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ベンジー さんの投稿された作品が93件見つかりました。
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FoR..LaCK..Of...?
「あらお久しぶりね。まさかこんな所で再会できるなんて私たちって運命なのかしら。」美咲は厭味たらしく僕に言った。「…ああそうだね。まさか君がこの大学に来るとは思わなかったよ。僕が知る限り、君はとても知能が高く、優秀だからね。」僕は少しの間、閉口してから返事をした。「あなたが思うほど悪い大学でもないわ。キャンパスは緑に覆われていて、心地よいくらいよ。むしろ好意的だわ。それに…」「それに?」「半年前に
ブランキー さん作 [450] -
FoR..LaCK..Of...?
しかし僕が驚愕すべき点は他にあった。それは彼女がこの大学になぜ入学したのかという事である。この大学もこの地域の私立大の中では優れてはいたけれど、彼女の学力相応の大学とまではいかない。僕の中では、彼女が東西トップに君臨するような大学に合格していても全くもってあり得る事態で、むしろこの事態こそ訝しく、由々しき事態である。もしも彼女、または彼女の両親の地元志向という思念が強かったならば、近くには学力水
ブランキー さん作 [392] -
FoR..LaCK..Of...?
やがて館内に入り、入り口付近で受付を済ませ、指定された席に座る。周囲を見渡し、顔見知りを探したが、親しい知人は見当たらず諦め、先ほど受付で配布されたキャンパス案内に五分ほど目を通してから鞄にしまった。開会式の十五分前に僕の隣に女性が座った。僕はそれを横目で見ると、美咲がいて僕は驚いた。彼女とは昔、交際していて、僕も彼女も初めての恋人で、特別彼女には強い思い入れがある。僕たちは中学校の終わりに交際
ブランキー さん作 [444] -
FoR..LaCK..Of...?
駅のホームには、顔見知りの同窓生が何人かいたが、みながみな髪の色が変わり果て、大人びた反面、新品の背広は彼らの初々しさを際立てていた。みな誰かしら仲の良い友達と二人、ないし三人で行動している。どのグループも照れくさそうに、お互いのスーツ姿を罵り合い、笑い声を上げていた。しばらくして電車が到着し、乗車すると案の定、全席埋まり、それどころか車内は会社員と学生で溢れ返っている。僕は定位置を獲得すべく肩
ブランキー さん作 [349] -
FoR..LaCK..Of...?
大学の入学式当日、仕事の休暇をとった父と母は、昨日から新潟に旅行へ出掛けていて、自宅には僕一人だけである。二人が温泉に入って、春日山城跡でおてて合わせて謙信像に拝んでいる折、僕は入学前に慌てて新調した背広に袖を通すため、鏡の前にいた。ワイシャツの上まで釦(ぼたん)をしっかりと止め、首回りに襟が擦れてむず痒(がゆ)いのを我慢して、ネクタイをワイシャツの襟に当てる。大学の入学式に不恰好な服装で臨む訳
ブランキー さん作 [380] -
FoR..LaCK..Of...?
僕の頭の箍(たが)がゆっくりと外れ始めたのは一昨年の冬の終わりの頃。やがて冬は寒さを忘れ、春雷がいよいよ春の訪れを祝福し、柔らかな熱を孕んだ春風が、新たな生命の息吹きに語りかける。花はピンと背筋をのばして、我先にと太陽の光に手を延ばしていた。当時、僕は十七才で、早生まれの僕は三月初旬で十八になり、それと同時に県内の公立高校を卒業し、隣の県の私立大学に進学を決めていた。僕の家庭はお世辞にも裕福とは
ブランキー さん作 [444] -
人間サマ、人間サマ
人間サマ、人間サマココに膨よかに肥えたブタがいらっしゃいまする美味しそうでございましょう。人間サマ、人間サマあそこに居りますのは、昼間から呑気に眠っているサルでございまする。阿呆な面持ちでございましょう。人間サマ、人間サマあの檻に居りますのは、自分が世界一強いと勝手に豪語する、無知なライオンでございまする。きっと目が節穴なのでしょう。人間サマ、人間サマこの籠に居りますのは、籠の中の世界しか知らな
ブランキー さん作 [428] -
男と女
キスをして、裸になり、乳房に触れて、乱れた後に残るのは、この世の終わりのような空虚感。毛布の中で、男と女は溶け合うことなく背中合わせで朝を迎える。愛を知らぬ男、誰とでも寝る女そんな二人の不協和音は冬の朝日に溶けることなく、悲しい二人を世界の片隅に置き去りにする。
ブランキー さん作 [411] -
満月の孤独
温かな母の母胎から、出でし時分よりまるで格子窓から垣間見る望月の如く、かの世は甚だあぢきなくてしかしながら、それでいてなんとも乙なものでもある。そんな取り留めのない事で、物思いに耽って、右手のキセルを一吹き。そぞろに流れる時の連鎖も、今生きている世も、全てが仮初めならばそれもまた滑稽なり。嗚呼、欠けたる処のない満月は、全てを存じておられるのだろうか。そうだとすれば、その満月はきっと誰よりも虚しい
ブランキー さん作 [381] -
甘い眠りのなか
深い眠りの中せせら笑いが聞こえるカッコウの合唱と川のせせらぎ木の葉のダンスとシマリスの栗拾い遠くに見えるあの子は…きっと幼い頃の僕何もかも、世界の何もかもが美しく輝いていたなのにその美しさは、目を開ければあぶくみたいに儚く消えてしまった現実の夢の埋め合わせが深い眠りの中で見る夢眠れる森の扉はいつまでも僕を優しく閉じ込める
ブランキー さん作 [371]