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もね さんの投稿された作品が120件見つかりました。

 
  • もっこす君

    あなたの硬い髪、あなたの少しこけた頬あなたの薄い唇そっと触れたかった。あなたの怒りに傷ついて、あなたのはにかみに心が震えた。あなたは自分が嫌いだったの?私は全部好きだった。誰が何と言っても構わない。あなたは私の中の一番格好いい男。私は周りに笑顔を見せても、本当はあなただけ眩しかった。自分が怖かった。壊れてしまうのが。あまりに好き過ぎて嫌いになりたかった。何度かあなたに送った「ずっと好き」の言葉。
    もね さん作 [367]
  • 漆黒を見つめて

    疲れた体を人の波に委ねて押し付けられたガラスに写し出された顔はあの頃憎みながら愛した父の面影を移している。人に疲れ、文字に疲れ、数字に疲れ、時の流れに炙り出された不変の絆を刻み、一人のくたびれた女が写っている。
    もね さん作 [354]
  • 形質

    私が消える日は、生まれた日と同じ、爽やかに晴れた日の、美しい空の下。私が消える日は、みんな泣くけれど、顔の裏側は、それぞれ違う顔。私が消える日は、そんな人達の、不思議な感情に、サヨナラを告げる日。独りの人間が、消える事なんて、一つの苛立つ、出来事に過ぎない。私を嫌う、他人に取っては、罵り言葉を、増やすかもしれない。それでも私は、自分の命を、戸惑いながら、純粋に生きた。誰にも解らずに。道端で野垂れ
    もね さん作 [367]
  • ちから

    一つの優しい流れの様に。あなたは彼女を愛してゆく。流れに投げ入れられた小石が一つ。そっと水面を揺らして消えた。一瞬の出来事。何事もなかった様に川は流れる。私は流れに背を向けて歩き出した。流れが遠ざかってゆく。振り向いてはいけない。永遠に。流れを見つめ、小石を投げる。独り遊びを繰り返すだけだから。耳の奥のせせらぎを消せるのならば。この涙はこぼれないでしょうか。遠くへ行きたいのです。ここではないどこ
    もね さん作 [346]
  • 届かぬ花

    高く澄み渡った空。暖かい光が満ちる。ゆっくりと走る列車。窓に寄りかかり外に目をやる。線路脇の土手の日溜まり。無数の秋桜が花を咲かせている。きっと私のあの子もあの中にいて、薄桃色の花を付けているだろう。もう触れる事は出来ない頬。花びらの様なあの頬。見つけられると信じ目を凝らす。そのまま土手を行き過ぎ、列車は今日も私を街へと運んで行く。そしてまた花達は、愛でられもせず、手折られもせず、かぜに揺られ太
    もね さん作 [363]
  • 聖女

    あの人と比べるの。また。私はあなたに取って女?あの娘みたいに聖女になれない。あなた好みになりきれない。独りの平凡な女。演技する程器用じゃない。冷静に女を見れないあなたに溺れてしまうのは怖すぎる。浮かれてる。そんなあなたも愛してる。あなたに愛されるなら。美しくなれるなら。全てを捨ててもいい。見た目も中身も完璧な聖女になんかなれないけど。背伸びして不格好な、着飾った女ができるだけ。彼女の様にはきっと
    もね さん作 [435]
  • 苦悩

    私が今苦しくても、自分がこんな物でも、人生は喜びだけでも苦しみだけでもなく、全ては魂を磨く課題。喜びから学び、悲しみから学ぶ。その人それぞれ課せられる事は違い、そこからそれぞれ何かを刻みつける。他人より多いかもしれない。私の腕から溢れるほどの苦労。誰にも理解されない苦悩。それからは他の誰も学び取れない自分だけの気付きと、魂の美しさをきっと得られる。だから明日も、自分の為に自分が生きる意味がある。
    もね さん作 [368]
  • 止刻

    本当に神はいるのか。君を失ったあの日から俺は闇を漂い続けた。幼い日から俺に、正義を教えたのは誰だ。信じ続けた俺から君を奪ったのは誰だ。苦悩と涙に溺れたそれからの日々。その誰かはその頃、同じ世界で笑ったかもしれない。旨い飯を食ったかもしれない。本当に神はいるのか。俺はただ、嘆きの闇を這うばかり。君が消えた場所、そこにはただ、冷たい風が吹くばかり。
    もね さん作 [351]
  • 柔らかな悲嘆

    ぼんやりとした香りの布団にくるまりながら、お気に入りの曲。あの頃笑いながら、聞いていたあの曲。今でも変わらずに美しいファルセットは響くのに、あの頃共に笑い合った人はいない。私には人間に重要な何かが足りない。それが何か分からないまま一人になった。思惑ばかりが絡み合い、私は誰も誠実に感じる事が無かった。あなたもそうだったの。笑い合った時間。大好きなこの曲。煙草の煙とあの人の顔が忘却の空間に滲んで溶け
    モネ さん作 [383]
  • あらがい 1

    人間の出会いとは不思議なものだ。何か悪戯の様な偶然に導かれ、流れる様に別れてゆく。もう一度、その悪戯で出会うなど、夢なのかもしれないが。亮と言った。私より一つか二つ年上の、痩せた青年だった。茶色い髪が汗で額に張り付いている所が今も目に浮かぶ。彼は中学卒業からこの仕事をしているらしく、道路工事も馴れたもので、随分目上の人達にも信頼され、可愛がられていた。私達が作っているのは森林を切り開いた土地を上
    もね さん作 [407]
 
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