも…僕、好きな人がいるんです。もうずっと前から…」「…あ…そうなんだ。ごめんなさい、なんか…。ごめんなさい」私は頭
ゆう さん作 [388] -
あなたがいるだけで。?
木村くんにはいつも驚かされる。例えば大嶋くんに好きな人がいて、私は大嶋くんに対して木村くんのように、協力すると笑顔で言うことができるのだろうか…。翌日、昨日と同じ時間に学校を出る。昨日と変わらず、すでに心臓がバクバクしている。いつ会えるかも分からないのに、これじゃあ身がもたない…。「廣瀬さん」ドキンッ!!!!!後ろから大嶋くんが歩いてくる。大嶋くんに会ってしまった。大嶋くんに…これから告白するん
ゆう さん作 [213] -
あなたがいるだけで。?
大嶋くんと出会う確率の高い時間に、学校を出る。すでに心臓がバクバクと大きく波打っている。こんな状態でちゃんと気持ちを伝えられるのだろうか…たまに後ろを振り返りつつ、歩く。でも、もしかしたら前を歩いてるかも知れないし…そう思い、速く歩く。それをしばらく繰り返していた。「廣瀬ーっ」後ろの方から声が聞こえ、振り返ると木村くんが私の方に走ってきていた。「はぁはぁ、廣瀬も、今帰り?」息を切らしながら木村く
ゆう さん作 [222] -
あなたがいるだけで。?
今日も校庭で練習している野球部やサッカー部の掛け声を聞きながら、黙々と絵を描いている。大嶋くんに私の気持ちを知ってほしい…そう思ったものの、想いを伝えるのは、正直、こわい…。せっかく大嶋くんと話せるようになったのに、もし告白して、今の関係すら崩れたら… 大嶋くんとのつながり、何もなくなってしまう。そう思うと足がすくむ。あの時確かに気持ちを伝えたいって強く思った。でも、…こわい。 あの日から1週間
ゆう さん作 [271] -
あなたがいるだけで。?
何か…しゃべらなきゃ。そう思うほど、言葉が出てこない。言葉が浮かばない…。「廣瀬さん…」大嶋くんが、沈黙を破る。「この間は、すみませんでした。僕が口を出す事じゃなかったですよね。本当にすみません…」私の方を向いて、大嶋くんが深々と頭を下げる。「そんな…そんな事ないよ。だって大嶋くん、木村くんのこと心配して、私に声かけてくれたんだもん。謝ること何もないよ」「でも…避けられてる…気がしたから…」ドク
ゆう さん作 [271]