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ベンジー さんの投稿された作品が93件見つかりました。

 
  • 瀉血―カタルシス―

    精神は蝕まれ、やがてこの両目は太陽の眩しささえ煩わしく感じた。この両目は美しいもののその価値にすら気付けずに、飾りの両目を私は潰した。鼓膜をすりぬけた悲しい音は内側から私の傷口を優しく広げて、肉体はゆっくりと引き裂かれてゆく。そして私の精神は行き場を失い途方に暮れる。
    ブランキー さん作 [351]
  • 美しい世界

    迷子の男の子が泣きながらママに抱きつきました。世界は少し平和になりました。西日に咲いた橙の雲は見た事のない形で僕は少し得した気分になれました。帰り道、地蔵にお菓子を一つ分けてあげました。私は少し幸せになれました。世界に夕暮れを告げた烏の群れのなかで隊列を乱す一匹の変り者を見つけました。私は思わず笑ってしまいました。烏は怒って「阿呆」と言いました私も言い返してやりました。悲しいときこんなことさえ美
    ブランキー さん作 [365]
  • 悲しい唄

    生まれ落ちた時悲しみなんて背負っていなかった。勝手に刻んだ十字の傷が私の背中で疼いてる。心の置場がないから肉体から精神が離れていく。悲しい音は雨垂れのように水溜まりで広がって消えた。四肢を縛る鉄の鎖。鉄の冷たさに慣れていく皮膚感覚。古びた教会の十字架に巻き付いた植物。罪に囚われていつの間にか解けなくなった。部屋中に乱雑した数多の哲学書。答えがまったく見つからない。肉体は時間をかけて悲しみと共にゆ
    ブランキー さん作 [363]
  • 人の世

    誰かが言った腐敗した世界また誰かが言った素敵な世界同一性を見失ったこの人の世は水面に揺れる朧月か酔い痴れ歩く月の夜に我が悲しみもまた霞んで揺れる
    ブランキー さん作 [345]
  • 不幸者

    世界中の幸せなんて気持ち悪いからせめて誰か不幸でいてください。だけど僕は幸せを望みます。誰かが目の前で困っていたら泣いてあげます。席だって譲ってあげます。人様に迷惑だってかけてません。だけどそれだけです。銭にもなりません。私はとても親切です。だから私は幸せになれます。だから誰か代わりに不幸になってください。
    ブランキー さん作 [428]
  • 飛び立つスワン

    細やかな月光の粒子が凍った湖に反射して描いた円はスポットライトのよう春になったら飛び去るスワンも今は暗黒の舞台で踊るバレリーナこの時が永遠に続けばいいのに時は当たり前に流れていく私はどうする事もできずにただ近づく春へ憎しみを込めて悲哀な旋律を奏でる
    ブランキー さん作 [366]
  • 証明

    誰かの影法師西日に消えていく。僕は世界の端っこで肩を震わして地平線を見つめる。誰かが残してきた小さな証明は車輪の下の轍が語る。この軌跡はいったいどこまで続くのかな。何だか少し羨ましい。僕の車輪は錆びれてるこれが僕の成れの果てもしもまだ動くのなら大きな悲鳴を上げながらでもいい。限りない永劫の中で僕をどこまでもつれていけ。
    ブランキー さん作 [383]
  • FoR..LaCK..Of...?

    「そうね。今度試してみるわ。」彼女は血の通っていないような声で言った。再会してからというもの、以前の彼女の暖かみは一片も感じられず、やはり望未が死んだことで明らかに彼女はおかしい。ただ僕にはどうすることもできない。僕らはもう別れた訳で、彼女を抱き締める訳にもいかない。ましてや僕には死人を蘇らせるような超人技など持ち合わせちゃいない。今の僕にできるのは精々彼女を励ますことくらいで、しかし何と言って
    ブランキー さん作 [330]
  • FoR..LaCK..Of...?

    僕はカウンターにいるウェイターを呼び、僕はきのことベーコンの和風パスタ、美咲はあさりのクラムチャウダー風クリームパスタを注文した。「そういえば君は少し雰囲気が変わったね。何というかこう、涼しげで、大人びた感じにさ。」僕は会話を必死に探した挙げ句、彼女と再会した時のファーストインプレッションを伝えた。「あらそう。それは良い意味に捉えていいのかしら。」彼女は冷たく返した。彼女が冷徹に感じるのは、やは
    ブランキー さん作 [396]
  • FoR..LaCK..Of...?

    僕と美咲との間の沈黙にさして、学校長の話が始まった。彼女はまるで何もなかったかのように、顔を前方に向けている。僕は俯いたまま、手をくんで黙りこくっていた。この状態が閉会式まで続き、閉会式が終わると彼女はそそくさと帰っていった。僕は彼女の後を追い掛けた。校門に繋がる木立に挟まれた直線の砂利道で僕は彼女を見つけ、呼び止めた。「あ、あのさ…え、えっと…。」僕は彼女を呼び止めたは良いが、その理由は全く考
    ブランキー さん作 [370]
 
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