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ベンジー さんの投稿された作品が93件見つかりました。

 
  • スカーレットと青?

    ―病院・406号室―\r「久しぶりアヒム、だいぶ治ってきたらしいな。美味いの持ってきたぜ」オットーはそう言って、ベッドの横のロッカーの上に洋梨の入ったバスケットを置いて、アヒム用の衣服を閉まった。「お前、本当にあの後一度も警察につけられてないのか?」窓の外の方を見てアヒムは言う。「ああ、むしろ盗みから手を引けて、調子がいいくらいだ。職も見つかるし。これもお前が撃たれたお陰だな」「その事なんだが、
    ブランキー さん作 [357]
  • 朝になるまで…

    カーテンが風になびいてその隙間から柔らかな朝日がやってくるカーテンを開けると遠くにみえる山の稜線には薄い朝霧がかかる地球はいま、本当に青いのだろうか白くはないだろうかところで今、地球はどのあたりだろう…徐々に世界は明るさを取り戻す恥ずかしがりな太陽がすっかりと顔を出すまではまだ誰も目覚めちゃいけない朝はゆっくりとやってくるのだからそれまではまだ眠っていておくれ…
    ブランキー さん作 [363]
  • 彼女は死んだ

    君の髪が僕の指の隙間をすりぬける戻っておいで…ここに咲いた勿忘草を僕はまだ憶えている君の髪と草花を風がそっとゆらしたときなぜか世界が止まる気がした…その時の風は今もどこかを旅しているからああ、この世界にピストルは必要なさそうだああ、この世界にピストルは…
    ブランキー さん作 [388]
  • スカーレットと青?

    ―翌朝・午前九時―\rオットーは部屋で簡単な身仕度を済ませると、アヒムを起こしに、アヒムの部屋へと行った。アヒムの部屋は殺伐としていて、部屋の隅には何の工夫もないベッドが置かれ、床にはヘルマン・ヘッセの「郷愁」と鼠色のワークキャップが乱雑して置かれていた。手触りの悪い掛け布団を捲ると、ベッドは既にもぬけの殻で、オットーは少し不安感に似たものを覚えた。すると、玄関先から何か物音が聞こえ、恐る恐る近
    ブランキー さん作 [387]
  • スカーレットと青?

    オットーがアパートに帰ると、アヒムは既にキッチンテーブルの前に座っていた。二人が住むアパートは、街の西に流れるヴェーザー川のほとりの街側に位置している。二人は共に十四歳であったが、学校に通う金はなく、年齢的にも働き先すらもらえなかった。そんな二人は盗みで生計を立てるしかなく、アパートの家賃や生活費をやりくりするので精一杯であった。「今日は盗らないのか。」オットーが低い声でアヒムに問う。「ああ」ア
    ブランキー さん作 [387]
  • スカーレットと青?

    路肩に設置された木製ベンチに座っている少年二人の沈黙にさして、近くにある“結婚式の家”の尖塔の仕掛け時計が鳴った。アヒムはこのメロディにひどく嫌悪感を抱く癖があり、メロディに合わせてひょこひょこと動くからくり人形たちの列を睨み、「くそっ。頼む、とまってくれ…」そう呟いたが、音が終焉を迎えることはなく、このまま永遠に鳴り続けるような気さえアヒムは起こしてしまうのであった。しかしそもそも、アヒム少年
    ブランキー さん作 [398]
  • スカーレットと青?

    《ドイツ・ハーメルン》「なあ、アヒム。イタリアのシチリア島ってのはさ、やっぱりサッカーボールの役割なんだな。だからバッジョみたいな天才が生まれるのさ。イタリアのサッカーってのはどんなに泥臭い一点でも最後まで守り通すスタイルなんだ。カテナチオだっけか?まあいいや。でもさ、その一点をとるのはやっぱり絶対的エースなんだ。なあイタリアって足の形してるだろ?」「それがどうしたんだ、オットー。」アヒムは催促
    ブランキー さん作 [534]
  • 砂漠のキャラバン

    砂漠のキャラバンはカムチャッカを目指した行く先々で馬鹿にされながら砂漠のキャラバンはカムチャッカを目指した。隔たる海の白波に怯えながら砂漠のキャラバンはカムチャッカを目指した丘を越え、谷を超え砂漠のキャラバンはカムチャッカを目指したまだ見ぬ世界にひどく焦がれながら…キャラバンよ、行け僕らの夢をのせて着くはずもない旅路をただひたすらに
    ブランキー さん作 [398]
  • 四月の終わりの朝

    四月の終わりの朝は可愛い野良猫さんの大きなあくびで始まるヤカンに火をつけお湯が沸いたら珈琲を一口、二口と。そうやって朝をそっと確かめてみる。君の髪の匂いと朝の匂いが混ざるのを食卓から見届けよう。君が眠っているベッドのシーツが真っ白ならなおさら良いだろう。窓の外から小鳥のさえずりが聞こえてくるならなおも良いだろう。そうだ君を起こさない程度にラヂヲをつけよう。ゆっくりとボリュームを上げて…君を起こさ
    ブランキー さん作 [406]
  • 雨上がりの午後

    黄色いレインコートかわいい子供たちが雨の床で踊ってるそれはちょうど雨上がりの午後のこと水溜まりは真昼の空に浮かんだ月を映していた。僕は空を仰ぐ。昼間の月は少し味気なくていっそ夜まで雨が続けば良かったのに。なんて空に呟いて慣れない煙草に火を灯し口から雲を吐き出して空に笑いかけて僕は神に媚を売る。
    ブランキー さん作 [390]
 
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